『WRESTLE GRAND SLAM in METLIFE DOME』埼玉・メットライフドーム(2021年9月4日)
IWGP USヘビー級選手権試合 ○棚橋弘至vs飯伏幸太×

 飯伏が涙の復帰を果たすと、それを受け止めたうえでUS王座初防衛を果たした棚橋も涙。観客に代わって、「お帰り!」と飯伏にメッセージを送った逸材は「愛してま〜す!」の雄叫びで初めてメットライフドーム大会を締めくくった。

 飯伏は当初、7・25東京ドーム大会でIWGP世界ヘビー級王者・鷹木に挑戦する予定だったが、誤嚥性肺炎による体調不良で無念の欠場に。代わって棚橋が緊急挑戦を果たしたものの、タイトル奪取はならなかった。その後、棚橋はすぐさま次なる動きを見せ、8・14ロサンゼルス大会でランス・アーチャーを破り、日本人として初のUS王座奪取に成功した。飯伏を初防衛戦の相手に指名すると、ゴールデン☆スターも快諾。飯伏は約2ヵ月ぶりの復帰戦で、いきなりタイトルに挑戦することなった。

 飯伏は棚橋を前にして感極まった表情を見せる。序盤から気迫全開の先制争いとなったが、棚橋が左ヒザ攻めで主導権を握った。しかし、飯伏も躍動。ドロップキックを皮切りに、欠場前と変わらぬ動きを披露すると、三角飛び式ケブラーダやスワンダイブ式ミサイルキックを華麗に決め、完全復活を印象付ける。呼応した棚橋相手に、感情むき出しでエルボーの相打ちをこれでもかと繰り返すと、メットライフドームは大きな手拍子に包まれた。

 飯伏はバックから馬乗りになって非情なエルボーを首に乱射するが、カミゴェは空転。棚橋はスリングブレイド2連発でアクセルを踏むと、ハイフライフローで勝負に。しかし、飯伏はヒザを突き立てて迎撃すると、直後に手首をキャッチして、カミゴェをぶち込んだ。場内はさらに熱を帯びる中、飯伏は絶叫とともにボマイェを一閃。手首を取られた状態で立ち上がった棚橋に、スタンディング式カミゴェも叩き込む。

 だが、棚橋は抵抗をやめない。力ずくで両腕をクロスさせて正調カミゴェを防ぐと、手を振り払った瞬間、ショートレンジでスリングブレイドをズバリ。カウント1で肩を上げた飯伏をドラゴンスープレックスで投げ飛ばす。それでも飯伏が沈まないとみるや、ハイフライフローアタックで飛翔。間髪入れずに正調ハイフライフローを投下し、ゴールデン☆スターを沈めた。

 7年ぶりのメットライフドーム大会メインで棚橋が激勝。2ヵ月ぶりの復帰戦となった飯伏を撃破し、US王座V1を果たした。7年前はジェフ・ジャレットのギター攻撃でKOされてしまったが、苦い思い出を見事に払拭した。

 勝利した棚橋も、敗れた飯伏も、言葉を交わすと思わず涙。飯伏は座礼して、神と崇める逸材に深々と頭を下げた。誰の肩も借りず、自力で花道を下がっていく飯伏に対し、棚橋はマイクで「皆さんが言えない代わりに、俺が言いますね。飯伏、お帰り。飯伏、まだまだ夢の続きがあるだろ。しっかりコンディション整えて、上がってこいよ!」とエールを送る。飯伏は「もう1回試合をお願いします。ありがとうございました!」と地声で返答。棚橋が飯伏コールを送ると、場内は大きな手拍子に包まれた。

 「7年ぶりに新日本プロレスが西武ドームに帰ってきたぞ! 7年前はさ、俺、メインイベントじゃなかったんだよね。ということは…7年後にメインイベントをしている俺、スゲェ! 俺、スゲェ! 皆さん、今日一番の拍手を。俺、スゲェ!!」と棚橋らしく自画自賛すると、「皆さんがいつでも新日本プロレスの会場に帰ってこれるように、俺はリングに立ち続けて、皆さんを待ってます。よし!」とエースとして誓いを立てる。メットライフドームの外では雷が鳴り響く中、アンコールを含めて3度エアギターをかき鳴らし、観客の注目と拍手を一身に集めた逸材は、「少しずつかな、ちょとずつ、一歩、半歩、ちょっとでもいいから、明日がよくなりますように。明日が明るくなりますように。明日が楽しくなりますように」と願いを込め、最後に「そういうことで、じゃあ、最後に会場の皆さん、愛してま〜す!」と拳を突き上げた。

