『WRESTLE KINGDOM 16 in 横浜アリーナ』神奈川・横浜アリーナ(2022年1月8日)
○オカダ・カズチカ&棚橋弘至vs武藤敬司&清宮海斗×

 対抗戦は6勝4敗1分で新日本に軍配。清宮に完勝したオカダが棚橋とともに“プロレスのチカラ"を叫んで締めた。自ら希望したレインメーカーとの初対決に敗れた清宮は悔し涙に暮れた。

 新日本50周年イヤー施策の一環として実現したこの日の新日本vsノア対抗戦。昨年11月の発表時から大きな話題を呼び、前売券は発売間もなく完売。戦前から両軍が舌戦を展開し、1・5東京ドーム大会にはノア勢が総出で殴り込み。対抗戦ムードが存分に高まって決戦当日を迎えた。

 対抗戦はここまで新日本が5勝4敗1分でリード。いよいよ最終試合を迎えた。1・4東京ドーム大会でIWGP世界ヘビー級王座初戴冠を果たしたオカダと1・5東京ドーム大会でUSヘビー級王者に返り咲いた棚橋が王者タッグを結成。武藤&清宮のタッグを迎え撃った。2009年にIWGP戦で対決している棚橋と武藤は久々の再会。オカダと武藤は注目の初遭遇となる。また、清宮は2020年5月に「レインメーカーを体感したい」と発言してから約1年半でオカダとの初対決を迎えた。どこを切り取っても注目の顔合わせとなるタッグマッチが対抗戦のトリを務めた。

 のっけからオカダと清宮の初対決が実現。腕攻めに出た清宮がドロップキックで先制打を放った。フライングボディアタックも決めたが、余裕を崩さないオカダはすぐさまセントーンで応戦。棚橋とのダブルバックエルボーで追撃すると、二人で控えの武藤をにらみつける一幕も。棚橋は武藤を見据えながらエアギターを披露した。

 ここで武藤が登場。棚橋との天才対決が久々に実現した。対抗戦ムードに背を向けていた武藤はそれを裏付けるように棚橋相手にグラウンド技術を競い合う。そしていよいよオカダと初遭遇。ファーストコンタクトはロックアップ。オカダがLOVEポーズでクリーンブレークしたり、ドラゴンスクリューの構えをみせたりと挑発していく。武藤はフラッシングエルボーをさく裂させ、実況席に陣取る盟友・蝶野正洋の眼前でSTFを決めた。

 徐々に存在感を見せてきた武藤に負けじと、清宮はジャンピングバックエルボーなどで攻め立てたが、オカダはフラップジャックで叩きつけて逆転。ここから清宮が集中砲火を浴びる苦しい展開を強いられた。棚橋のテキサスクローバーに捕まり、オカダには「調子乗ってんじゃねえぞ!」と見下された。

 それでも清宮が棚橋相手にジャンピングネックブリーカーで反撃して突破口を開くと、武藤が低空ドロップキックからの足4の字固めで棚橋を攻め込む。オカダが飛び込んでもドラゴンスクリューで返り討ちにし、Uインターとの対抗戦を再現するように棚橋をドラゴンスクリューからの足4の字固めで捕らえた。

 耐えた棚橋はドラゴンスクリューで一矢報いた。オカダがダイビングエルボードロップからのレインメーカーポーズをプロレスLOVEポーズとのミックスで決めて場内が大きくどよめいた。武藤もレインメーカーをかいくぐり、シャイニングウィザードで逆襲。託された清宮は雄たけびもろともエルボーやエルボースマッシュを乱打し、ダイビングエルボー、ミサイルキック、ジャンピングニーを発射して攻勢に出て、オカダから余裕を奪っていった。

 棚橋がスリングブレイドで清宮鎮圧にかかったが、武藤がシャイニングウィザードで蹴散らす。ならばとオカダが「武藤!」と叫んでドロップキックを放ったが、次の瞬間、清宮が再びジャンピングニーをぶち込んだ。オカダもエルボースマッシュの打ち合いを制し、ショートレンジラリアットをさく裂。旋回式ツームストンパイルドライバーで突き刺した。

 粘る清宮もレインメーカーをかいくぐると、武藤のシャイニングウィザードで援護射撃を受け、ジャーマン、タイガーとスープレックスを連発してたたみかけた。棚橋のカットに阻まれても、後頭部にジャンピングニーを突き刺したが、オカダはドロップキックをカウンターでさく裂。それでも清宮は雄たけびとともに立ち上がったが、オカダが開脚式ツームストンでグサリ。すかさずレインメーカーを叩き込んで3カウントを奪った。

