『GLEAT Ver.0』東京・後楽園ホール(2020年10月15日)
UWFルール ダブルバウト ○船木誠勝&田中稔vs大久保一樹&伊藤貴則×

 UWFにこだわり続ける孤高の天才・田村潔司による“UWFバウト"が、新団体『GLEAT』のプレ旗揚げ戦からスタート。GLEAT入りした元WRESTLE-1の伊藤がダブルバウト形式で船木に玉砕したものの、「まだまだ始まったばかり」と上を向いた。

 田村はエグゼクティブディレクターとしてGLEATに参画。いわゆる“道場論"に基づいて伊藤貴則、渡辺壮馬の元W-1若手2選手を育成しつつ、「プロレス50%、格闘技50&」の世界観を標ぼうするUWFマッチをGLEATで手掛けることになった。

 ルールは「5ロストポイント制」。ダウンもロープエスケープも「1ポイント」に換算される。通常のプロレスルールとは違い、3カウントや場外リングアウトは認められず、決着はギブアップ、KO、レフェリーストップ、ドクターストップ、ポイントアウト、タオル投入、反則のみで、頭突き、ヒジ打ち、金的は禁止となった。

 大会前には渡辺に稽古をつけるスパーリングを披露した田村。試合でもUWFルール初挑戦となる伊藤のセコンドに就いた。

 伊藤は田村の愛弟子・大久保と組み、船木&稔の強力コンビと対決。黒いショートタイツ姿で現れた伊藤は、W-1時代よりも肉体を絞って精悍な雰囲気を漂わせた。先発を買って出ると、稔相手に冷静に試合を展開。セコンドについた田村のアドバイスを聞きながら、ローキックや掌底を交錯させた。船木と対峙すると、グラウンドで下になってしまうが、果敢に動き続けて、難を逃れる。

 その後、パートナーの大久保と稔が火花。稔がサソリ固めを大胆にも披露するなどしてせめぎ合い、両軍2ポイントずつ失い、ともに残り3ポイントの状態で、伊藤が再びリングに入って、船木と相対した。

 コーナー付近でミドルキックを連発した伊藤は、掌底をかいくぐり、ジャーマンで投げ捨てると、すぐさま側頭部をミドルキックで射抜いてダウンをもぎ取る。だが、船木も立ち上がった直後に裏拳をぶち込んでポイントを奪取。伊藤がなんとか立ち上がると、ここから激しい掌底合戦に。船木は浴びせ蹴りで再びダウンをもぎ取り、残り1ポイントに追い詰めた。

 伊藤は大逆転を狙って掌底を振り回したものの、冷静な船木はカウンターの一撃で棒立ちにさせると、そのままスリーパーに持ち込み、一気に試合を制した。

 プレ旗揚げ戦で挑んだ初のUWFルールは玉砕に終わった伊藤は「前の団体が終わって、半年経ち、今のGLEATに入って、3ヵ月みっちり格闘技の練習とプロレスの練習をやってきましたけど、やっぱり船木さんと田中さんの壁はメチャメチャ厚かったです」と反省の弁。それでも「まだまだ3ヵ月、自分は始まったばかりなんで。これからどんどんどんどん練習して、あの偉大な2人を超えて、このスタイルでは今の若手だと伊藤だっていうことを証明したいと思います」と未来を見据えてさらなる精進を誓った。

 田村は全試合終了後に改めてコメントを発表。今大会では女子の朱里vs優宇を含めて2試合のUWFルールによる試合が組まれたが、「感触は僕自身ですけど掴めたかなという感じなので。これをオーナーと相談しながら続けていくことが大切なのかなという風に思います」と一定の手応えを感じたようで、「今日は久しぶりにUWFの試合を拝見させてもらって、凄くよかったと思います」と振り返った。

