『2021年新春』東京・後楽園ホール(2021年1月2日)
BJW認定デスマッチヘビー級選手権試合 ○塚本拓海vs藤田ミノル×

 実に5度目となる1・2後楽園でのデスマッチ王座挑戦となった塚本が藤田を執念で撃破し、涙の初戴冠を果たした。

 塚本は2014年、さらには2018年から2020年まで3年連続と新春の1・2後楽園を舞台に4度デスマッチ王座に挑んできた。今年の相手は3度の防衛を誇る藤田。これまで蛍光灯デスマッチで挑戦してきたが、結果に繋がらなかったことを受けて、塚本は直前の12・30後楽園でルール変更を要求。急きょ「2面有刺鉄線ボード+2面セルフボードデスマッチ」となり、両選手とも年末年始にセルフプロデュースのボードを制作し、新春決戦に臨んだ。

 藤田は五寸釘ボード、塚本は一斗缶ボードを投入。ゴング直後はグラウンド戦を繰り広げるが、離れた瞬間、塚本は背中を見せた藤田に背後からタックルを浴びせて有刺鉄線ボードに激突させる。さらに、パイプイスや有刺鉄線を上手く使って藤田をいたぶって先制した。

 負けじと藤田も自ら頭に有刺鉄線を巻きつけて反撃へ。決死のトペスイシーダを決めると、本間朋晃ばりの小こけしを投下。さらに、五寸釘ボードに塚本を頭から押しつけて追撃すると、「3日で用意したんだ、五寸釘ボード!」と製作にかかった苦労をぶつけるように延髄に低空ドロップキックを突き刺した。塚本は一斗缶ボードから一斗缶を引っぺがし、それを使って反撃するが、二段重ねに並べたところで藤田が動き、そこにブレーンバスターで叩きつけてさらなるダメージを与える。一斗缶を挟み込んでのダイビングボディプレスもさく裂した。

 ここで攻め込みたい藤田はイスとコーナーを使い、一斗缶ボードを固定すると、雪崩式ツームストンで頭から真っ逆さま。さらに、今度は有刺鉄線ボードをパイプイスを二段重ねにして固定するとコーナーに上がり、塚本を「来い」とあえて手招きした。呼応した塚本を顔面から叩きつけようと試みる。

 しかし、塚本はデッドリードライブで有刺鉄線ボードに叩きつけて形勢逆転。ブルーサンダー、トラースキックもさく裂してチャンスを掴む。エルボーの相打ちが続くと、両者とも五寸釘ボードを使って勝負に出た。打撃で相手をボードに叩きつけようと競り合うと、塚本のずどん、藤田のツームストンも決まらず。体勢は二転三転したが、塚本は背中合わせで藤田の体を捕らえると、五寸釘ボードの上で逆さ押さえ込みを決めて、執念の3カウントをもぎ取った。

 合計6度目の挑戦でついに塚本がデスマッチ王座を奪取。昨年11月に獲得したユニオンMAX王座に続き、シングル2冠王となった。マイクを持ち、「やっと…やっとこのベルトが獲れました」と吐露すると、感極まった塚本は涙を流した。

 「過去を振り返ったりするのは俺らしくないんで、あんまり振り返ったりはしたくなかったんですけど、こんなに1月2日に挑戦し続けて、2014年から7年経ちましたね。木高イサミ、竹田誠志、高橋匡哉、アブドーラ・小林、そして藤田ミノル…。俺はいろんな人と戦ってきて、1月2日、いろんな先輩や同世代とタイトルマッチをやり続けて、負け続けて悔しいなという気持ちのほうがメチャクチャ強かったんですけど、今日、その負けも決してただただ悔しいだけの負けじゃないというのがこのベルトを獲って、やっと実感しました」。思いの丈を塚本らしく切々と語ると、観客たちも苦労人に拍手を送った。

 もちろんこのベルト獲得はゴールではなく、王者としてのスタートになる。「まだまだこのベルトを防衛するという俺には義務というか、責務というか、この大日本プロレスをもっともっと盛り上げるチャンピオンとしての責任がある」と塚本は早くも王者としての責任をあらわに。コロナ禍に揺れる状況を踏まえて、「皆さん前を向いて、できるだけ明るい気持ちになって。いいことがなくても、次に次にと思えると思います。4年連続で、トータル5回、1月2日に負け続けた俺が言うんです。もっともっと明るく楽しく行きましょう!」とメッセージを送った。

 現在の世の状況は厳しく、次期防衛戦や今年はデスマッチで行われる予定の一騎当千がどうなるかもわからないが、それでも塚本の気持ちに迷いはない。「2021年、この大日本プロレス、デスマッチ界を引っ張っていくのは塚本拓海です」。そう力強く観客に約束して締めくくった。執念でタイトルを奪取を果たした苦労人が、2021年の大日本デスマッチ戦線で新しい景色を生み出していく。

【試合後の塚本】
▼塚本「僕はリング上でメッチャしゃべっちゃったんで。なんかしゃべりすぎちゃったなと。自分で持ち込んだ一斗缶で結構ボーッとしてます」

――今年キャリア12年目となり、ここにきて1ヶ月の間にシングルのベルトを2本奪取したが?

