<横浜のココがキニナル!>

横浜市が進める「景観計画」への山手地区の追加。山手にはもうまちづくりのルールがあるのに、どうしてより厳しい基準ができるの?(はまれぽ編集部のキニナル)

<調査結果>

これまでも歴史ある遺構が開発で失われてきた山手地区。今後の学校跡地などの開発を見据え、より厳密なルールで街づくりを進めることに!


「横浜らしさはなにか」という問いに対する答えは千差万別だ。様々なグルメや観光地、開発が進む臨海部などを擁する横浜は、多様な顔を持っている。
だが、「横浜らしい歴史を感じる街並み」と言われれば、名前が挙がるのが中区山手町の光景だろう。


洋館や教会がこれでもかと並んでいる


かつて外国人居留地だった山手地区は、今も外国人墓地や洋館が立ち並ぶ国際色豊かなエリアとして、また有数の高級住宅街としても知られている。


山手地区は、街歩きが楽しい観光地としての側面も持っている


元町から山手の入り口に位置する山手資料館も、洋館を活用


そんな山手地区では景観保全と魅力づくりのために「景観風致保全要綱」が定められており、住民の間でも景観保全の意識が高いことは、以前に取材した通りだ。


洗濯物を干すだけでも、マンションや地域が定めた制限があったりする


そんな横浜が誇る山手地区が、2019年7月より「景観計画」の景観推進地区に加えられ、より強く景観を守ろうとする動きがあるという。
景観計画は、これまで関内地区やみなとみらい21エリアを対象に、建物の意匠や高さ、屋外広告や樹木などの変更に制限を設けて、景観を確保することを目的としてきたもの。推進地区内では、建物の高さや色彩などに制限があり、変更する際には事前に届け出が必要になるなど、強い規制が掛かる。

裏を返せば、これまでの山手の景観確保では不十分ということ?現状を調査することにした。


まさか、山手の景観がピンチなのか!?(都市整備局パンフレットより)





景観が失われている?



山手地区には、さまざまな歴史的な建築物や遺構が残っている。元町・中華街駅のアメリカ山公園から大通り沿いを歩くだけで、洋館や教会などが次々に目に入り、飽きることがない。


一般公開されている山手234番館


洋菓子店「えの木てい」として利用されている洋館もある


シンボリックな「横浜山手聖公会」


横浜市の歴史的建造物に認定されている建物も多い


横浜開港を思わせる歴史ある建物が多い一方で、「高級住宅街」という印象に違わず、真新しい住宅や建築中の建物の姿が多くみられるエリアも広がっている。


山手本通りの西は、外国人墓地や元町公園周辺よりも閑静なエリア


新しい建物も多いが、歴史的な景観に配慮した外観になっている


一見して、現状で大きく景観が損なわれている印象はない。以前と同様、地域が一体となって山手らしい町並みを守ろうとしているのが見て取れる。

だが、歴史的な遺構に関しては、開発に伴って失われている可能性もありそうだ。
その一つが、山手の「ブラフ〇〇番地」という住所表記にも名前が残る、「ブラフ積み」と呼ばれる石壁の配置。


細長い石と短い石が交互に積まれているのが特徴


「ブラフ」は「切り立った崖」という意味で、山手の地形から外国人居留地の時代から呼ばれ始めた。ブラフ積みは市内や東京でも見られる手法ではあるが、特に山手地区ではかつての歴史をとどめる「遺構」としての側面が強い。


山手ではなんでもないような崖地にも、ブラフ積みが残っている


こうしたブラフ積みは、一つひとつに保護義務にあるものではないので、建物の建て替えなどの際に消えてしまうことも多いようだ。建物の雰囲気は西洋風でも、遺構をそのまま活用する新築住宅は多くない。


新しい法面の方が安心感はあるが・・・

また、広い土地をまとまって開発するケースもあり、一帯がまったく新しい街並みになるので、景観が大きく変わることになる。


山手の内閣府横浜宿舎跡地も、宅地として分譲されている


そんな中で今回、山手地区が新たに加わる「景観計画」で、建物の建築などに届け出が必要になる推進地区に加えられるということは、どんな意味があるのだろう。横浜市都市整備局都心再生部都心再生課にお話をうかがった。


景観保全を強化するのはどうして?≫