 オカダが清宮の奮闘を断ち切るレインメーカー葬。王者タッグが対抗戦最終試合を制した。試合後、号泣する清宮にオカダは「こんなんで泣いてんじゃねぇぞ! 帰れ、さっさと! 邪魔だ!」と容赦なく怒声を上げた。武藤から「泣くな!」と声をかけられた清宮は肩を借りて悔しさを噛み締めながら引き揚げた。

 これで対抗戦は新日本が6勝4敗1分で勝ち越しを決めた。ドーム2連戦、そしてこの日の横アリと年頭ビッグマッチ3大会のメインを全て勝利で飾ったオカダは「どうも皆さん、こんばんは。WRESTLE KINGDOM 16、1・4、1・5、そしてこの1・8。本当に応援どうもありがとうございました! 新日本プロレスファンの皆さん、本当に応援ありがとうございます。プロレスリング・ノアのファンの皆さん、どうもありがとうございました」と感謝。「プロレスっていいですね」としみじみ漏らすと、「こうやって対抗戦、各団体、各チーム、いろいろとあると思いますけど、しっかりと応援してくれたおかげでリング上の熱い戦いにつながったと思います」と“ファンの力"を強調した。

 「まだ50周年、始まったばっかりっすよ。4、5、8しかやってないですよ。それでこれだけ盛り上がってくれてます。これが“プロレスのチカラ"だと思います」。そう言い切ったオカダは「まだまだ大変なことがあると思いますけど、プロレスのチカラでコロナより先、僕たちがどんどんパワーを届けていけるよう、皆さんの応援を力に熱い戦いがしっかりお届けできるよう頑張ります。これからもプロレスをよろしくお願いします」と誓ってみせた。

 そして最後は棚橋の「会場のみなさーん、愛してまーす!」の叫びに続いて、「プロレス界に! カネの雨が降るぞ!」の絶叫で締め。「こうやってプロレスリング・ノアと戦うことに関しては一つになったと思います」と振り返ったオカダは「プロレスを見て元気をもらえる、明日からしっかりやっていける力を届けるのがプロレスラーだと思いますし、応援を糧に僕たちはしっかり戦っていきたい」との思いを改めて強くした。

 だが、初めて触れた清宮評は手厳しいものだった。「そりゃもう見た人が感じてください。僕が言うとひどいことになってしまうかもしれないんで」と前置きしつつ、「それぐらい差を感じたと思いますし、あんな泣いてる場合じゃないよって。もうね、名前を出さないでもらいたいぐらい」と容赦なく言い放った。

 「めちゃくちゃ悔しいと思いますよ。でもこれが実際の差。新日本のお客さんを持って帰ると言ってたけど、あれじゃ持って帰れないでしょう」。そう清宮の発言を逆手にとって断言したレインメーカーは、「悔しければ新日本プロレスに海外修行のように何年か上がって自信がついたらノアに戻ればいいと思うし。俺はそれぐらいしてもいいと思う」と提案。「そうしないといつまでもノアの中で育って、ノアでトップになれるかもしれない。でもいざプロレス界、外に出てみれば海は広いよと。それぐらい差があったなと思います」と強調した。

 ともあれ、横浜アリーナ大会は盛況で幕を閉じた。同会場進出はオカダがAJスタイルズとIWGPヘビー級王座戦を戦った2014年5月25日以来、約7年7ヵ月ぶり。「その時よりもお客さん入ってるでしょう。こんなコロナ禍でなかなかお客さんが入らない状態でも、8年前より僕たちは先に進んでると思ってます」と実感したオカダはこの日、レスラーとファンが一体となって生まれた“プロレスのチカラ"で50周年イヤーを駆け抜ける。

【試合後のオカダ&棚橋】

▼棚橋「ありがとうございました! ドーム2日間あって、横浜アリーナがあって。一番ね、僕が信じてました。『プロレスのチカラ』。ツイートで、『#プロレスのチカラ』をひらがなの『ちから』に間違えてしまいましたけども。やっぱり、みんなでプロレスを信じて盛り上がっていきたいんだったら、俺たちレスラーが、プロレスの魅力を、プロレスのパワー、プロレスのエネルギーを信じて、(※感極まった様子で)何度でも立ち上がりましょうよ!まだね、時間はかかると思いますけど、プロレスを好きな皆さんが信じてくれるんだったら、無制限一本勝負で、コロナとやってやりますよ!よし!(※腰に巻いていたUSヘビー級のベルトを叩いて)チャンピオンとして、頑張っていきますから!」