 現時点では伊藤も渡辺も基礎体力を鍛えている段階で、本格的な技術指導はこれからとなる。「もう少しちょっと欲を言えば、技術の攻防があったらよかったなと」と課題を指摘した田村は、「技術的にはたくさん教えることもありますし。あとは、技術がなくても、感情で伝えることっていうのはできると思うので。そういうところは教えにくいですけど、僕ができる範囲では気付いた時にヒントをちょっと与えて、課題として『宿題で』という感じで、成長していってもらえたらなという風に思います」と意気込んだ。

 来年7月に予定されている本格旗揚げ戦にはジョシュ・バーネットの参戦が決定。10月には田村と同じく元Uインター出身の松井大二郎も入団する。令和の時代に復活したUWFスタイルの萌芽を田村は誠心誠意育てていく構えだ。

【試合後の大久保&伊藤】
▼伊藤「前の団体が終わって、半年経ち、今のGLEATに入って、3ヵ月みっちり格闘技の練習とプロレスの練習をやってきましたけど、やっぱり船木さんと田中さんの壁はメチャメチャ厚かったです。このUWFの試合に自分が選ばれたってことは、そういうスタイルを求められていると思うので。まだまだ3ヵ月、自分は始まったばかりなんで。これからどんどんどんどん練習して、あの偉大な2人を超えて、このスタイルでは今の若手だと伊藤だっていうことを証明したいと思います」

▼大久保「凄い気持ちってのが出てて。技術じゃないぶつかり合い。逆に自分がもっと船木選手とかと絡みたかった。逆に全部伊藤選手に持っていかれたというのがちょっと自分的には不甲斐なかったかなと。申し訳ないなという気持ちがあるんですけどね。僕だってね、せっかくこのGLEATのプレ旗揚げ戦でこういうマッチメイクを組んでいただいたってことは、結果残さないといけないと思いますし。今日は伊藤選手が前に前に出て、逆に自分が出れなかったというのが悔しいですけど、もっともっと自分だって上にあがっていきたい。伊藤選手だって、まだまだ若いし、図式から見たら俺と伊藤選手はまだまだ若い軍団かもしれないけど、俺だってもう若手の域じゃないと自分で思ってますよ。確かに経験値は少ないかもしれないけど、こういう大きな団体に呼ばれたら、もっと大久保一樹というのをアピールしたい。以上です」

【試合後の船木&稔】
▼稔「藤原組から入っているから、ずっとUWFスタイルをやっていたはずなんですけどね。間が空きすぎて、こんな疲れるスタイルだっけって。あと、こんないろんなところが痛いスタイルだっけと思って。だから、心地いい痛みとか、疲れだったり」

▼船木「試合って感じだよね」

▼稔「そうですね。試し合い。自分たちの技術の試し合いで。いや、楽しかったですね。伊藤選手もね、ブランクが半年あったりとかするかもしれないですけど、絶対いい選手になりそうなんで」

▼船木「もっと向こうは思いきり来ていい」

▼稔「そうですね。もっと来ていいですね。大久保ちゃんにしても」

▼船木「もっと来ていい。まあ、伊藤選手は初めてだから、どうやってやったらいいのかまだわからないから」

▼稔「凄い探り探りな感じがしたんで。伊藤選手は特に。大久保ちゃんはあれですけど、伊藤選手は探り探りな感じでしたから」

▼船木「これから探って探って、自分の課題を作っていけば。彼は25歳?」

▼稔「みたいですね。若いですね」

▼船木「で、またUスタイルを継承するっていうのは凄い嬉しいですね。やっぱり田村がいるから、それができたんだなと思う。頑なに、長州さんがいるのに、そこにUスタイルを持ってきたというのが、それを押し通したというのが。それで若手にUスタイルをやらせちゃったじゃないですか」

▼稔「田村さんらしいですよね」

▼船木「田村しかできない。俺だったらやめるよ」

▼稔「僕も合わせていきます。田村さんらしいですよね」

▼船木「田村しかできないよ。そういう意味では、伊藤選手がこれからどういう風に育っていくか。もしかしたら異種格闘技戦とか経験するかもしれないし。それをやった上で、令和に…令和だ。平成終わって令和だ。令和にUWFをもう1回だけ。ひとりいればいいんですよ。ひとりいれば必ずそこからまた2人、3人出てきますから。今日はそういう意味で凄く嬉しかったですね。産まれた赤ん坊を叩いたみたいな感じで」

【田村の話】
※全試合終了後にコメント
――プレ旗揚げ戦を終えて、率直な感想は?

