オバマ議員の感動スピーチがミュージック・ビデオになったよ、というコラムを先日書きました。そうしたら、gooニュースがお届けしているニュース掲示板「ニュース畑」に、なんとこれのマケイン版があるとコメント投稿がありました。さっそく観に行ってみて…………周りの同僚に迷惑をかけました。(gooニュース 加藤祐子)

なぜ迷惑かというと、大爆笑してしばらくヒクヒク震えていたので。

ビデオのことを教えてくださったのは、gooニュース畑常連のgonhaha01さん

そして問題のビデオはこちらYouTube上ではこちら

ネタモトのオバマ版を観ていない方はまず、そちらを観てからをオススメします。

gonhaha01さんのコメントにもありますように、共和党のジョン・マケイン上院議員のこれまでの色々な局面での「タカ派」的発言を、民主党バラク・オバマ上院議員の演説に似せて編集して継ぎ合わせて(しかもかなり、恣意的に)、演説の言葉をそのまま歌っている。実に歌いにくそうに(笑)。言うなれば、実に良くできたネガティブCM的なもの。

マケイン議員はこれまでずっと、イラク戦争は対テロ戦争の遂行に必要だと主張してきた。しかも議員は、歯に衣きせずにあるがままに語る「ストレート・トーク」の人です。ビデオはある意味で、マケイン議員のそういう側面を強調しただけ、ともいえるのだけど。あと、そういう姿勢がいかに、ミュージックビデオになじまないか証明したというか。

ビデオのマケイン氏はこう言ってます。オバマ氏の希望のメッセージと比べるとその落差が、かなり笑えるというか、考えさせられるというか。

The work that we face in our time is great.  私たちが直面する課題は実に大きい。
In a time of war, the terrible sacrifies it entails.  戦時下にあっては、悲惨な犠牲が生じる。
The promise of a better future is not always clear. より良い未来をはっきり約束できるとは限らない

There's gonna be other wars. I'm sorry to tell you, there's gonna be other wars (歌手が小さく「What ?!」)
まだほかにも戦争は起きる。言いにくいことだが、まだほかにも戦争は起きる。

We're gonna have a lot of combat wounds, and my friends, it's going to be tough, we're going to have a lot to do.
私たちは何度も戦闘中に負傷するだろう。そしてみなさん、大変なことはこれからもある。やらなくてはならないことは、たくさんある。

You know that old Beach Boys song, Bomb Iran? Bomb bomb bomb, bomb bomb Iran.
(昨年4月に、イラン攻撃の予定があるか質問されて) ビーチ・ボーイズの昔の曲、知ってる? イラン爆撃イラン爆撃爆撃って 

(訳注しますと、Beach Boysの曲は「Barbara Ann」。これが「Bomb Iran」に似て聞こえるため、1979年のイラン米大使館占拠事件のとき「Bomb Iran」とパロディされた。マケイン氏はそれを念頭に、冗談めかして「Bomb Iran」と歌っている)

I'm still convinced that withdrawal means chaos.  撤退は混乱を意味すると、私は今でも確信している。
And that if you think things are bad now, if we withdraw, you ain't seen nothin' yet. 今の状態が酷いと思うのかもしれないが、撤退したら、こんなものじゃない。

It was a good idea. (歌い手がこれに「Nooooo !」)
(イラク戦争は)良案だった。

(President Bush has talked about our staying in Iraq for 50 years ) Maybe a hundred. (歌手 "Say what !?") Maybe a hundred. (歌手 "a hundred...... years?") That's fine with me.
(ブッシュ大統領はイラクに50年駐留する可能性に言及) 100かもしれない(歌手「ええっ!」)。100かもしれない(歌手「100……って年?」)。私はそれでもいい。

I don't think Americans are concerned if we're there for a hundred years or 1000 or 10,000 years.
    アメリカ国民は気にしないと思う。駐留が100年続いても、1000年続いても、1万年続いても。


「1万年」「1万年」「1万年」と歌は繰り返し。歌ってる人たちは、焦りまくり。過呼吸になって紙袋に吸ったり吐いたりしたり。

そして出る文字がこれ。「 イラク撤退予定:12008年」

爆笑。

爆笑しつつも。私はマケイン議員の姿勢に必ずしも全て賛成しないが、基本的にその人柄を尊敬している。なのでこのパロディ・ビデオは、議員のもっとも「好戦的」ともとれるコメントだけを都合よく切り張りしてるなー、と苦笑い。たとえば最後の「1万年発言」はこちらで全体が見られるのだけど、マケイン議員はなにも無条件に米軍駐留をあと1万年続けても国民は平気、と言ってるわけではもちろんない(私が力説するのも変だけど、マケイン議員は常識人です)。

議員は「米兵を前線からどんどん外していって、イラク軍の戦略責任をもっともっと増やし、米兵の犠牲をどんどん減らしていけば、米軍がイラクに100年いようが1000年いようが1万年いようが米国民は気にしないと思う」と言っている。恒久的な米軍基地をイラクに作るべきだと言う議員は、在日米軍や在韓米軍や在独米軍的なことを考えているのです。ならば、米国民は気にしないだろうと。そりゃそうだ(日本人や韓国人やドイツ人が気にするかどうか、イラク人がどう思うかは、また別の話)。

と、まあ、私がマケイン議員の弁明をやたらとするのも変なのでこの辺にしますが、このコラムのために上記のように、ビデオが切り張りしたマケイン氏の発言を書き出してみて改めて、「まあともかくも正直な政治家だな…」とやっぱり苦笑。これまでもこのコラムで繰り返し、いかに議員が、支持率低下をものともせずに、自分が正しいと思った不人気なことを直言してきたか書いてきましたが、まさにそのオンパレード。厳しい父親みたいな人です。

イラクに1万年、米軍が駐留し続けるべきかどうかはともかくとして。

なんにせよ。マケイン議員は、私の大好きなコメディ政治番組(コメディだけど、切り口が鋭くて候補たちへのインタビューも下手なニュース番組より鋭い)「The Daily Show with Jon Stewart」の常連。司会のジョン・スチュワートとは、激論するほど大の仲良し。そしてユーモアセンスもピカイチ。だから今回のこのビデオも、たぶんいちばん笑ってるのはマケイン氏本人じゃないか、と思うなあ。

ちなみにもうひとつ、Yes We Can Songのパロディーでマケイン議員をサカナにしてるのがこちら。「No, you can't」。これは「マケインが大統領になると、まともな給料ももらえない、イラクから帰って来れない、ゲイ同士は結婚できない、マケインはぼくたちを見下している」という痛烈メッセージのもの。まあこういうのがYouTube利用者から出てくるのも、それは仕方がないこと。ただしなんでもそうだけど、どうせパロディーなんだったら、いきりたって痛罵するよりも、最初のビデオみたいに笑わせながら風刺するほうが、少なくとも私は好みです。

余談。ちょうど1週間前に撤退した共和党のロムニー氏が今日、マケイン氏支持を表明。ロムニー氏が獲得していた代議員286人(CNN推計)がマケイン支持に動くとして、マケイン氏はこれで1113人獲得したことに。あと78人で、指名獲得。それはいいけど、でもこれでもし万が一「ロムニー氏が副大統領候補に」なんてことになったら、ちょっと私はマケイン氏への評価を変えるかも(マケイン氏だけでなくハッカビー氏もしょっちゅう出ている私のお気に入り番組に、ロムニー氏は出なかったから、ではなくて)。

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