東京・後楽園ホール(2020年11月17日)
BJW認定デスマッチヘビー級選手権試合 ○藤田ミノルvs木高イサミ×

 藤田が壮絶な死闘となったイサミとの師弟対決を制し、デスマッチ王座2度目の防衛に成功。試合後、宮本が12・20名古屋大会での挑戦を表明した。

 デスマッチ王者・藤田は10・21後楽園大会で高橋を月光暗闇マッチで下し、初防衛に成功。試合後、次期挑戦者にイサミを指名し、この日のV2戦が決まった。イサミとはK-DOJO(2AWの前身)時代に師弟関係で後輩・イサミに手ほどきした。それが18年の歳月を経て、デスマッチの頂点をかけて対決する時を迎えた。

 試合形式は「地を這いつくばって天を突け、ガラスボード&ギガラダーデスマッチ」。2コーナーにガラスボードが設置され、イサミの代名詞であるギガラダーも投入される。まずは藤田が師弟時代をよぎらせるかのようなグラウンド戦に引き込んだが、イサミが蛍光灯めがけて投げつけて先制。蛍光灯で脳天を殴打し、額に蛍光灯を突き刺して王者を流血に追い込んだ。

 守勢に回った藤田だったが、ガラスボードにイサミを投げつけて逆襲ののろしを上げた。蛍光灯攻撃をお返しし、蛍光灯を利しての足4の字固めで拷問。するとイサミは蛍光灯で殴りつけて逃れ、雪崩式フランケンシュタイナーで椅子の上に叩き落として逆襲。顔面蹴りもぶち込んだが、藤田はギガラダーへの河津落としを敢行して主導権を渡さず。スピアー、ダブルアーム式バックブリーカー、蛍光灯を利してのダイビングボディプレスの猛攻でたたみかけ、古典技・ベアハッグで絞め上げた。

 耐えたイサミはギガラダー上からのダイビングボディアタックで決死のダイブ。エクスプロイダーで投げ合い、勇脚をぶち込んだが、藤田もラリアットで譲らず。意地の攻防となった中、藤田はガラスボード上への雪崩式SAYONARA(ツームストンパイルドライバー)を敢行した。

 粘るイサミもギガラダーに登った藤田を雪崩式ブレーンバスターで叩き落とし、「藤田ミノルさよなら!」と叫んで掟破りの逆SAYONARAも敢行。そしてギガラダーブレイクで勝負に出たが、藤田は王者の意地で3カウントを許さない。SAYONARAを連発して逆転を狙うと、イサミの絶槍を食らっても蛍光灯を投げつけて徹底抗戦。最後はサムソンクラッチで丸め込んで3カウントを奪った。

 壮絶な死闘となったイサミとの師弟対決を制した藤田がデスマッチ王座2度目の防衛に成功を果たした。「どんだけ汚ぇ手を使おうが、きれいなフィニッシュホールドでなかろうが、勝ちました!」と叫んだように泥臭くベルトを守り抜いたが、苦しそうな表情が物語るように「今日は当然のように勝った気がしねぇ。全然、会心の勝ち方なんかできない」というほどの薄氷勝利だった。

 言葉に詰まった藤田を引き継ぐようにイサミがマイクを持つと、「僕はマイクで困ったことが一回もありません。本音しか言ってないからです」と前置きしてから、「藤田さん、負けました」と潔く敗北を認めた。「僕はあなたの背中を見てきた」というイサミは藤田の壁を越えられなかったものの、「藤田さんがデスマッチヘビーに挑戦する、その野望を胸に持ってコロナ禍生き抜いて伊東さんに勝った。それをみたら僕はこの挑戦を楽しみにしてました」と思いの丈を口に。自身が主宰するBASARAではユニット「戦闘民族」で共闘する関係にあるだけに、「藤田さん、これからもよろしくお願いします! 僕もまだまだ上を狙っていこうと思いました」と変わらず藤田の背中を追いかける構えをみせ、握手を交わすと深々と頭を下げた。