▼田村「疲れましたね。結構運営側というか、どんな感じになっていくのかなという不安感もあって。選手が一番頑張っていただいたと思うんですけど、僕はUWFを担当してますので。感触は僕自身ですけど掴めたかなという感じなので。これをオーナーと相談しながら続けていくことが大切なのかなという風に思います。今はこういう状況なので、ファンの方の声援などはあまり大きな声でできないということだったので、ちょっとコロナが落ち着いて、声援が送れるようになった時に反応とかが凄くダイレクトに伝わると思うんで。そういうところもちょっと楽しみにしながら。今日は久しぶりにUWFの試合を拝見させてもらって、凄くよかったと思います。ちょっと気の利いたコメントはないんですけど」

――どの部分がよかった?

▼田村「女子の朱里選手と優宇選手。優宇選手の払い腰だったり、タッグマッチのほうは船木さんと伊藤の後半ですかね。後半の掌底というか、張り手合戦とか。まあ、もう少しちょっと欲を言えば、技術の攻防があったらよかったなと。これは欲を言えばで、今はもう全然楽しませていただいたので、まったく僕としては満足してます」

――渡辺選手のファイトはどうだった?

▼田村「まだまだ磨くところがたくさんあると思うんで。例えば、長州さんのストンピングの打ち方と、壮馬のストンピングの打ち方でいうと、雲泥の差があるんで。そういうところも長州さんのビデオとか、昔の映像とかを見て、自分自身で成長していかなきゃいけないと思うんで。そこは僕はこういう風に見ましたけど、自分で成長していってほしいなと思います」

――教え子2人は教えていたことをリング上で出せていた?

▼田村「いやいや、まだまだですね、全然。僕はまだ教えてないんで。教えている段階というか、まず基礎体力をやらせてて。技術的にはスパーリングを数回はやりましたけど、技術的にはたくさん教えることもありますし。あとは、技術がなくても、感情で伝えることっていうのはできると思うので。そういうところは教えにくいですけど、僕ができる範囲では気付いた時にヒントをちょっと与えて、課題として『宿題で』という感じで、成長していってもらえたらなという風に思います」

――大会前にはお客さんがいる中で、田村さん自身がリング上でスパーリングをしていたが?

▼田村「見てました? そうですね。どれぐらいの方が、記者の方も含めて見ていただいたかわからないですけど、試合会場の開場前のスポットライトもない状態で練習するというのは、昔の新日本プロレスで藤原喜明さんが藤原教室みたいのをやってて。僕も昔、どこかの会場に観に行ったのかな? ファンの頃に観に行って。ああいう雰囲気で練習するのに凄く興味があったし、僕自身その雰囲気が好きで、ちょっと練習をさせてもらったんですけど。まあ、昔のUWFの流れをつないでみたという感じですね」

――実際に自分で動いてみてどうだった?

▼田村「いや、あれはもう普通の練習というか、普段やっているスパーリングの極めっこなんで。ただお客さんが会場入りした状態でのリングでやったので。むしろ僕というより、今日は壮馬でしたけど、壮馬がどういう風に感じるかっていうのを。で、彼に一応スパーリングを終えて、ちょっと疑問を投げかけて、宿題を出したんですけど、そういうところも含めて、いろいろ勉強なり、課題なりを与えていきたいなという風に思ってます」

――新入団選手として松井大二郎選手が発表されたが、松井選手に期待することは?

▼田村「Uインターで厳しい新弟子生活を送っていたほうの部類だったんで。何かしら僕のサポートにはなってくれると思うんですけど、実際どの距離感で仕事をしてもらうかはちょっと今わからなくて。一緒には練習すると思います、みんなと」