▼塚本「このユニオンMAXは何回か挑戦している中でこのベルトもキャリア11年で獲れたっていう。シングルがこれ初めてだったんですけど、ユニオンMAXのベルトを獲って、デスマッチのベルトに挑戦するということになってから、このベルトのおかげで、デスマッチのベルトに対する意欲っていうものも凄く上がったので。もちろん二冠王になれるというチャンスはまたとないと思うんで。このチャンスを逃したら。例年よりもこのベルトが欲しいというのは強かったし、藤田ミノルから獲りたいというのが強かったので。このチャンスをものにしたのは、僕個人的にも大きいと思います」

――形式を変更し、蛍光灯がないという状況でのタイトルマッチはどうだった?

▼塚本「これは僕らの感想よりも、お客さんの声というものもあると思うんですけど、僕は過去にもインタビューで答えたこともあるんですが、アイテムというか、凶器を乱舞するだけがデスマッチではないんで。頭を使って、今日みたいにこの攻撃でこの凶器を使うと。みんなそういう頭でデスマッチをやっていると思うんですけど、蛍光灯のないのをずっと僕はタイトルマッチでやりたいと思っていたので、今日はいい感じで自分と藤田ミノルにしかできないデスマッチが体現できたかなっていう。今後、蛍光灯って少なくなっていくよとか、LEDに切り替わって、正直言うと、危険度が増しているというのもあるんですよ。新品のものに取り替えて劣化していないものを試合で使うとか、そういうこともあって、怪我が多いというのもあるんで。その分、蛍光灯って今までもそうですけど、一番危ないよって。蛍光灯の絶対性というか、必要性はもうないわけじゃないですけど、奥の手というか。僕の中ではね。あとはずっと蛍光灯で1・2に挑戦してきて、獲れなかったという思いは強かったんで。じゃあ、今回は自分が今までやってきてないものとか、自分に自信があるものを蛍光灯以外でやってみようという気持ちが強かったんで。でも、結果こうやってベルトが獲れたんで。自信を持って、自分の武器にしていきたいと思いますね。こういうデスマッチを展開していきたいです」

――古巣の頂点に立った気持ちは?

▼塚本「正直、試合後に自然と3カウント聞いて、涙が出ちゃったぐらい嬉しかったので。率直な感想は嬉しいですね。通算5回挑戦して獲れなかったものが6回目に獲れたので、人一倍思い入れは強いと思います。このベルトに対する」

――例年通りであれば春からデスマッチによる一騎当千が始まる。こういう状況なので例年通りに行われるかはわからないが、今の気持ちとして、一騎当千に参加したい?

▼塚本「正直言うと、出ないのも得策だと思いますし、出ることによって自分を試したいという気持ちもあります。それはちょっと時期が近づいてきたら考えたいなっていうのは。リーグ戦であれば、凄く興味も出てくると思います。いろんな選手とやりながらできると思うんで。まあ、どちらにしても僕はそういう気持ちでいますね。出たいほうが強いかもしれないですね」

――二冠になったことで、ユニオンMAXの防衛戦に臨む気持ちも変わってきそう?

▼塚本「昨日、うちの新年一発目で、同じ感じで質問受けましたけど、今日は大日本ですけど、BASARAの1月20日の5周年の記念の大会で、因縁深いFUMAと僕の初防衛戦があるんですけど、このデスマッチを獲って、ユニオンMAXの防衛戦ではあるけども、意識はいくんで、負けられないって気持ちは凄く高まったというか。絶対負けちゃいけないですよね。世間様から見ても二冠王は二冠王なんで、負けることは許されないと思うんです。負ける時は本当にもう辞めなきゃいけないかなと思うぐらいなんで。意識はいい意味で変わってます」

※ここで缶ビールを持ってパートナーの竹田が登場すると

▼竹田「勝ったから今、コンビニで買ってきたよ。塚本拓海がチャンピオンになったというのは俺も嬉しいから。いろいろ暗黒期を知ってるからね。暗黒期を酒で消毒しましょう。おめでとう」

※乾杯したあと、塚本の頭にビールをかけて祝福すると

▼竹田「おめでとう」

▼塚本「ありがとうございました。IWGPタッグを獲った後藤達俊と小原道由みたいだ」

【藤田の話】「悔しいですね。ここからが自分の希望した防衛ロードが始まるところだったんですけど。いやあ、悔しいですね。今までは元チャンピオンの実績がある選手で、もし負けたとしても悔いはないんだろうなと思ってたんですけど、いざこうやってチャンピオンになったことがない塚本拓海に負けて、なんとも言えない喪失感ですね。今までのチャンピオン時代にない喪失感だ。本当に正直、今でも負けを認めたくないし、これからまだプロレス界が明るい見通しが立ってない状況で、チャンピオンの座を譲り渡してしまったことにちょっと不甲斐ない気持ちもあります。と、同時に、塚本拓海にさらなる私にできなかったチャンピオン像を見せてほしいと思います。すいません。負けたくせにしゃべりすぎました。ありがとうございました。これを糧に、また私は強くなります」