大銀座の街を支えるプロフェッショナルな技の数々。ここでは“賢人”をクローズアップ!今回は、熱狂的なファンも多い肉の賢人〈マルディ グラ〉和知徹さんのもとを訪れました。和知徹さん肉がおいしそうになる魔法に注目です。9月28日(月)発売号「大銀座で叶うこと。」よりお届け。

焼いているそばから、肉がおいしそうになる魔法。

フルーツと肉汁が絡みあい、極上の旨味に到達

2001年、並木通りに開店した〈マルディ グラ〉。決して華美ではない内装とシンプルなメニュー、それは研ぎ澄まされたゆえに到達したもの。19年間銀座でこの店を営む和知徹オーナーシェフは、いつからか「肉の賢人」と呼ばれるように。たくさんの飲食店がひしめき合う中で、「肉といえば〈マルディ グラ〉」そう一線を画するのはなぜだろうか?

和知さんは、辻調理師専門学校フランス校を修了した後、〈レストランひらまつ〉でキャリアをスタート。フランスに何度か足を運びながら、〈グレープ・ガンボ〉に移り、その後〈マルディグラ〉を開店。学んできたフランス料理という枠を超え、和知さんならではの唯一無二の世界観を同店で表現し続けている。それは、フランス料理の基礎や知恵を大切にしながらも、常に探究心を持ち世界各国に足を運び続けるという和知さんの確固たる姿勢と弛まぬ好奇心によって、常にアップデートされ続けている。

OWNER CHEF…和知徹

研ぎ澄まされた厨房で肉を焼き上げるその光景は、舞台さながら。「肉をおいしく焼くコツは本当によく聞かれるのですが、まず言えることは、おいしさと肉の質は比例するということ。これは身も蓋もなく聞こえるようですが、高い肉なら何でもいいという話ではないんです。どんな風に食べたいのか、その希望に合わせて部位や種類など、いかに理想に近い肉を選ぶか、ということ。肉に対する知識をもって、いい肉を選んだ時点で、勝率はかなり高い。そして、火入れ。僕は、たとえどんな環境でも旨い肉が焼ける。それがプロだと思っているし、自信があります。これだけ肉と真剣に向き合ってきていますから(笑)」と笑う和知さん。

〝どんな環境でもうまく焼ける〞という彼のキッチンは雑然としているものの、試行錯誤の末にセレクトされた道具が並ぶ。「肉の厚みや部位、使うフライパンやコンロの火の具合、それによって火入れは微妙に異なるので、基本を理解し意識しながら、何度も焼いて自分なりの感覚を掴んでいくということが大切。向かい合い、本質を知るということ。肉は火入れが全てを決めますから」。こうして焼き上げられた〝作品〞を求め、今日も多くの人がやってくる。

【point.1】フライパンは、肉に合ったサイズのものを選ぶ。

和知さんが肉を焼く時に使うツールは、全てコンパクト。「〈釡浅商店〉のフライパン、短いトング、金串、スパチュールなど、時間勝負、かつ細やかに動かせるように小回りのきく道具を選びます。それが肉用の道具じゃなくても構わない。フライパンは肉のサイズで使い分けを」『細やかな対応ができる小回りのきく道具が相棒』

【point.2】ソース代わりとなるフルーツは彩りよく。

「フルーツの甘みがサルサっぽいソースになるんです。だいたいどんなフルーツも肉と合うので、旬を楽しんでもらえたら。最近僕はキュウリにハマっていて、フルーツと一緒に焼いています」。フルーツがソース代わりとなるので、肉の味付けは塩胡椒のみ。オリーブオイルでまず肉を焼き、すぐにフルーツを追加して焼き目がついたらフランベを。素材を生かしたシンプルな味付けではあるが、様々なフルーツの食感や味わいが深みを増してくれて、スペシャル感のある一皿に。『季節のフルーツを一緒に焼くだけでソースに変身』

和知徹さんが技と知恵を感じるお店は?

〈酒向 Bar(さこうバー)〉
〈サバティーニ・ディ・フィレンツェ 東京店〉
〈空也〉

1.〈酒向 Bar(さこうバー)〉
「もともとジンが好きなのですが、本当に絶妙な加減のジントニック。ここではジントニックしか飲みません」
東京都中央区銀座8-5-1 プラザG8 4F
03-6280-6835
19:00〜2:00、土18:00〜23:00 日祝休
13席/喫煙

2.〈サバティーニ・ディ・フィレンツェ 東京店〉
「本格的でクラシック。おいしいの一言。特製ワゴンサービスのスパゲッティがうれしい」
東京都千代田区有楽町2-2-3 ヒューリックスクエア 3F
03-6263-9390
11:30〜15:00、17:30〜22:00(土日〜21:30)休みは施設に準ずる
76席/禁煙

3.〈空也〉
「ずっと変わらない味。変わらない、おいしい、どちらも感じさせるには、少しずつ改良を重ねていると思うんです。その小さな積み重ねに技を感じます」
東京都中央区銀座6-7-19
03-3571-3304
10:00〜17:00(土〜16:00)日祝休

〈マルディグラ〉

根強いファンが多い名店〈マルディ グラ〉。日本のフレンチレストラン、フランス本国で研鑽を積んだ料理人・和知徹さんは肉料理の著書も多数。肉はもちろん、野菜、ワイン、デザート、どれも満足させてくれる。
東京都中央区銀座8-6-19 野田屋ビル B1
03-5568-0222
12:00〜13:00、18:00〜24:00 日休
12席/禁煙

(Hanako1188号掲載/photo:Kazumasa Harada text:Maki Kakimoto)