▼オカダ「本当に、一つになれたんじゃないかなと思います。本当はね、オカダが嫌いだっていう人もいれば、鈴木軍が嫌いだっていう人もいると思いますし、でもこうやってね、プロレスリング・ノアと戦うということに関しては、一つになったと思いますし。……まぁ、HOUSE OF TORTUREは別だけどね。まぁそれがね、もちろん逆に、ノアのいつもは敵対しているチームを応援している人たちもいたと思いますし、またそれがプロレスのチカラとなって、一つになって、これだけの、横浜アリーナでチケットが売り切れるまでにいったんじゃないかと思います。僕も、8年前ですか。ここでAJ・スタイルズとやってね、まぁそんなにお客さんも入ってない中で。(その会場に)こうやって久しぶりに戻ってくることができましたし、その時よりもお客さん、入ってるんじゃないですか?こんなコロナ禍で、なかなかお客さんが入らない状態でも、8年前より僕たちが先に進んでると思ってますんで、まだまだ、コロナよりも先を見てね、やっぱり、プロレスを見て元気をもらえる、明日からまたしっかりやっていこうと思える、そういうチカラを届けていくのがプロレスラーだと思いますし、またその応援を糧に、僕らはしっかりと戦っていきたいと思います。何かあれば」──清宮選手が『戦いたい』と発言したところから始まりましたが、ガッチリやってみて?オカダ「まぁ、それはもう見た人が感じてください。僕が言うとね、ちょっとひどいことになってしまうかもしれないので。それぐらい、差を感じたと思いますし、あんな、泣いてる場合じゃないよって。もう……ね、まぁ、『名前を出さないのもアレだよな』っていうぐらい。まぁでも10年前も全日本と合同興行をやって、その時も中邑さんと組んで、今年、50周年では棚橋さんと組んで、じゃあ10年後はどことやって誰と組んでっていう風になると思いますし、そういう思い出ができただけかなと思います。まぁね、武藤さんともやることができましたし、それは僕にとってもそうですし、武藤さんにとっても『オカダと戦えた』っていういい記念になったんじゃないかなと思います。ただね、清宮……“選手"だったけど、もう清宮“君"かな。呼び捨てにもできないレベルで。ホントにね、メチャメチャ悔しいと思いますよ。でもこれが、実際の差。『新日本プロレスのお客さんを持って帰る』って言ってましたけども、アレじゃ持って帰れないだろうと。まぁ悔しいなら、新日本プロレスに来ればいいしね。いいじゃん、またノアに戻ればいいんだから。海外修行のように、何年か上がって、自信がつけば、またノアに戻る。そんぐらい、俺はしてもいいと思うけどね。そうしないと、いつまでもノアの中で育って、ノアでトップになれるかもしれない。でもいざプロレス界、外に出てみたら、海は広いなと。それぐらい、差があったと思います。まぁでも今日はね、ノアの皆さんと対抗戦のおかげでこういう熱い試合ができましたんで、本当にありがとうございました。そしてファンの皆さんも、どうもありがとうございました」

【試合後の武藤&清宮】
※武藤は泣きじゃくっている清宮に肩を貸し、「よくやった。よくやったよ、オマエ。頑張った!」と声をかけながらインタビュースペースへ。武藤がイスに座ると、清宮はその横で床に崩れ落ちて泣き続ける(その後、武藤のコメント途中に立ち上がり、泣きながら一人で控室へ)

▼武藤「(※清宮に)まだ始まったばっかりだよ。まだ今からだよ、オマエ。俺だよ、次がないのは。えぇ?今年60だよ。俺があのメインイベントにいていいのかどうなのか、自分で自問自答しちゃうよ。ただね、新日本プロレスね、50周年ということで、俺も新日本プロレス育ちで。まぁ俺の新日本プロレスっていうのはアントニオ猪木だけど、猪木さんの教えは『常識なんてクソ食らえ』ってことでね、ぶち壊せっていう風に教わってるからね、俺もまだまだ清宮に負けてらんないよ。俺は涙なんか枯れて出てこねぇよ、クソッ。以上!」