『G1 CLIMAX 32』東京・大田区総合体育館(2022年7月24日)
Cブロック公式戦 ○棚橋弘至vs内藤哲也×

 棚橋が5年ぶりに内藤を下して今G1初勝利。長く続くコロナ禍の中で集まった観客に感謝のメッセージを送り、その思いに応えるべく「G1 CLIMAX、ちょっくら優勝してきます」と“恩返しV"を誓ってみせた。一方、内藤は痛恨の開幕2連敗となった。

 初戦で棚橋はアーロン・ヘナーレに、内藤は後藤洋央紀に敗北。例年のG1は10人参加で、ブロック突破のボーダーラインは2〜3敗となるが、今年は4ブロック制・7人参加となるだけに、さらに厳しくなるのは確実。開幕2連敗は死活問題となる。両者の通算戦績はほぼ互角だが、近年は内藤の勝利が続いており、G1ではいまだに棚橋が未勝利。棚橋不利は動かない情勢だった。

 内藤は場外戦から首攻めに着手。リングアウト寸前まで首を攻めると、リングに戻ってからも一点集中攻撃を続けた。内藤が首なら棚橋はヒザ狙い。スキを突くビンタで内藤をぐらつかせると、ドラゴンスクリューで右ヒザを攻める。コーナーに上がると、普段のダイブ式サマーソルトドロップではなく、足を容赦なく踏みつけ、グラウンド式ドラゴンスクリューを繰り出した。

 内藤はコーナーミサイルから一気にアクセルを踏むと、エスペランサ(コーナーからの前転式リバースDDT)、グロリアと大技攻勢。プルマブランカで逸材の首を絞めに絞める。ロープに足が届いたものの、棚橋はあとがない状況に。内藤はバックエルボーで後頭部をメッタ打ちにすると、棚橋は力なく崩れ落ちる。

 棚橋は雪崩式フランケンを食らったものの、そのまま回転エビ固めに持ち込んで必死の抵抗。ジャーマンやドラゴンスクリューでなんとか試合を立て直す。歯を食いしばって立ち上がると、自ら手招きし、意地のエルボー合戦を展開。バックエルボーや延髄斬りで内藤に首を攻められるとふらつくが、ツイスト&シャウト3連発、スリングブレイド3連発で勝機を掴んだ。

 一気に勝負を決しようと、ハイフライフローアタックから正調ハイフライフローを投下したものの、避けられて痛恨の自爆に。内藤はすかさずジャックナイフ式エビ固めで押さえ込む。今年3月のNEW JAPAN CUPではこれで敗れていたが、棚橋はなんとかキックアウト。ならばと内藤は強烈なビンタで棚橋の動きを止め、得意のジャンピングエルボーからバレンティアでマットに突き刺した。そして、満を持してデスティーノを狙ったものの、棚橋は狙いすました首固めでクルリ。大逆転の3カウントを奪った。

 棚橋はG1公式戦で内藤にようやく初勝利。実に5年ぶりに制御不能男をシングルで下し、今G1初白星を上げた。一方、内藤は痛恨の開幕2連敗。ブロック突破に向けて大きく後退を余儀なくされた。

 棚橋がコーナー上から見つめる中、内藤はゆっくりと花道を下がっていく。マイクを持った棚橋は「皆さん、本日はご来場本当にありがとうございます。おかげで、選手が全力で戦えています。夏と言えば…そう、夏と言えばG1。3年ぶり夏開催になりました。ありがとうございます」と観客に感謝のメッセージを送った。

 コロナ禍が長く続き、現在は感染者が再び急増中。そんな状況に集まった観客の前で棚橋は「今日の皆さんへの気持ちはどこでお返しすればいいのか。どういう形で皆さんにプロレスを楽しんでもらえるのか。今朝方、答えが見つかりました。G1 CLIMAX、ちょっくら優勝してきます」と恩返しV宣言。最後に「じゃあ、最後に大田区の皆さん、愛してま〜す!」と拳を突き上げた。その後も四方の観客の拍手に応え、エアハグやエアハイタッチをしながら、リングサイドを一周し、「ありがとう!」と何度も観客向けて叫んでいた。

 バックステージでは「今日の試合はG1で僕が内藤に初めて勝ったらしい。そして、G1公式戦を1勝1敗にした意味も大きい。今日は心の底からホッとしている」とこぼした棚橋。ここでも観客に感謝し、「今俺にある時間を全部プロレスに費やしたって足りないぐらいファンの皆さんには感謝しているし、力をもらっている。いつか、いつか絶対に俺の手で…他の誰かじゃなくて、プロレスラー・棚橋弘至、この状況を切り抜けて、みんなが楽しめるプロレスにします」と改めて誓っていた。

 内藤を下し、反撃姿勢を取った逸材の次戦は7・30名古屋大会でのザック・セイバーJr.戦。今年のNEW JAPAN CUP覇者を破り、白星先行を狙う。

【試合後の棚橋】
▼棚橋「今日勝って嬉しいから、絶対最後まで座らずにコメントするから見てて。よーし! よーし! 今日の試合は、G1で僕が内藤に初めて勝ったらしい。そして、G1の公式戦を1勝1敗にした意味も大きい。今日は心の底からホッとしている。ただ、ホッとしていいのは、プロレスラーは試合が終わって、寝て、次の朝起きるまで。この時間だけ。また明日の朝切り替えて、2時間歩いて、ジム行って、しっかりしたもん食って、今俺にある時間を全部プロレスに費やしちゃって、足りないぐらい足りないぐらいファンの皆さんには感謝しているし、力をもらってる。(※涙声になって)いつか、いつか、絶対に俺の手で、他の誰かじゃなくてプロレスラー・棚橋弘至で、この状況を切り抜けて、みんなが楽しめるプロレスにします。ただ、今は、今はね、気をつけましょう。プロレスの大会をやらせてもらっている身で言うのもなんなんですけども、本当に新日本プロレスも最善を尽くしますので、皆さんも最善を尽くして力を合わせて、みんなでG1の力を感じましょう。ありがとうございました」

──内藤選手には約5年ぶりの勝利となったが?

▼棚橋「それぐらい差があったんだと思います。俺が内藤戦で一番憶えている試合はいっぱいあるけども、2010年の10月の両国で、内藤と両国でシングルでタイトル(マッチ)やって、俺が内藤の手を挙げて、『これから俺らで盛り上げてくぞ』って言ったのが恥ずかしいぐらい内藤の活躍があって。ただ今日一つ勝ったことで、何かが済んで、何かが始まった気がします。ありがとうございました」

【内藤の話】「リーグ戦、2連敗。残りのリーグ戦は4試合。だいぶ追い詰められてきたな。今、俺に出来ることは残り試合を全て勝つこと。1%でも可能性が残っているのであれば、俺はこのG1 CLIMAX優勝、そして2023年1月4日東京ドーム大会のメインイベント目指しますよ。俺の夏はまだまだ終わらないぜ、カブロン!」