『初代タイガーマスク ストロングスタイルプロレスVol.17』東京・後楽園ホール(2022年6月9日)
○船木誠勝vs関根“シュレック”秀樹×

 船木が注目のシングル初対決となったシュレックに「ギリギリ」の薄氷勝利。敗戦に終わったものの念願の一戦が実現したシュレックは感極まって涙を流した。

 3・17後楽園大会で船木とシュレックがタッグ対決。30分時間切れドローに終わった試合後、シュレックが一騎打ちを要求し、これを船木が受諾してこの日、注目の初シングルが実現することになった。

 まずはグラウンドでの緊張感あふれるせめぎ合いで幕開け。船木がヒザ十字固めを仕掛けたが、シュレックは極めさせず。アキレス腱合戦を展開した。スタンドに戻ればローキックで蹴り合い、船木がダウンに追い込む。立ち上がってきたシュレックをチキンウイングフェースロックで絞め上げたが、シュレックもブレーンクローで切り返した。

 すかさずシュレックがジャーマンを爆発させた。間髪入れずアキレス腱固めで捕らえると、船木はロープエスケープ。ならばとシュレックは再びジャーマンの構えに入ったが、船木は投げさせない。ドラゴン狙いをアームロック→脇固めで切り返すと、腕ひしぎ逆十字へと移行。シュレックが足取り腕十字でさらに切り返しても、船木は顔面を蹴りつけて逃れた。

 ここから船木が勝負に出た。左右の掌底を猛連打してシュレックを切り崩しにかかる。シュレックも雄たけびとともに意地で倒れずハンマーパンチをぶん回して応戦したが、船木は回転エビ固めで転がすと、起き上がろうとしたシュレックの顔面を蹴り上げた。そして走り込んでのヒザ蹴りでダメ押しして3カウントを奪った。

 船木がシュレックとのシングル初対決に勝利。試合後、勝者は握手を交わし、座礼で敬意を表し合った。「あんなにやってんのに全然倒れない。凄い体。手が痛い。あんな人間の体、初めてですね」とシュレックの人間離れした肉体に脱帽した船木は「今日はホント、ギリギリでした。恐ろしい。ホント恐ろしい。人間じゃない。あんな人間なかなかいないですね」と薄氷勝利を強調した。

 「グラウンドも強いし、打撃は効かない。こっちのスタミナが切れたら終わりだと思って最後いきました」と言うように、勝利の呼び水となったのが顔面を狙う掌底ラッシュ。「一発二発ようやく当たってフラフラしてきて、そっからですね。やっといけそう」との手応えを得て、一気に仕掛けて勝利につなげた。シュレックとの緊迫化なる戦いを「ストロングスタイルです。ホントに。それ以外の何物でもないですね」と表現した船木は「今日は久しぶりに思い出しました。夢中で相手だけ。お客さん関係なしに相手だけ。いい経験ですね」と原点回帰も図れた様子。「自分もあと何年メインで立っていられるかですね。まだ大丈夫、もう少し大丈夫だなと思いますね。それは自信あります」との感触もつかめた。

 一方、敗れたとはいえ念願だった船木との一騎打ちが実現し、シュレックの目に涙が光った。2年前、ストロングスタイル側から船木とのシングルを打診された過去を告白したシュレックは「船木誠勝とやるには俺がそれだけの男じゃねぇ」との思いもあって、「MMAとプロレスで必ず這い上がりますんで機が熟したらお願いします」と自ら断ったという。

 それを発奮材料にシュレックはプロレスのリングはもちろん、RIZINのリングでMMAファイターとしても活躍。2年の歳月を経て、ようやく実現にこぎ着けた。「俺らの憧れの船木誠勝が強くてうれしかった」と感極まったシュレックは「最後の瞬間、覚えてないのが悔しいです」との悔しさは残ったものの、「船木選手の胸の中で生涯のベストバウト、ランキング作った時に上位に来れればうれしいです」と話し、最後まで涙に暮れていた。

【試合後の船木】
▼船木「凄い体。あんなにやってんのに全然倒れない。凄い体。手が痛い。あんな人間の体、初めてですね。ギリギリで、ギリギリ。あのまま耐えられたら、もう終わりです。グラウンドも強いし、打撃は効かない。こっちのスタミナが切れたら終わりだと思って最後いきました。たぶん年代も同じぐらいなんで、久しぶりに同年代と勝負ができたなという気持ちもしましたけど、やってて時間忘れました。もしかしたら1年後は難しいかもしれないです」

――最後の掌底ラッシュはあれしかないと?

▼船木「あれしかないですね。あまり使いたくないんですけど、顔面、急所あそこを狙うしかないと。ずっと封印してたんですけどね。今日は出さないと、ちゃんと当てないと無理だと思って。体が強くて関節取れないし、首ないし。まぁ、ギリギリですね。今日はホント、ギリギリでした。恐ろしい。ホント恐ろしい。人間じゃない。あんな人間なかなかいないですね」

――またやりたい?

