ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第24回は、ナチュラルビューティーハンターとして活躍するシナダユイさんが、世界で話題の代替肉専門ブランド〈ネクストミーツ〉のキッチンカー&本社へと突撃取材。CEOの佐々木英之さんに話を伺いました。

「ヴィーガン」と「プラントベース」

みなさんは「ヴィーガン」と「プラントベース」を耳にしたことはあるかもしれませんが、その違いについてはご存知ですか?ざっくり説明すると、「ヴィーガン」は可能な限り食事・衣類・その他の目的のために動物の搾取をしない生き方、「プラントベース」は植物性食品を積極的に摂り入れていくことで環境問題にアプローチし、食の持続可能性を推し進めていくもの。近頃、市場でも注目を集めています。

私自身は『いのちの食べかた』というドキュメンタリー映画で、商業的に機械の上で屠畜されていく牛や豚、鶏の映像を観て衝撃を受けてしまったことから、「ヴィーガン」という言葉に敏感になりました。食肉を減らす程度で、様々な「ヴィーガン・プラントベース」を試し続けること数年。調理法は面倒ですし、価値観の共有も簡単ではないと、暮らしに定着させることに難しさを感じていました。そんなとき、〈焼肉屋ライク〉とコラボ!?と、なにやら面白そうな取り組みをしている会社があることを嗅ぎつけ、インスタグラムの情報を元に期間限定のキッチンカーに行ってきました。

100%植物性の「NEXT牛丼」に、新しくメニューとして加わった「NEXTチキン」の販売も。鶏の代替肉は未だかつて食べたことがなかったので、興味津々に一口かじってみると、ハーブが効いていてとってもおいしい。食感も弾力がしっかりとあり、物足りなさを感じづらい。きっと製品になるまで試行錯誤したんだろうな...と、今度はその足で本社へ。CEOの佐々木さんにお話を伺いました。

目指すは“ノンアルコールビール”のポジション

CEOの佐々木英之さん(左)。

ーー〈ネクストミーツ〉を始めた理由を聞かせてください。

「以前から環境問題を何とかしたいという関心があり、前職でコンサルタントとして働きながら社会に意義のあるビジネスをやりたいなと考えていました。ただ再生エネルギーを始めようと思っても、ベンチャーはなかなか入り込めない。そんなとき、情報として代替肉や培養肉というものに興味を持ったんです。どちらもいまの畜産のあり方からすると環境に対してはいいものになりますが、市場を考えたときに培養肉はもっと先のことだろうなと思ったため、先ずは“プラントベース”の代替肉から始めることにしました」。

ーー映画『カウスピラシー』や『ゲームチェンジャー:スポーツ栄養学の真実』を観たことはありますが、畜産がたくさんの穀類と水を要することから環境負荷が大きく、さらにはメタンガスも排出して地球温暖化の原因にも関わるという情報は、雑誌などで知りました。

「食糧危機が迫っている、気候変動にも関わっているなど、そういうことはとても大事なこと。特に日本は公害などが割と早い段階で治まった国ではあると思うのでリアリティがなかなかないのかもしれませんが、温暖化はリアルに考えていかなければいけない状況になってきていると思うんですよね。フルスピードで様々な企業と組んで知ってもらうことはとても大切なことです」。

ーー積極的に企業とコラボされているのは何か理由があるのでしょうか。実際、私自身は〈ネクストミーツ〉さんが様々なところとコラボした結果、購買欲求に一気に火がつき、“食べてみたい”と思いました。たまたま〈Oisix〉で簡単に買うことができたのですが、調理も焼くだけと驚くほど簡単で、味もおいしい。

「ありがとうございます。現状、日本では代替肉専門の最終商品(※製造企業の生産過程で最後に位置する製品のことであり、消費者に販売可能な製品のこと)のブランドは僕らしかいません。なので、そういった意味でブランディングということを考えたとき、1年も経っていない会社なので認知度がない。そういう意味で、やはり大手企業と組むことでできることはありますし、大手企業にも必ず“大きいからこそできないこと”はあると思うんです」。

ーー目線が前職ならではですね。知見を活かされている。

「僕は前職で大手とベンチャーの取り組みをずっとコンサルしてきたので、自分たちが協業することでお互いにメリットを持ちつつ、皆さんに先ず知ってもらうことができるというきっかけになると思います。例えばヴィーガンの方に合わせてお店に行こうとなると選択肢があまりない。でも、ヴィーガンではない僕らであれば〈焼肉ライク〉に連れて行くことができる。そのほうが選択肢が広がりますし、より食を楽しめるのではないかと」。

