フードディレクター・野村友里さんのおすすめ食材を紹介する、3月29日(月)発売『会いたくて、食べたくて 私が信頼する101の美味しさとその生産者たち』より、〈可笑しなお菓子屋kinaco〉のビスケをご紹介します。

〈可笑しなお菓子屋kinaco〉のビスケ

毎月第2土曜日、自由が丘の〈TODAY’S SPECIAL Jiyugaoka〉にて、kinacoさん自身による店頭販売があるほか、不定期のイベントなどでも取り扱いがある。ワークショップも開催している。

おいしいお菓子を作る人はたくさんいるけれど、〈可笑しなお菓子屋kinaco〉ちゃんのお菓子は、私には別格です。安心して食べられるという以上に、まずとてもおいしいんです。kinacoちゃんは、10代の頃に体を壊した経験から、「食べ物で私たちの体はできている」ということに、とても意識が強い人なんです。マクロビオティックに出会い、植物性の食べ物が体への負担が少ないことも体験的に知っている。だから、バターも白砂糖も一切使わず、植物性の材料だけでお菓子を作っているそうです。

塩麹をすべてのお菓子に入れているのは、旨みを引き出し、酸化を防いでくれるから。そして、「使っている素材も、顔を知っている友人や信頼のおける八百屋さんのもの。だからハッピーな気持ちでいつもリラックスして焼くことができる」と言います。kinacoちゃんと料理やお菓子の話をしていると、なぜか最後は精神論になっている(笑)。でもそれは当然のことかもしれない。「金ごまと人参ジャムのビスケ」も、友人である鳥取県米子の〈胡麻のアトリエ〉から送られてきた食材をどんなお菓子にするのか考えて焼かれたもの。同じ土地で採れた金胡麻と人参のビスケット。kinacoちゃんのように、柔らかい空気を感じるお菓子でした。

Profile…野村友里(のむら・ゆり)

eatrip 主宰・料理人。長年おもてなし教室を開いていた母の影響で料理の道へ。ケータリングの演出、イベントの企画・プロデュースなどの傍ら、雑誌の連載、ラジオのパーソナリティなどの分野で活躍。2009 年にはドキュメンタリー映画『eatrip 』を監督。著書に『Tokyo Eatrip』(講談社)。12年、原宿に〈restaurant eatrip〉を、19年には表参道にグローサリー〈eatrip soil〉をオープン。

(『会いたくて、食べたくて 私が信頼する101の美味しさとその生産者たち』掲載/photo:Yurie Nagashima text:Toshiya Muraoka styling:Yuri Nomura)