ドイツ、ニーダ―ザクセン州。ハノーファーから電車で30分ほどの場所にあるヒルデスハイムという町には、1000年以上生き続けているという薔薇があります。

その薔薇があるのが、世界遺産にも登録されている聖マリア大聖堂です。ロマネスク様式の大聖堂は11世紀に完成し、その後も拡張が繰り返されました。

この大聖堂の中庭に茂っているこの薔薇が、1000年以上生きているという伝説を持っているのです。

薔薇にはカール大帝の子、ルートヴィヒ敬虔王にまつわる伝説があります。9世紀の初め、彼は狩りに行く際、礼拝に使う聖遺物容器も持っていきました。しかしそれを森に忘れて探しに戻り、薔薇の茂みに引っかかっている容器を発見します。

容器を薔薇の茂みから取り出そうとする王ですが、どうしてもとることが出来ません。彼はこれを神のお告げと悟り、薔薇の茂みがある場所に礼拝堂を建てたのです。そしてその礼拝堂こそが、ここにある聖マリア大聖堂なのです。

ヒルデスハイムは第二次大戦で町が大きな被害を受けます。町にある他の建物と同じように、この大聖堂も破壊され、薔薇も焼けてしまいました。しかし根の部分はまだ生きており、8週間後に再び25もの新しい芽をつけたのです。

1000年生きている薔薇に会いに行く前に、大聖堂の内部も見てみましょう。豪華な祭壇がある訳でもなく、内部はいたってシンプルな造りです。

大聖堂の中庭に出てみましょう。しんと静まり返った中庭には美しい回廊もあります。

中庭の中心にはチャペルもあり、中ではマリア像が訪れる者を静かに迎えてくれます。

そのチャペルの向かいにあるのが、1000年生きているという薔薇です。

壁に這うようにして上へ上へと伸びている薔薇。筆者が訪れた際にはまだ薔薇は咲いていませんでしたが、初夏になるとピンク色の小さくて可愛らしい花を咲かせます。

ツルにはいくつものタグが。このタグに書かれている数字は、付けられているツルが伸びてきた年を示しています。このツルは終戦後まもなく伸びてきたものなのですね。

一度は戦争で焼けてしまっても、再び甦ったマリア大聖堂の薔薇。その前に立つだけで、なにか壮大なパワーを貰えるような気がします。

しんと静まり返った大聖堂の中庭で、この薔薇が生きた1000という長い歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。