▼船木「うーん、ちょっと考えさせてください。初めてだったからまだあれですけど、知っちゃいましたからね。あれだけの強さがあるのを知っちゃったんで。まぁ、次はこんなふうにはいかないと思いますよ。恐ろしい人間です。怪物? 一応、人間ですよね。とりあえず手が痛いです」

――メインを張る緊張感はあった?

▼船木「やっぱりレスラーはみんなメイン目指して頑張ってますから。そういう意味では自分もあと何年メインで立っていられるかですね。それは自分と周りとの戦いだと思ってますんで。弱肉強食で、すぐに取られちゃうんで。そういう意味ではまだ大丈夫、もう少し大丈夫だなと思いますね。それは自信あります」

――前半は柔術の技術で互角に持ち込まれたが?

▼船木「あんなの初めてですね。通常のレスラーじゃありえないような攻防ですね。手取られて、足は足で取ってきて。自分はあまり足関節獲られた記憶ないんですけど、結構、足関節うまいんだなと。ボンサイ柔術のテクニックだと思いました。手も出せない、足も出せない、できるだけ、こっから先に行けない。そういう怖さがありますね。難しいです」

――アイアンクローからジャーマンで投げられたが?

▼船木「あの角度も何か普通のレスラーじゃないなと思いましたね。ホントに危険な感じで、簡単に上がっちゃったんで。たぶん体重差が30キロぐらいあると思うんで、数当てないと難しいですね。何回も何回も全然びくとも。一発二発ようやく当たってフラフラしてきて、そっからですね。やっといけそうだなと思って。顔面、最後蹴ったんですけど、まだ立ってきましたからね。ちょっとあれは異常です」

――シュレック選手には船木選手への思い入れがあったと思うが?

▼船木「勝ちに来てるなと思いました。昔、憧れだった選手を食べて、自分がもっと大きくなる気持ちが凄くありましたんで、食べられまいと踏ん張りました」

――まさにストロングスタイルの戦いだった?

▼船木「ストロングスタイルです。ホントに。それ以外の何物でもないですね。今日は久しぶりに思い出しました。夢中で相手だけ。お客さん関係なしに相手だけ。いい経験ですね。これをきっかけにまたもうちょっと頑張りたいと思います。普通のレスラーだったら取られないですよ、彼は。それぐらい強いです。ビックリしますよ、やったら」

――シュレックはRIZINでも活躍しているが?

▼船木「現役ですからね。でもプロレスっていう特殊な土俵っていうんですか。そこで技の攻防をやるって、そういう部分ではスタミナの部分で通常のレスラーよりはないような気がしましたね。通常のレスラーって20分、30分やれますんで。そういう意味ではまだ格闘家のスタミナだなと思いましたね。短距離走みたいな感じで。そういうのもあってプロレスラーの難しさというか、そのへんはあると思います」

【試合後のシュレック】
▼シュレック「俺らの憧れの船木誠勝が強くてうれしかった。だけどね、最後の瞬間、覚えてないのが悔しいです」

――この先はどのように考えている?

▼シュレック「今回ストロングスタイルの方でも言ってくれたんですけど、2019年に初めて船木さんとタッグを組ませてもらって、その時に実は『船木さんとシングルどうですか?』って、言っていいかわかんないけど、オファーされたんですよ。ただ、自分の実績が足りない。船木誠勝とやるには俺がそれだけの男じゃねぇと思って。『MMAとプロレスで必ず這い上がりますんで機が熟したらお願いします』と頼んで、やっと2年経ってね、たどり着いたんですよ。対角に1対1で立つ船木誠勝。全部を味わいたかった」

――どれぐらいベストを尽くせた?

▼シュレック「自分では途中まで全力で当たらせてもらって、最後どうやって負けたか覚えてないんですけど、自分で今の時点では評価することはできないです。船木選手の胸の中で生涯のベストバウト、ランキング作った時に上位に来れればうれしいです」

――船木さんの技術面に感じるものはあった?

▼シュレック「序盤はね、コロシアム2000、船木さんはヒクソン・グレイシーに負けて、そのあと引退されましたけど、自分はその時、ヒクソン・グレイシーを憎んで、そのあとPRIDEで柔術使ってるヤツは大嫌いだったんですけど、まさか自分が柔術側に立って、MMAの舞台に立って、今その柔術のおかげで船木誠勝の前に立てて、序盤は柔術で極めてやろうと思ってやりましたけど、船木選手はディフェンス完璧で、合間から掌底をバンバン入れて、ホントは思っちゃいけないけど、うれしかったです」