黒人指導者マーティン・ルーサー・キング牧師が「私には夢がある」と演説してから45年。米民主党バラク・オバマ候補が4日夜(日本時間5日午後)、米国初の黒人大統領になることが決まった。地元シカゴに集まった支援者約10万人以上を前にして、オバマ氏は「アメリカに変化がやってきた」と宣言し、山積する課題も国民が団結すれば克服できると約束。集まった支援者たちは、時に涙で顔を濡らしながら、時に満面の笑みを浮かべながら、選挙戦中のスローガン「Yes, we can!(そうだ、私たちには出来る)」を大合唱した。全文の翻訳はこちら。(gooニュース 加藤祐子)

複数メディアの生中継によると、オバマ氏は晴れやかな、しかしいつもどおりに冷静な様子で登壇。決意にあふれた表情で勝利演説を開始し、「アメリカは、あらゆることが可能な国だ。それを未だに疑う人がいるなら、建国の父たちの夢がまだ生きているか疑い、この国の民主主義の力を未だに疑う人がいるなら、今晩こそがその人たちへの答えだ」と「夢」の力を語った。

「アメリカは今夜、世界中にメッセージを伝えた。この国は決して、ただの赤い州と青い州の集まりでもないと。私たちはこれまでずっと、そしてこれから先もずっと、50州が団結したアメリカ合衆国(United States of America)であったのだと」とオバマ氏は続けた。これは、州議会議員だったオバマ氏が彗星のように全国区に登場した2004年民主党大会における、有名な基調演説のテーマを繰り返したもの。

そしてオバマ氏は、「 ここまで来るのに、ずいぶん長くかかりました。しかし今日と言うこの日、この夜、この決定的な瞬間に私たちが成し遂げたことのおかげで、アメリカに変化がやってきたのです」と宣言。この「It's been a long time coming (中略)but a change has come」という表現は、「It's been a long time coming, but a change is gonna come (ずいぶん長くかかっているが、変化はいずれやってくる」と歌う、非常に有名な南部黒人のプロテストソング(サム・クック作詞作曲)の歌詞をもじって、「変化はいつか来る」と長く歌われていたのを「変化はやってきた」と変えた表現。

その上でオバマ氏は「先ほどマケイン上院議員から、実に丁重な電話をいただいた。マケイン氏はこの選挙戦を長く、激しく戦ってきた。しかし議員はそのずっと前から、私たちの愛するこの国のために、もっと長くもっと激しく戦った人だ。マケイン氏がこの国のために払った犠牲のほどを、私たちは想像すらできない。私はこの国の約束を再生させるため、マケイン氏と共に働くのを期待している」と、マケイン氏を称えた。

さらにオバマ氏は「みなさんがこの選挙に参加したのは、ただ勝つためでもなく、ただ私のためでもない。自分たちの前に立ちはだかる課題があまりにも大きいから、それを克服する必要があるから、参加したのです」と述べ、米国が抱える2つの戦争や地球温暖化、経済危機など、今後の課題は大きいと強調。

その上で、同じイリノイ州からワシントン入りしたリンカーン大統領の言葉を引用し、「今よりもはるかに分断されていた国民にリンカーンが語ったように『私たちは敵ではなく友人なのです』。(中略)私をまだ支持していない人たちにも申し上げたい。私はみなさんの大統領にもなるつもりです。私には、皆さんの声も聞こえています。私は皆さんの力も必要なのです」と、党派対立を超えた協力を訴えた。

そしてオバマ氏は演説終盤、2つの大戦や南部の人種隔離政策を経験してきた今年106歳になる黒人女性アン・ニクソン・クーパーさんの名前を挙げ、「黒人女性が投票できるようになり、人類が月面に着陸し、そしてベルリンの壁が打ち砕かれたのを目撃してきた、その彼女は知っている。Yes, we can。私たちにはできると。アメリカは変われると」と。この間、支持者たちは口々に、「Yes, we can!」「Yes, we did!」などと合唱していた。