『ZERO1・20周年記念イヤー〜火祭り・天下一スペシャル〜』東京・後楽園ホール(2021年9月19日)
ジュニア二冠選手権試合 ○阿部史典vs今成夢人×

 阿部が今成を熱戦の末に下し、ジュニア二冠王座初防衛を果たした。

 9・9新木場大会で阿部が天下一ジュニア初優勝を飾り、同時にジュニア2冠王座を手にした。阿部は願い事として大谷晋二郎との初防衛戦を希望し、この日実現する予定だったが、大谷が「左前腕両骨骨折」によって欠場。代わりに同じホットジャパンから今成が名乗りを上げた。

 ペースを握ったのは王者。スリーパーで絞め上げ、頭突きで鈍い音を響かせる。チキンウイングアームロックやヘッドシザースで今成を防戦一方に追い込んだ。今成もフライングボディアタックで反撃を開始。逆水平連打、フェースクラッシャーで巻き返し、リバーススプラッシュを執念で決めると、大谷ばりの顔面ウォッシュもさく裂させた。

 だが、阿部がジャンピングフロントハイキックで鎮圧。多回転式ソバット、ランニングローキックと蹴りまくり、足4の字固めで捕らえる。アジャらホットジャパン勢、翔太らガンプロ勢のゲキを受けて今成もロープに逃れ、阿部がジャーマンで投げてもラリアットで逆襲。フィッシャーマンバスター、タイガードライバーで攻め込んだ。

 阿部がドロップキックでやり返してダブルダウンとなると、ここから打撃戦に突入していく。エルボーや張り手を何発も打ち合い、阿部が伊良部パンチをぶち込む。お卍固めは今成が意地で耐え、伊良部パンチを狙う阿部に大谷ばりのケサ斬りチョップをカウンターでさく裂。スクールボーイ、外道クラッチ、サムソンクラッチと丸め込みを連発し、エルボーを連打して再び打撃戦を挑んだ。

 なりふり構わぬ殴り合いは阿部がハイキックで制した。それでも今成は空中胴締め落としを放って食い下がったが、阿部は伊良部パンチを3連打。それでも倒れない今成をお卍固めで絞め上げ、ようやくギブアップに追い込んだ。

 阿部が熱戦の末、今成を破ってジュニア二冠初防衛に成功した。試合後、「おい、ZERO1のジュニアってよくわかんないけど、ジュニアのヤツら。今日この今成さんと俺っていう全くZERO1に言うなれば関係ないヤツらがメイン張ってて、何とも思わないか? お前らよりは俺の方が思ってるぞ。悔しくねぇのか? 俺は悔しいよ!」とZERO1ジュニア勢に向かって投げかけた。

 すると北村、馬場らがエプロンに上がってきた。阿部は「人が足りないのもわかるし、ZERO1でどんどん人が辞めてくのもわかるよ。でもな、そういうことばっか言ってたら始まんねぇだろ。今いる俺たちでやるしかないんじゃないの? 俺は準備はできてますよ」とZERO1ジュニア活性化を呼びかける一方で、「誰でもいいよ。誰でもいいけど、今この4人が俺の前に立ちはだかって、ここにいるお客さんが一人でも俺に勝てると思うかな? 思わないね」と断言。「悔しかったら実績作って、私がこのベルトをかけて勝負したいと思うまで成り上がってきてください。私はZERO1の、いやプロレス界のジュニアのトップであなたたちを待ってます」とZERO1ジュニア勢に奮起を促すように言い切った。

 今成と向き合った阿部は「今成さんに一言だけ言わせてください。ずっと戦いたいと思っていて、プロレスを続けていればいつかどこかでシングルできるだろうと思ってたけど、まさかこのZERO1っていうリングで、しかもメインっていうリングでベルトをかけて僕は今成夢人と胸いっぱいのプロレス、僕のプロレスを全部さらけ出してぶつけられて本当に幸せです。今日はありがとうございました」と感謝。「今成さん、僕は今よりもっと強くなります。もっともっと強くなります。強くなってジュニアのカテゴリーだけじゃない、プロレス界でトップになります。だから今成さん、今日、僕に負けたこと絶対に忘れないでください。僕は今成夢人に今日ギブアップで勝ったこと絶対忘れませんから」とメッセージを送り、今成と抱き合った。

 阿部が締めを託して去ると、今成は「何度でも立ち上がります! 俺たちがホットジャパンだ! ZERO1の所属じゃないけど、ZERO1が大好き!」などと涙の絶叫。最後に「3、2、1、ゼロワーン!」とホットジャパン勢、ガンプロ勢とともに拳を上げて締めた。

 そして阿部はバックステージでジュニア二冠王者としての誇りをむき出しにした。この日は阿部がBASARA、今成がガンプロと他団体対決でメインを張り、ベルトを争った。ZERO1ジュニアの層が薄いからこそ、阿部は「だからやっていくしかないでしょ。ガタガタ文句言われるかもしれないけど、リングの上で見せるしかないでしょ」と先頭を切って戦っていくつもり。「俺がチャンピオンなんだから、俺の戦い方がZERO1なんですよ。俺の戦い方がZERO1そのものだから」と言い切った阿部は「今のZERO1って何なんだって、それは俺がチャンピオンだから、そんなことは言わせません。俺の試合がZERO1だし、俺の試合がジュニアだから」と豪語してみせた。

