コーヒーのアロマやソーダ水の泡、見目麗しい甘味たち…。いいことがあった日も、うまくいかなかった日だって、贅沢気分に浸れる喫茶店は、きっとあなたの心を癒してくれる。今回は〈GINZA WEST 本店〉を訪れました。

窓際の席は、まるでレトロな食堂車のよう。朝の早い時間は、人が少なく狙い目。好きな席に座るチャンス。

来年75周年を迎える、老舗洋菓子店による喫茶室〈GINZA WEST 本店〉。手土産の定番「リーフパイ」などが並ぶ売店横の階段を上がると、カフェオレ色のイスと、真っ白なテーブルクロスをかけたテーブルがお行儀よく並んで迎えてくれる。

とちおとめと生クリーム、バニラアイスの組み合わせは永遠。ストロベリーサンデー1,430円。
冬に登場するストロベリーサンデーは5月末までの季節限定。通年で楽しめるバナナサンデーもあり。

レストランとして開店し、音楽喫茶を経て今に至るが、室内は創業当時からほとんど変わらない。特に印象的なのは、ハイバックのイスだ。「後ろの席の人と頭がぶつからないようにと、先代が背を高くデザインしたそうです」と、二代目社長の依田龍一(よだりゅういち)さん。また、少し前まで男性は髪にポマードを付けることが多かったため、イスが汚れないようにヘッドカバーを付けたのだそう。「白のテーブルクロスは、実はベニヤとゴムで作ったテーブルを目隠しする役目もあるんですよ」と、朗らかに笑う依田さん。老舗でも背伸びせずにいられるのは、そんな手作りのぬくもりを感じるからに違いない。

【Traditional menu】飲む人のことを考えたうれしいサービス。

〈GINZA WEST〉のドリンクは、シロップが別添えでやってくる。「甘いのが苦手な人もいるでしょう?好きな甘さにできるのがいいんです」(依田さん)。着色料を使わない無色透明のクリームソーダも、イチゴがたっぷり入ったイチゴミルク(1,320円)も、自分好みの味で。ドリンクは、一部を除きおかわり自由なのもうれしい。クリームソーダ1,210円、オリジナルブレンドコーヒー1,100円。

【Compote stand】選ぶ楽しみ、悩む喜び。

コーヒーや紅茶などをケーキセット(ドリンク代+330円)にすると、木製のコンポート台にケーキをぎゅうぎゅうに載せたサンプルを席まで持ってきてくれる。どれもおいしそうで、このなかからひとつを選ぶのは至難の業。サンプルといっても、すべて本物のケーキを使うのがこだわり。毎日、その日のケーキをひとつずつ載せていくのだそう。焼き菓子セット(ドリンク代+110円)も同様。

【Interior】壁面ギャラリーで有名画家の作品を愛でる。

白い壁に飾られたアートは、インテリアの名脇役。窓と窓の間に飾られている、パリを描いた3枚の油絵は、洋画家の林武氏がまだ無名だった頃の作品。「林武さんが若かった頃、3枚の絵を持って、買ってくれないかとお店を訪れたそうです。先代が気に入って購入したんですよ」(依田さん)。ほかにも、猪熊弦一郎氏の版画など有名画家の作品が飾られているので、コーヒーを飲みつつ鑑賞してみよう。

【Service】創業当時から変わらないこと。

テーブルに真っ白なテーブルクロスをかけるのが、ここの定番。毎朝、この折り皺ひとつないテーブルクロスを、ウエイトレスさんたちがテーブルにセッティングする。そして、お客さんが帰るたびにクロスの上を掃除し、汚れがあったら新しいクロスと交換。室内に流れる音楽は、昔も今もずっとクラシック。音楽喫茶だった頃に使われていたSPレコード盤は入り口横の棚に保管されている。

〈GINZA WEST 本店〉

1947年創業、素材と味にこだわる洋菓子の老舗。ここでしか食べられないメニューも豊富。
東京都中央区銀座7-3-6
03-3571-1554
9:00〜22:00(土日11:00〜20:00)年末年始休
52席

(Hanako1195号掲載/photo : Nobuki Kawaharazaki styling : Satomi Kamino model : BEBE text : Motoko Sasaki edit : Kana Umehara)