東京・後楽園ホール(2021年1月11日)
BJW認定ジュニアヘビー級選手権試合 ○木高イサミvs橋本和樹×

 イサミがあえて和樹の土俵で勝負し、ヘッドロックで執念のギブアップ勝ち。初防衛を果たした王者に佐藤が実力行使で挑戦を表明した。

 イサミは昨年12・30後楽園大会で吉野を破ってBJWジュニア王座初戴冠。さっそくこの日、第2代王者でもある和樹との初防衛戦を迎えた。

 勝てば1年8ヵ月ぶり2度目の戴冠となる和樹はギブアップもしくはKO勝利を見据え、足攻めで先手を取る。イサミがDDTや串刺しジャンピングフロントハイキックで反撃すると、フロントネックロックで捕獲。王者は首攻めに出ようとしたが、和樹が飛びつきヒザ十字で絡みついて主導権を渡さず。アンクルホールドで絞め上げた。

 振りほどいたイサミはエルボー合戦に持ち込んだが、競り勝ったのは和樹。それでもイサミは立ち向かい、互いの名前を呼び合いながらエルボーを何発も打ち合う。これを和樹がラリアットで制すると、ダウンカウントが数えられた。

 何とか立ち上がったイサミはヒザ蹴りで和樹を棒立ちにさせると、肩固めで捕らえる。そのまま胴締め式に持ち込んで絞め上げたが、耐えた和樹は垂直落下式ブレーンバスターで逆襲。イサミがヒザ蹴りで応戦しても、エルボーやボディへのヘッドバットでやり返し、ハイキック、デスバレーボムでKO寸前に追い込んだが、イサミは何とか立ち上がってヘッドロックで捕獲。和樹がロープに振ろうとしても、バックドロップで叩きつけても意地でも離さず。なおも絞め続け、執念で和樹をギブアップに追い込んだ。

 イサミがBJWジュニア初防衛に成功。基本技のヘッドロックがフィニッシュホールドとなることはまれだが、「和樹が『俺はフォールしない。ギブアップかKOであんたから勝つ』って言ってたんで、言っていた以上はチャンピオンとしてもそこは乗らないわけにはいかない」と和樹の思いに呼応して相手の土俵に乗った形。「最後は意地です。あのヘッドロック外したらたぶん負けてた」と振り返ったように、執念で奪ったギブアップだった。

 試合後、マイクを持ったイサミだったが、背後から迫った佐藤のドロップキックを食らった。倒れ込んだイサミの前で佐藤は「イサミさん、急に蹴ってごめんなさい」と謝罪しながらも、「プロレスリングBASARAに流出した、このジュニアのベルトを大日本プロレスに僕が取り戻します。イサミさん、僕の挑戦を受けてください。お願いします」と外敵からの奪還を強調して表明した。

 するとイサミは「お断りさせていただきます。大日本に取り戻したい気持ちはよくわかりますけど、チャンピオンの後頭部をいきなり蹴ったり、ずっと結果もついてきていないような選手の挑戦を受けることはできません」と拒んだ。それでも佐藤は引かず、「今日も負けました。結果を出してません。そういう人間の挑戦を受けられない超つまんないチャンピオンなんですねイサミさんは」と皮肉を込めつつ、「あと1個言わせてもらえば、今日ここに俺以外、上がってきてないですよね。下や控室でぬくぬくと試合みてた奴らと俺は違うんですよ。大日本プロレスジュニアに危機感をもってあなたに挑戦したいんです。もう一回言います。挑戦させてください。お願いします」と改めて訴えた。

 場内も拍手で佐藤を後押し。これにはイサミも「まぁ、そこまで言われたら受けなきゃチャンピオンじゃないでしょう。受けよう」と受諾を宣言した。「時間と場所、全てお前に任せるよ」と続けると、佐藤は「じゃあ挑戦させてもらえるということですね。時間と場所は僕が勝手に決めます」と宣言した。

 思いがけない形の挑戦表明にイサミは「お前ら、どういう教育してんだ!?」とセコンド勢に向かって怒声を上げたが、前王者の吉野からジュニア活性化の志を受け継いだだけに「ちょっと活気づいてきたんじゃないですか」と佐藤の行動を歓迎。「どう思いますか? まだ納得いかないって人がいるんであれば、それは次の佐藤との試合で証明させていただきます」と誓ってみせた。

【試合後のイサミ、和樹】
▼和樹「いや、胸の中の1個のしこりが取れた感じですよね。去年できなかった、楽しみしてたカードができたことがまず嬉しかったのがひとつ。中二くさかったな、俺らのプロレス。中二病を患っているヤツは絶対大好きな試合だったよ。負けて清々しいけど、久しぶりだよね。負けてこんなに悔しいのは。スゲエ久しぶりだった」

▼イサミ「ありがとう。足が痛いけど…」

▼和樹「俺は首痛えですし、顔が痛えっす」

▼イサミ「いや、今までの大日ジュニアとはちょっと異質な試合になったかな? ただの意地の張り合いになっちゃったかな?」

▼和樹「けど、自己満足だなんだって言われても、やっぱ僕、こういうプロレス大好きです。やってくれる人も少ない中で、やっぱりイサミさんがやってくれたから」

▼イサミ「打撃もきついのもらったし。やっぱ打撃じゃ勝てなかったんで、僕の持っているテクニックでそれをカバーしたって感じですね。それで勝ったって感じですね。最後は意地です。あのヘッドロック外したらたぶん負けてたんで」