 「心からありがとう。そしてプエルトリコで後輩として出会ってくれた奇跡にありがとう」と感謝した藤田。イサミが去ると、締めに入ろうとしたものの、そこへ宮本がやってきた。バルコニーに貼ってある幕を指差した宮本は「あれを見てください。12月20日、名古屋国際会議場。塚本拓海が1月2日、ここで挑戦するとあなたの試合前に言ってました。だから、その前に僕は12月20日、名古屋であなたに挑戦します! 名古屋で僕の挑戦受けてください」と名乗りを上げた。

 当初、藤田は「元チャンピオンは挑戦を自粛してくださいって獲った2日後に言ったのに、何で守ってくれないんだ!」と消極姿勢だったが、宮本から「それだけ藤田さんのチャンピオン像が魅力あるからです。僕たちで名古屋で変なデスマッチやりましょう。あなたとならきっとできると思います。みんなが嫌がるようなデスマッチやります。だから挑戦受けてください!」と再び訴えられると翻意。「わかりましたよ! 挑戦受けて立とうじゃないですか。皆さん、宮本裕向と私が一風変わったおかしなデスマッチやろうじゃありませんか」と呼応しつつ受諾し、V3戦が決定的となった。

【試合後の藤田】
※イサミのコメントを隣で聞き、イサミが去るとコメント

▼藤田「あんだけ褒められたあとで言うのも何ですけど必死ですよ。ただただ必死なだけですよ。あんなにいい選手になるんだったら、俺もなりたかったよ。あんなにカッコいい感じに。僕ホントにわりと叩き上げなんですけど、わりとデビュー当時からいろんなところで活躍できたんで、わりといいコースでプロレス界でいけるかなと思ったんですけど、気が付いたら、こんな泥んこレスラーみたいになってしまって(苦笑) 若手の頃にメインで頑張ってる中牧さんに似てるのかなって感じですね」

――昨年の頂の決勝戦では逆の結果だったが、それをひっくり返せた要因は?

▼藤田「ないですね。今日の方が必死でしたね。頂の決勝戦より。僕、霊感とかないですけど、何かが突き動かしてくれたのかなという感じですね。原動力はやっぱり僕の場合は悔しさなんで。イサミはああやって慕ってくれてますけど、初めて対戦した時、5年前、6年前ぐらい。僕が福岡にいる時ですよ。たぶん大日本の博多スターレーンでデスマッチで戦って、初対決でタッグマッチで負けて、でもイサミは慕ってくれて、おととしも決勝で当たったんですけど負けて。でも慕ってくれてっていう。こうやってベルトを獲っても今日みたいに、メイン任されたのも結果が悔しいんですけど…観客動員で結果を出せなかったし。大阪府立ビッグマッチでいろんな理由があると思うんですけど、私が目玉かと言われたらそうでもない。頑張っても頑張っても、進んでも進んでも、何かいろんなものがつかみきれてない感じがして。何かそのへんの意思が突き動かしたのかもしれないですね。何か上回ったとかはないです」

――極限のデスマッチとなった感があるが?

▼藤田「もうホントに開始数分で余裕がなくなりましたね。レスリングずっとやろうと思ったんですけど、痛くてできなかったです。そこから僕の計算はすぐに崩れたので。そういう意味では全然、上回ったっていう感覚はないですね。勝っても手応えはないですよ」

――ギガラダーブレイクを返すのはなかなかないが?

▼藤田「そんなに覚えてないですね正直。体はメチャクチャ痛いです。痛い。痛いですけど、これも先輩が歩んだ道なんで。今日このデスマッチだったってことは、お前はこれをやれと大日本プロレスの歴史がそう言ったんじゃないかなって気がします。僕、変なこと言ってます? 大丈夫ですか? スピリチュアルなこと言いましたけど大丈夫ですか?」

――宮本が「変なデスマッチを」と言っていたが?

