『KING OF DDT 2023 FINAL!!』が21日、東京・後楽園ホールで行われ、クリス・ブルックスが決勝戦で樋口和貞を破り、DDT参戦から約4年で悲願のKING OF DDT初制覇を果たした。

 この日、DDT最強決定トーナメントが最終戦を迎えた。クリスはまず準決勝で秋山準と対戦。場外めがけてのカーフブランディング、エプロンでのDDTなどエグイ攻めを連発されたが、リストクラッチ式エクスプロイダーを丸め込みで切り返すと、プレイングマンティスボムで3カウントを奪って決勝進出を決めた。

 反対ブロックの準決勝は樋口和貞と上野勇希の対決。上野が顔面ドロップキックを連発し、WRを狙ったものの、阻止した樋口がラリアット、ヘッドバット、ラリアットと波状攻撃。最後はブレーンクロー・スラムを豪快に決めて3カウントを奪った。

 この結果、決勝戦はクリスと樋口の間で争われることになった。開始間もなく場外戦に発展。クリスが場外の柵を外して殴打すると、石頭の樋口はビクともせず突っ張りで吹き飛ばした。その柵で額を痛打したクリスは流血。それでも雪崩式ダブルアームスープレックスを敢行したが、樋口はジャーマン合戦に持ち込み、クリスのスタナーを阻止してブレーンクロースラムを敢行してダブルダウンとなった。

 立ち上がった両者はチョップ合戦を展開。樋口のぶちかましをかわしたクリスはプレイングマンティスボムを決めたが、3カウントは奪えず。樋口がすぐさまブレーンクロースラムで逆襲し、再び両者が倒れ込んだ。ダウンカウント9で同時に立ち上がると、樋口がラリアット、ドクターボムと怒とうの攻め。クリスは張り手連打、ヘッドバットで応戦し、ヘッドバットをやり返されても、ぶちかましを回避してオクトパスストレッチで捕獲。そのままグラウンドに持ち込んで樋口をギブアップさせた。

 クリスがKING OF DDT初優勝を果たした。試合後、樋口とガッチリ握手を交わしたクリスは流暢な日本語で「優勝しました! みんな応援してくれたから勝ちました。人生つらいとき、DDT見てください。今、自分のドラマチック・ドリーム」とメッセージを発し、「でもまだ終わってない。次、KO-D無差別級、獲ります!」と最高峰ベルトに照準を定めた。

 バックステージでクリスは「もうすぐDDTで4年くらい。無差別級、D王、KING OF DDT、負けてきて。ついに勝つことができて本当にうれしい」と感慨とともに歓喜。コロナ禍の2020年に日本に移住し、「みんなからハードチョイスと言われるけど、僕はそう思ってない。家族、友だちにも会えなくて心配されたけど、僕にとっての家族、友だちはDDT。日本に引っ越す選択はベストチョイスだった」と言い切り、「クリス・ブルックスはDDTの一員だから」と笑みとともに胸を張った。

 これで火野裕士が持つKO-D無差別級王座への挑戦が決定的となった。「(火野は)強いね。でも(トーナメントで)HARASHIMAさん、タカギさん(高木三四郎)、アキヤマさん、ヒグチさんに勝った。だから誰が相手でも(ベルト獲り)できると思います」と力を込めたクリスはこの勢いそのままに最高峰ベルト獲りを成し遂げるつもりだ。


【樋口の話】「クリスの気持ちが上回ってた。自分がKING OF DDTを獲って上に行くって気持ちより、あいつがDDTのことを思ってくれて、あきらめずにやってきた執念にやられました。悔しいです。でも、自分はここからだと思ってるんで。クリス、頑張れですね。僕らも負けずに頑張っていきます」

【彰人副社長の話】「準決勝に残った4選手が決勝じゃないかと思うくらいフルスロットルで戦ってくれて。決勝は樋口とクリスが上がってきて、樋口が今DDTの強さの象徴として見てますけど、クリスも日本に来て4年くらい。優勝してDDTに何か恩返ししたいという気持ちがすごく見えて、気持ちと気持ちのぶつかり合いで、いい試合で会場もすごく盛り上がった。(年齢制限を設けなかったが?)D王と違って、どっちかがオープンでみんな参加できて、僕こそチャンスがあったんじゃないかと思ったけど、16人に漏れた。トーナメントに関しては年齢制限なしでいきたいと思う」