新型コロナウイルス感染拡大により、海外旅行はおろか、日常の外出すらも制限される日々。

旅好き・お出かけ好きの人は、自由に出かけられないことに対し、ストレスやフラストレーションを抱えて毎日を過ごされているのではないでしょうか。

しかし、こういった毎日もいつかは終わりが来ます。また自由に海外旅行が楽しめるようになるその日まで、今はしばしの脳内トラベルを楽しみましょう。

世界にはまだ見ぬ風景がいっぱい!「コロナ後」に行きたい世界遺産として、今回はマレーシア・ペナン島のジョージタウンをご紹介します。

「文明の交差点」― この言葉を聞いてなんとも言えないロマンを感じる人は少なくないでしょう。

マレーシアにはこう呼ばれる世界遺産の町が2つあります。ひとつが、マラッカ。そしてもうひとつが今回ご紹介するペナン島の中心都市・ジョージタウンです。

マレーシア北西部、マラッカ海峡に位置するペナン島は、イギリスがマレーシアで最初に植民地とした場所。

1786年、イギリス東インド会社のフランシス・ライトが、東南アジア進出の足がかりにこの地を選び、マレー半島におけるイギリスの植民地支配が始まりました。以来、ペナン島は「プリンス・オブ・ウェールズ島」と呼ばれ、東西貿易の中継地として発展。

さまざまな民族が行き交うことで、ヨーロッパ、中国、マレー、インドといった多文化が混在する、稀有な町並みが生まれたのです。

「東洋の真珠」とも呼ばれたペナン島は、しだいに東南アジア屈指のビーチリゾートとしても発展していきました。

その中心都市が、歴史的建造物がひしめき合うジョージタウン。西洋と東洋が混在するユニークな町並みが評価され、2008年には歴史地区全体が世界遺産に登録されています。

ジョージタウンの魅力は、中国風の寺院やマレー式のモスク、インド式のモスク、ヒンドゥー教の寺院、イギリス風の教会など、異なる文化・宗教的背景をもつ建造物が隣り合い、共存していること。くるくると風景が変わるその町並みは、まさにモザイクのようです。

異なる文化が行き交うなかで、異文化が融合した新しい様式も生まれました。

中国からマレーシアやシンガポールに渡った中国系移民の子孫のことを「プラナカン」といい、彼らは中国文化にマレー、西洋の文化を融合させた華やかなプラナカン文化を生み出しました。

プラナカン文化はジョージタウン文化のハイライトのひとつ。なかでも、1000点を超えるアンティークを展示する博物館として公開されている「ペナン・プラナカン・マンション」や、ジョージタウンのシンボル的存在で、「ブルー・マンション」の愛称で知られる「チョンファッツィ・マンション」は必見。

「文明の十字路」で花開いた豪華絢爛なプラナカン文化に触れる時間は、至高のひとときです。

最近のジョージタウンを語るうえで忘れてはいけないのが、ストリートアート。ジョージタウンの町並みに変化が訪れたのは、2012年のこと。

リトアニア出身の若手アーティスト、アーネスト・ザカレビッチが、地元の人々をモデルに、ペナン島の日常を表現したウォールアートを描きました。

すると、彼の作品に刺激を受けたアーティストたちがさらに多くのストリートアートを制作し、ジョージタウンはすっかりアートの町に生まれ変わったのです。

ジョージタウンには非公認のものも含めると無数のストリートアートがあり、「あらゆる路地にストリートアートが潜んでいる」と言っても過言ではないほど。

ジョージタウンのストリートアートは、古い建物の黒ずんだ壁やはがれかけた壁の質感を生かした、温かみのあるノスタルジックな作風が特徴。塗られたばかりの壁ではなく、見た目にも長い歴史を刻んできたことがわかる建物に描かれているからこそ、アートたちがさらに味わいを増していると思いませんか?

異文化が共存するモザイクのような町並みに、ノスタルジックなストリートアートが加わったことで、再びジョージタウンが脚光を浴びることとなりました。

ジョージタウンは食の町としても有名。中国料理に、マレー料理、インド料理と、さまざまなジャンルの屋台から「何を食べようかな」と思案するのもジョージタウン旅行の醍醐味です。

ペナン島にはたくさんの名物料理がありますが、ぜひ一度は食べてみたいのが「ペナンラクサ」。2011年、ペナンラクサはアメリカのCNNが選ぶ「世界美食ランキング7位」にも選ばれました。

ラクサ自体はマレーシア各地やシンガポールで食べられる麺料理ですが、ココナッツミルクを使わないペナンラクサは、フレッシュな酸味が特徴。

甘くて、酸っぱくて、辛い、魚介のダシや数々のハーブが生み出す重層的な味わいは、かつて体験したことのない魔訶不思議な味わい。一度食べるとすっかりハマってしまうかもしれません。

町歩きはもちろん、食の楽しみにも事欠かないジョージタウン。歴史ロマンに触れながら、食への探求心も満たされること請け合いです。