 飯伏のコンディションには不安の声が集まっていたが、身を持ってその力を感じた棚橋は「今日タイトルマッチだったけど、ファンのみんなは、飯伏がどういう状態で帰ってくるかというのが気になってたと思うし…。俺もね、あんまり情報が入ってこなかったから、予想はできなかったんだけど…三味線カマしやがったっすね。全然変わってねぇじゃん!」と太鼓判。飯伏のファイトから刺激を受けたようで、「だからね、素直に、『おかえり』と。よし。新日本プロレスで、いつもそこにいて、『おかえり』って言う係、もうちょっと俺がやりますよ」と決意を新たにした。

 コロナ禍の終わりは見えず、今しばらくは世の中も厳しい状況が続きそうだが、棚橋は涙を流しながらも、「まだ、先になるよね。先になるけど、みんなね、それぞれの生活、それぞれの目標に向かって、頑張っていきましょうよ。でね、なんかちょっとしたきっかけでいいんで、『あぁ、棚橋、なにしてっかな?』とか、『あぁ、私、そういえば(プロレス好きだったな』とか思い出してもらって。そこには、棚橋がいますから。しつこいぐらい、うっとうしいぐらい、みんなを待ってますから」と断言。4大会連続でビッグマッチのメインを務めてきたが、疲れを知らない逸材はUS王者として海外遠征も示唆した。

【棚橋の話】「ありがとうございました。7年ぶりにね、西武ドーム、まあ、メットライフドーム大会ができて、7年前はギターでぶん殴られた記憶しかなくて。でね、7年後、見てくださいよ。メインイベントで、タイトルマッチで、勝ってんだから。あぁ〜、これは、『棚橋疲れてない説』がさらに現実味を帯びてきたというか。でね、今日タイトルマッチだったけど、ファンのみんなは、飯伏がどういう状態で帰ってくるかというのが気になってたと思うし…。俺もね、あんまり情報が入ってこなかったから、予想はできなかったんだけど…(※舌打ちして)三味線カマしやがったっすね。全然変わってねぇじゃん! ま、本人が本人のコンディションを判断するっていうのは、自分の感覚だからアレだけど、やってる感覚としては…。だからね、素直に、『おかえり』と。よし。新日本プロレスで、いつもそこにいて、『おかえり』って言う係、もうちょっと俺がやりますよ。なんでかって言うと、ファンの皆さんが安心して戻ってこれた時に、『おかえり』と言いたいから。だから…まだ、先になるよね。先になるけど、みんなね、それぞれの生活、それぞれの目標に向かって、頑張っていきましょうよ。でね、なんかちょっとしたきっかけでいいんで、『あぁ、棚橋、なにしてっかな?』とか、『あぁ、私、そういえば(※急にこみ上げて涙声になり)プロレス好きだったな』とか思い出してもらって。そこには、棚橋がいますから。しつこいぐらい、うっとうしいぐらい、みんなを待ってますから。ね。(※背筋を伸ばして)はい! 明日もあるんで。名古屋、東京ドーム、ロサンゼルス、西武ドーム。4大会連続メイン。この記録はちょっと破られないな。(※立ち上がって)ありがとうございました。(※用意されていたZIMAを1本あけて)またみんなで乾杯できますように、乾杯! (※とZIMAを飲む)あぁ〜、うめぇ〜! (※報道陣が遠慮がちに拍手をしてるのを見つけ)拍手はして大丈夫ですよ。(※報道陣から笑いとともに拍手が起こると)ありがとうございました! (※ZIMAを1本1本机に並べながら)本当にね、こういう時でも、一生懸命応援してくれる、ファンの皆様、スポンサーの皆様、ありがとうございます。(※ZIMAを前に写真撮影に応じて)よし。これでね、とりあえず日本大使の使命はまだ守ってっから(※と、肩にかけていたIWGP USヘビー級のベルトを叩く)、海外遠征、まだまだ、チャンスあれば行きますからね」

【飯伏の話】「(※床を這いながらインタビュールームに辿り着くも、立ち上がることができず、『ここでいいですか』と、机に寄りかかると)いやぁ、リングに戻れることがホントに嬉しくて…。戻るまで、ホントに自分なりに精いっぱい頑張ったつもりだったんですけど、やっぱり僕の中で棚橋さんは、ずっと、ずっと、夢を与え続けてくれる人だなと、改めて思いました。このタイミングで僕を指名してくれた棚橋さん、あと、ファンの皆さん、そして僕に関わってくれたみんな、ホントにありがとうございます。応援してくれて、本当に嬉しかったです。また、また、頑張って、やります。皆さん、ありがとうございました。プロレス、ありがとう(※と、また床を這って控室へ)」