▼藤田「正直この試合やったあとに次のこと絶対考えたくなかったんですけど、まさか二丁拳銃とやらなきゃいけないタイトルロードになるとは思わなかったんですけど。ホントにそれこそ3年ちょい前ぐらいですね。イサミと違う歴史があって、東京にまた戻ってくるちょっと前、宮本裕向がお手本だなってイメージを勝手に目標じゃないですけど。宮本裕向は666所属ではありますけど、フリー選手みたいなイメージを勝手に。そういう感じで活躍できたらいいなっていうのが宮本裕向だったんで。プロレス観もちょっと似てるのかなって。性格的な部分もあるので。うれしいはうれしいですよ、実は。実はやりたかったんで。(宮本が通りかかって)噂をすれば!」

▼宮本「あんたが汚くしたリングきれいにしてくるからな。片付けしてきまーす!」

▼藤田「次期挑戦者です。勝ちたい。勝ちたいです」


【試合後のイサミ】
▼イサミ「何だろうな。懐に包むような、そんなレスリングでした。僕のことを知ってる人、それこそ宮本さんとか、同期や先輩になればなるほど自分のフィニッシュホールドというのが決まったところで、果たしてこれは本当に効いてるのかなっていう不安と戦いながら技を決めてるんですけど、その例にのっとったように…術中に溺れてるんじゃないかって不安に陥るんですよね、うまい人とやると。そんな嫌な気分で試合してました。こうやって笑顔出してますけど、すがすがしいかと言われたら、それは違って、勝負の世界で生きてる以上、キャリア19年目だろうが何だろうが、負けたもんは悔しいし、獲られたもんは獲り返さなきゃいけないし、獲ったことないベルトなら獲ってみたいし。逆に藤田さんの背中を見てきたからこそ、今、俺が後輩に見せられる背中もあると思うんで、まだまだ狙い続ける大人げない先輩っていうのをもっとBASARAの奴らに一番に見せなきゃいけないし。でも大日本の若い奴らも俺と藤田さんが今日、後楽園のメイン二人で張って悔しいと思う。そんなの潰して俺が上にいくって思ってくれないと困るし。今度、石川とシングル決まってますよね。俺は潰しにいきますよ、正直言って。石川のいい試合だったって感じにはならない。俺は潰しにいく。あとは彼次第。僕は今日の藤田さんや他の選手みたいに大人にはまだなれないんで。そして俺は生き残る」

――デスマッチ王者の藤田とは初めて戦ったが?

▼イサミ「おそらくなんですけどデスマッチで藤田さんとやったのがたぶん5回ないです。今日含めて片手で収まる程度の試合数しかない中でやってたんで、普段、BASARAのリングで隣にいるのもあって、横にいて間だとか逆に学べることもたくさんあるんですけど、デスマッチでやる藤田さんの間っていうのは、僕もそうなんですけど、デスマッチでやる時の僕と通常ルールでやる時と、たとえばそれこそストロングの100キロ以上の人と試合する時と、戦い方を変えてるように藤田さんも絶対違うと思うんで、それは考えながらやってたんですけど、間が読めないですね。間が読めなかったです。というのも今一歩踏み出していいのか、いけないのか。今攻めてるけど、もう一歩攻めていいのか、それとも一回止まるべきなのかがわからないんです。だから自分のペースに入れないというか、そういう試合だったんで。だからそこが一番悔しかったです。勝敗抜いたらね。だから結局のところ僕の先生なんですよ。今2AWで、元KAIENTAIDOJOがあって、入ったのは藤田さん、僕の順なんですけど、出ていったのは僕、藤田さんの順。これは間違いない。KAIENTAIDOJOに対して一番初めに謀反を起こしたのは藤田さんと僕です。教わった期間は正直、短かったんですけど、逆に言えば、僕はフリーになってから、それこそGENTAROさんであるとか、大森(隆男)さんであるとか、いろんな師匠と一緒にレスリングしてきました。もちろん日高(郁人)さんともそうです。その時にふと源流に返ると藤田さんから教えてもらった基礎に肉付けをしていっただけであって、そこは変わらないんです。僕にとっての基礎は。木高イサミのバックボーンは何ですか?って言われた時、マスコミさんとかテレビの解説とかで、高田道場、総合格闘技出身者ってよく言われます。僕のプロレスのバックボーンは藤田ミノルです。これは声を大にして言いたいです」