米大統領選で民主党のバラク・オバマ候補に敗れた共和党のジョン・マケイン候補は現地時間4日夜、地元アリゾナ州フィニックスで支援者を前に敗北を宣言した。「オバマ氏を称える」と発言するたびに聴衆の中からブーイングが沸き起こるのを、「お願いですから(please, please)」と手で制止しつつ、「次の大統領に全力で協力する」と約束した、その演説全文を翻訳する。マケイン公式サイトの英語全文はこちら。(gooニュース 加藤祐子)

ありがとう。友人のみなさん、ありがとう。この美しいアリゾナの夜、ここに集まってくれてありがとう。

みなさん、私たちは長い旅路の終わりにたどりつきました。アメリカ国民は選択しました。アメリカ国民ははっきりと意志を示したのです。つい先ほど私は、バラク・オバマ上院議員に電話をかけてお祝いを伝えさせていただいた。私たち2人が共に愛するこの国の、次の大統領に選ばれておめでとうと伝えました。

これほど長く困難な選挙に、オバマ氏は勝利した。ただそのことだけでも、私はその能力と忍耐を尊敬します。しかも彼はそれにとどまらず、何百万人というアメリカ人の希望をかきたてた。アメリカの大統領の選出は自分にほとんど何の関係もない、あるいは自分は何の影響ももてないと、誤って信じ込んでいた何百万というアメリカ人の中に、オバマ氏は希望をかきたてた。私はそれを深く敬服すると共に、オバマ氏を称えます。

これは歴史的な選挙でした。アフリカ系アメリカ人にとってこれがいかに特別な意味をもつのか、アフリカ系のみなさんが今夜どれほど誇らしく思っているか、私は承知しています。

機会のために勤勉に働き、機会をとらえようと意志をもつ全ての人に、アメリカは機会を提供する。私はいつもそう信じてきました。オバマ上院議員も、そう信じています。この国の名誉をけがした古い不平等の時代から、一部のアメリカ人にアメリカ市民権の恩恵を全て認めなかった時代から、この国は多いに前進してきました。しかし当時の記憶は未だに、心を傷つけることができる。そのことも、私たちは共に承知しています。

1世紀前にセオドア・ルーズベルト大統領が(黒人指導者)ブッカー・T・ワシントンをホワイトハウスでの夕食に招いた時、一部の国民はとんでもないことだと激怒しました。当時の残酷で傲慢な偏見と比べれば、今のアメリカは全くの別世界です。アメリカ合衆国の大統領に、アフリカ系アメリカ人が選出されたという、これ以上の証拠はありません。地球上で最も偉大なこの国で、一部のアメリカ人が国民であることを大切に思えないような、そんな理由はもう二度とあってはならない。

オバマ上院議員は自分にとって、そしてこの国にとって、偉業を達成しました。私は彼を称えると共に、この日を見ることのできなかった彼の愛するおばあさまのために、心よりお悔やみを申し上げます。けれども創造主のもとで彼女はいま安息を得ていると、私たちの信仰は約束してくれています。自分が育てるのを手伝った善い人間のことを、それはそれは誇らしく思っているはずです。

オバマ氏と私は、色々と意見が異なり、議論を続けてきました。勝利したのは彼です。意見の食い違いは、これからも残るでしょう。私たちのこの国は困難な時代に直面しています。そして私は全力を尽くして、彼がこの国を導くのを手伝うつもりだと、オバマ氏に約束します。

私を支えてくれた全てのアメリカ人にもお願いします。私と一緒になって、オバマ氏をただ祝福するのではなく、この国の次の大統領を応援し、協力できる方法を探してほしいと。互いに譲り合い、私たちの子供たちや孫たちに、より強くてより良い国を残せるよう、共に努力する方法を見つけてほしい。

どういう違いがあろうとも、私たちはみな共にアメリカ人なのです。この共通項ほど私にとって大事なものは、ほかに何もありません。それを信じて下さい。

今晩がっかりしているのは、それは自然なことです。しかし明日になれば、私たちは今夜の落胆を乗り越えて、この国がまた動き始めるように協力しなくてはならない。私たちは最善を尽くしたのですから。

