バルト海のフィンランド湾を臨む、エストニアの首都タリン。北ヨーロッパで最もよく保存された中世都市のひとつであるタリンの旧市街は、まるごと世界遺産に登録されています。

そんな旧市街の中心が、ラエコヤ広場。広場の顔ともいえる存在が、14世紀なかばに最初の建物が建てられ、1404年の増築によって現在の姿となった旧市庁舎。北ヨーロッパに残る唯一のゴシック様式の市庁舎として、堂々たる風格を見せています。

そしてこの市庁舎の1階に、中世のタリンの雰囲気が体験できるとっておきの場所があります。それが、ユニークなカフェ・バー「3ドラーコン(?Draakon)」。

15世紀当時の様子を再現した、ろうそくの明かりだけの店内で過ごすひとときは、異次元の世界に迷い込んだかのような不思議な体験です。店の前にもテラス席がありますが、中世の雰囲気を存分に味わうなら、なんといっても店内がおすすめ。

薄暗い店内に足を踏み入れれば、そこはまさに中世の世界。「15世紀の世界にようこそ」と、中世風の衣装を着たスタッフが迎えてくれます。

ろうそくの明かりだけで照らされた空間は、現代のテクノロジーの匂いがせず、一瞬でタイムスリップしたような気分が味わえます。

「3ドラーコン」という名前で、現在のスタイルで営業を始めて7年。それ以前、この場所には別のカフェ・バーがあり、市庁舎が建てられた当時は、倉庫として使われていたとみられています。

ここの名物は、中世風の器からいただくエルク(シカの一種)のスープ。エルクの肉や、玉ねぎ、人参などが入った濃厚なうまみたっぷりのスープです。

スプーンを使わずに、器に直接口を付けて飲むのが中世流。現代のヨーロッパのテーブルマナーとはずいぶん違いますね。

日本ではそれほど一般的とはいえないエルクの肉。いったいどんな味がするのかと思いきや、クセがなくさっぱりとしたおいしさです。スプーンを使わずに飲もうとすると、最後にどうしても具が少し残ってしまいますが、頑張って残さずいただきましょう。

スープのほかに、りんごやほうれん草、キャベツ、牛肉のパイや、ソーセージ、ビールなどのドリンクもあります。

驚きなのが、店のお客さんが自由に取って食べてもいいというピクルス。これが大きな樽に入っていて、巨大なフォークでキュウリを突き刺して取るのです。スタッフは「フォーク」と表現していましたが、なかば槍といってもいいような大きさ。

キュウリのサイズは、日本の一般的なキュウリの2〜3分の1とそれほど大きくはないものの、長ーい「フォーク」でうまく取るのは意外にも難しい!このような普段はできない体験も用意されているのです。

ここまで完璧に中世の空間を再現しているだけあって、トイレも特別仕様。木製の樽に水道の蛇口が付いていて、水洗レバーも21世紀を感じさせません。

こぢんまりとしたお店ながら、徹底的に中世らしさにこだわった空間は、世界遺産の街・タリンにふさわしい特別な場所。あなたもタリンの中心で、15世紀にタイムスリップしてみませんか。

お店 3ドラーコン(?Draakon)
住所 Raekoja plats 1, 10146 Tallinn
営業時間 9:00〜24:00
公式HP http://www.kolmasdraakon.ee/index.php/en/main