▼和樹「ヘッドロックって、初歩中の初歩っすよ。練習生が一番最初に教わるようなものでやられたんですよ。メッチャ悔しい」

▼イサミ「だったらさ、またやったらいいじゃん」

▼和樹「またやりましょうよ。これは本当に仲良し子良しじゃないです、僕らは。今日1個絶望したのは、木高イサミのセコンドに大日本の連中がいたの。さぶいね。普通に考えろ。隣にいるのになんだけど、BASARAの大将、他団体にベルトが移動したんだぜ。仲良し子良しをリングに持ち込むな。プライベートで仲がいいのは結構だよ。俺だって仲がいい選手はいくらでもいるさ。だけど、それはリングには持ち込まない。そんなプライベートはいらないんだよ、プロのリングでは。イサミさん、またお願いします」

▼イサミ「あっ、和樹。タイトルマッチやる前に、相手怪我させるヤツはプロじゃないとか言ったけど、俺もさ、今までたくさんさせてきたし、もちろん自分もしてきたし。でも、俺は1個も恨みに思ってないし。まあ、俺からやられた選手は恨みに思っているかもしれないけど。でも、そうやって俺は成長してきたんだよ。だから、そのスタイル変えるなよ。お前の打ち所がない時は、いつでも俺が受けてやる。その時はいつでもやろうぜ」

▼和樹「橋本和樹のバチバチ、お願いします」

▼イサミ「OK。サンキュー」

▼和樹「ありがとうございました」

※和樹が先に去っていく

▼イサミ「正直、久しぶりでした、タイトルマッチ前に寝れないっていうのは。たぶんワクワクより怖さのほうが上だったんじゃないかなっていうのが正直な気持ちです」

――先ほどヘッドロックを意地と表現していたが、この技で決めるという気持ちだった?

▼イサミ「3カウントを取る技であれば、あそこから丸め込んだりであるとか、いくらでもパターンはあるんですけど、今日の試合は和樹が『俺はフォールしない。ギブアップかKOであんたから勝つ』って言ってたんで、言っていた以上はチャンピオンとしてもそこは乗らないわけにはいかないんで。ここで丸め込むわけにもなと思って。それで苦肉の策ですね。でも、昔からずっとひねってきた技ではあるんで。入り方であるとか、絞り方のレパートリーであるとかはたくさんやってきた技なんで。だから、キャリアを積んで、基礎に帰るじゃないですけど、僕の中ではそういう気分です」

――ヘッドロックは基本技として軽く見られがちだが、フィニッシュとして十分使えることを証明した形にもなった

▼イサミ「まあまあ、結果としてですね。結果としてそうですけど、やっぱり難しいのは、絞り技なんで、結構相手の限界まで、それこそ頬骨がギシギシ言うレベルまで絞らないと、たぶんタップは取れないんですよ。それって怪我させるかさせないかの瀬戸際なんですよね。そのぎりっぎりを攻めるのが僕はプロレスだと思っているんですよ。だから、腕ひしぎ十字固めもヒジが抜ける時と、抜けずにダメージが残る。それは多少靱帯にダメージが残るはしょうがないと思うんですけど、靱帯を切ってしまったりするのは、僕は違うと思うし。その見極めっていうんですか。そのことをさっき和樹に伝えたつもりです。やっぱそうなんですよ。レスラーって意地っ張りだから、あそこで和樹がタップしなかったら、俺はもしかしたらいくところまでいかなきゃいけなかったかもしれないし。自分で言った言葉が自分で自分に重くのしかかって。プラス、和樹のそういうルールの要求っていうんですか。それも含めてより重くなって、久しぶりに緊張しちゃいましたね」

――試合後、佐藤選手が実力行使という形で挑戦表明したが?

▼イサミ「でも、なんか会場は『いいぞ佐藤』みたいな感じだったんじゃないですか? それならいいっすよ、別に。全然受け入れます」

――実績うんぬんよりも、佐藤選手の気持ちを買うと?

▼イサミ「そうですね。和樹も佐藤も、BASARAの、BASARAのって言ってたけど、そんなこと言ったら、俺が一番初めに大日本のタッグのベルトを竹田と巻いた時とかもそうだったし、あの時はまだユニオンだったし。二丁拳銃で巻いてる時もあって、ユニオンだったり、666だったり、BASARAだったり、僕と裕向が同じ団体だったことは1回もないし。僕はね、そういうつもりでこだわっているわけじゃないんですよ。仲良し子良しでいるわけじゃないし、別にリングにそれを持ち込んでいるつもりもないし。まあ別に、それが気持ち悪いって言う人もいるだろうし、見たくないんだよみたいな人もいると思うんで、それはそれで甘んじて受け入れます。なんでかって言うと、全員にそれを認めてくださいよっていうものではないと思うんで、僕は。だから、別に僕は持ち込んでいるつもりないですけど。でも、吉野から獲ったんだから、吉野の気持ちは汲もうと思ってます。ジュニアを活性化させたいです。ただその片棒を担ぎたいです。まあ、佐藤に関しては、そうですね、気持ちを買ったのと、ちょっとお客さんに押されましたね。お客さんが『お前受けろよ』みたいな空気だったんで。『いいぞ佐藤』みたいな空気だったんで、あれはちょっと持っていかれましたね。ちょっとしてやられたって感じの挑戦表明でした」