 これからも王者として「負けられない」戦いが続く。その先には当然、この日、実現できなかった念願の大谷戦を見据えている。大谷の復帰時期は未定だが、阿部は「あの人を越えなきゃいけないし、あの人を倒さなきゃいけないと思うし、あの人がZERO1だというなら、俺が倒して俺がZERO1だって言わなきゃいけない。だって俺はチャンピオンだから」と自らに大谷超えを課し、ジュニア二冠を守り抜いていく覚悟をにじませていた。

【試合後の阿部】
▼阿部「ありがとうございました。今成さんとの…(北村がやってくると)もういいよ。しゃべんないでくれ。わかる。なんか言いたくなるのもわかるし、北村しかいないのもわかる。でも今いくら言ったところでたぶんお前はこれ以上、言葉に説得力を出せないと思うから。俺逃げないし、逃げも隠れもしないから、ちゃんと実績というかしっかりと備えて、胸張って堂々と俺の前に立つまで、陰ながら努力してくれよ。当たり前の努力を。そしたら俺がお前の挑戦を受けるよ。だから今日は帰ってくれ。帰るしかないだろ。しょうがない。帰るしかないだろ、お前! 帰れ」

※北村が去ると

▼阿部「取り乱しました。今日メインイベント、ファンにしたら意味がわからないと思うけど、これが今のZERO1だと思います。だって人がいないんだから。人がいないからしょうがないでしょ。だからやっていくしかないでしょ。ガタガタ文句言われるかもしれないけど、リングの上で見せるしかないでしょ。ZERO1ってどういう戦いか知らないけど、俺がチャンピオンなんだから、俺の戦い方がZERO1なんですよ。俺の戦い方がZERO1そのものだから。だって俺がチャンピオンなんだから。今日そういう俺の思う試合、今成さんと目いっぱいの勝負ができて、僕は今成夢人に勝てて本当によかったと思います。そして大谷さんに勝つまで、このジュニア二冠のベルトを僕は持ち歩いたり、巻いたりするのはやめようかなって思ってたんですけど、今日、今成さんと試合して、あんな強い今成夢人を倒したんだから、胸を張ってジュニア二冠王者としてこれからプロレス界でやっていこうと思います。今日はありがとうございました」

――今成との戦いはどうだった?

▼阿部「素直にこちらが心の扉を叩いたら160倍で心の扉を開いてくれた。僕はやっていて物凄くやりやすいし、ああいう人とやるプロレスが一番気持ちいいというか。やっぱり負けたくないなって思ったし、プロレスって楽しいだけじゃないから。絶対そこには勝ち負けが存在して、絶対に勝敗がつくものだから。だから俺は絶対負けちゃいけないって思ったんです。団体は違うけど、明日、野村卓矢っていうアストロノーツの僕の相方がストロングヘビーのベルトに挑戦します。あいつは必ず勝つと思ってます。団体のベルトは違うけど、俺はプロレス界のジュニアのトップじゃなきゃいけないと思ってます。あいつはヘビーのトップに明日なるから。そしたら隣にいる俺は絶対にジュニアのトップじゃないといけないと思ってますから。今日そういう意味でも負けられなかったし、今のZERO1って何なんだって、それは俺がチャンピオンだから、そんなことは言わせません。俺の試合がZERO1だし、俺の試合がジュニアだから。まぁジュニアもヘビーも関係ないんだけどね。一番プロレスで、一番試合で大切なのは魂、気持ち、情念、闘魂だから。それだけだと思います。そういう練習で培えない、負けたくねぇって気持ちを北村とかもっと出してほしいなと思います。口だけじゃなくて。俺はあいつらに負けたくないと思ってるし、練習するのは当たり前。そんなことどうでもいいんですよ。練習しなくても強いヤツは強いし。でも気持ちの部分で負けたくないし、俺はあいつらに絶対負けてないから、俺はあいつらには全然負けないです。そして怖いとも思ってません。だから別に今きたところで勝てると思ってる人は誰もいない」

――負けられないという意味では大谷選手とやるまでは負けられない

▼阿部「もちろん。大谷晋二郎っていう負けないって気持ち。一人だけど、いろんなものに関わってる人がいて、負けてたまるかってあんなに言葉に魂がのっかってる人はいなくて、あんなに人の心を、あんなにプロレスラーとして…プロレスラーに憧れてる人ってなかなかいないと思います。もちろん僕も憧れてるし。だからこそ、あの人を越えなきゃいけないし、あの人を倒さなきゃいけないと思うし、あの人がZERO1だというなら、俺が倒して俺がZERO1だって言わなきゃいけない。だって俺はチャンピオンだから。ありがとうございました。ちょっとかっこよすぎない? 熱いっすよね。こんなキャラじゃないんだけど」