目標には届かなかったが、失敗は私のものです。皆さんではありません。

みなさんが私を支え、あらゆる形で私に尽くしてくれた。みなさん全員に深く感謝します。これとはまた違う結果が出ていればとは思います。道のりは最初から困難だった。しかしみなさんの支援と友情は決して揺るがなかった。みなさんにどれほど恩義を感じているか、十分な言葉にはできません。

とりわけ妻のシンディと子供たち、愛する母親と家族全員に感謝しています。そしてこの長い選挙戦のたくさんの浮き沈みの間も常に傍らにいてくれた、大勢の大事な旧友たちに、深く感謝しています。私はいつも幸運に恵まれてきた男ですが、みなさんが私にくださった愛情や激励ほどの幸運はほかにありません。

みなさん、選挙というのはいつも、出馬する本人よりも候補の家族に大きな負担を強いるもので、今回の選挙も同じでした。その償いに私が返せるのは、愛情と感謝と、これからはもっと静かで穏やかに過ごせるよという約束しかありません。

もちろんサラ・ペイリン知事にもとても感謝しています。選挙戦において目覚ましく活躍してくれました。これからも共和党にとって素晴らしい新しい声となり、改革のため、そして昔からこの党の強みであり続けた信念のため、活躍してくれるでしょう。夫君のトッドさんと美しい5人の子供たちは、私たちの目標のために疲れ知らずで働いてくれました。大統領選挙という大騒ぎの中で、ペイリン知事の家族は勇気と気品を示してくれました。ペイリン知事がこれからアラスカ州と共和党とこの国のためにどう働いてくれるか、大いに注目したいと思います。

この選挙戦を共に戦ってくれた(側近の)リック・デイビス、スティーブ・シュミット、マーク・ソルター。そして現代においてかつてないほど激烈だったように思うこの選挙戦を、何カ月にもわたってひたすら頑張って戦ってくれた全てのボランティアの人たち。本当にどうもありがとう。みなさんの信頼と友情を得たのは実に光栄なことでした。落選というこの経験で、私にとってみなさんの信頼と友情以上に意味のあるものはありません。

この選挙を勝つために、これ以上ほかに何ができたのか、私には分かりません。それはほかの人たちが判断してくれればいい。どんな候補も、ミスは犯しますし、もちろん私もいろいろと間違いをしたはずです。けれどもああすれば良かったなどという後悔に、これからの時間を一瞬たりとも使うつもりはありません。

この大統領選は今までもこれからも、私の人生最大の名誉であり続けます。そして次の4年間、私たちを導くという光栄を与えるべきはオバマ上院議員と、私の古くからの友人ジョー・バイデン上院議員だと決断する前に、アメリカ国民はきちんと、私の言い分を聞いてくれた。その経験をさせてくれたアメリカ国民に、私の心の中には感謝しかありません。

運命は、半世紀にもわたってこの国に尽くすという得がたい特権を私に授けてくれた。そのことを後悔するようなことがあったら、私にはアメリカ人と呼ばれる資格がありません。私は今日、こんなにも愛する国の最高位の職を目指す候補でいられたのです。そして今夜、私は変わらず、この国のしもべであり続けます。それ以上に幸せな祝福はほかにない。その祝福を与えてくれたアリゾナのみなさんに感謝します。

今夜この夜、今までにないほど、私の心の中には、この国を愛する気持しかありません。この国と、この国の国民全てを。私を支えた人も、オバマ氏を支えた人も。かつて対立候補だった人、次の私の大統領になる人に、私は神の祝福を祈りたい。

そして選挙戦中に何度もそうしてきたように、私は全てのアメリカ人に呼びかけます。現在の困難に絶望せず、アメリカの可能性と偉大さをいつでも信じるように。なぜならこの国では、不可能なことなど何もないからです。

アメリカ人は決して諦めない。決して降伏しない。私たちは歴史から逃げない。私たちは歴史を作るのです。

ありがとう。神の祝福を。そして神がアメリカを祝福しますように。みなさん本当にどうもありがとう。