ーー分け隔てない、食の多様性を感じます。

「僕らは別にヴィーガンだ、ベジタリアンだと仕切るわけではなく、どちらかといえば普通の人が取り入れてくれればというのが1番の狙いです。例えばヴィーガンマークを付けてしまうと、ヴィーガンの方しか見なくなってしまう。僕らがよく例えて言うのが、普通のお店に置いてあるノンアルコールビールなんです」。

ーー身近な例えですね!確かにどこにでも置いてあります。

「最初の頃は関心の高い、意識の高い居酒屋には置いてありましたが、ある程度時間が経ち、いまではだいたいどこのお店にも置いてあるじゃないですか。まずはそうやって選択できる状況に僕らも持っていきたいですね」。

ーーヴィーガンというと、やや健康志向の強い方のイメージもありますしね。ひとつ屋根の下に暮らしていても価値観や食の好みはそれぞれ。私の場合は家族が牛丼好きなので、黙ってさっと「NEXT牛丼」を出しました。

「“代替肉・健康・ヘルシー”は、いき過ぎてしまうとそういう思考の人しか食べなくなってしまうので、むしろガツガツ食べる男飯の中に入っていく方がいいかなと。それだけではなく、今後は幅広くやっていった方がいいのかなと思いますが」。

ーー健康面でメリットがあるとわかっていても、調理法や味に馴染みがなくてリピートしないということが多かったので助かります。開発時は味にこだわりがあったと思いますがいかがでしたか。

「そうですね、トライ&エラーはかなり繰り返しました。食感を研究されている大学の教授を始め、さまざまな方からアドバイスや意見をいただきました。おっしゃる通り、一過性のブーム(第次タピオカブームみたいな)であってもいけないと思っていますし、生活の中に入っていかなければいけない。持続していくにはおいしくないと続かないじゃないですか」。

ーー私は調理するとき原材料名をチェックするクセがあるのですが、非常にシンプルで、変な添加物が入っていませんよね。

「僕らも食品添加物無添加でおいしいものを作るという点で食の安全だったり、取り組みやすいという意味ではそういうところを狙って作っています」。

1.1を見逃すな!進化してくプラントベース

ーー素朴な疑問ですが、商品名「NEXTカルビ1.1」の1.1とは、どういう意味なのでしょうか?

「これはバージョン番号を付けていて、イメージはiPhoneと一緒です」。

ーーどんどん良くなったり、色々なものが出てくるなど、バージョンアップしていくのでしょうか。

「僕は食品業界を経験してこなかったため、プロダクトに対して結構ハードウエアみたいな概念を持っていて、別に食品を進化させてもいいのかなと。もちろん、『カップヌードル』など何十年も売られている食品は徐々にマイナーチェンジがされていると思いますが、僕らはもっとわかりやすく進化させていきたくて。そういった意味でバージョンをつけることで、3.0を食べた人が“4.0が出ました”と言われたら気になるだろうなと(笑)」。

ーーなるほど、そういうことだったんですね。

「例えばそういうファンが付いてくると考えたとして、バージョンをつけることで話題になるかもしれない。将来、代替肉が当たり前になったときに「実は俺、『カルビ1.0』食べてたんだぜ!」など、話のネタになるかもしれませんしね」。

ーーおもしろいですね!いつか私たちがおばあちゃんぐらいになる時代には、「あの頃の世代の人たちって肉(屠畜)を食べてたんだぜ」っていう子供が増えるといいねという話を先日したばかりなんです。そういう先を見越した策というか。

「そうですね。買う側も、買う楽しみみたいなものがあるといいのかなあと」。

ーー次の世代の話題にまで、日本発の代替肉専門ブランドが考える未来。最後に、これからの展開をお聞かせください。

「環境の視点でいうと、やはり日本だけで取り組めばOKと言う話ではなくて、地球規模で考えなければいけない。なので、僕らは最初から世界展開で見ています。台湾ではもう3月から〈焼肉ライク〉の販売が始まっていますし、シンガポールでは9店舗のレストランで取り扱いが始まります。他にも、アメリカやヨーロッパでも準備している段階です」。

ーー牛丼などの日本食は受け入れてもらえそうですもんね。

「せっかく日本の企業なので、日本らしさっていうのはやっぱり出したくて。バーガーなども作ってはいますが、日本企業がつくるのは和食のほうが1番おいしく出来るんです。僕らも〈ビヨンドミート〉と戦おうというより、むしろ一緒に組んでやっていきたいくらいなので」。

ーーまさにSDGsの17番目「パートナーシップで目標を達成しよう」ですね。

「僕はあまり競合とかではなく、いまは何をしていけば地球のためになるのかという点で考えていきたいと思っていますね。これからも、“地球を終わらせない”という理念ファーストでやっていきます」。

〈ネクストミーツ〉