ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。「先輩と後輩」、どちらもいろいろ考えちゃいますよね。

(photo : Yasutomo Sampei styling : Yui Funato hair&make : Akemi Kibe [PEACE MONKEY])

「私は先輩として、後輩をちゃんと見てあげているのか」

数ヵ月前のことになるが、今年の春で入社9年目を迎えた。もうここまで来ると何年目かなんて数えないとわからないくらいだけれども、一応区切りということで指折り数えてみた。私の個人的な感覚で言うと、若手とはもう言えないけれど、自ら中堅と言うのはおこがましいような微妙な年代。上と下に挟まれて、なかなか身のこなし方が難しい年代だなあと思う。

テレビ朝日アナウンス部の壁には大きなホワイトボードが貼ってあって、ボードの一面は上から下に向かって5センチほどの幅に長細く区切られている。その各コマの上部にそれぞれの名前が書かれたネームタグが貼ってあって、各自そこに自分の予定を書くことになっている。何時にどこに行って何時戻りとか。アナログ時代の名残がまだそこにはある(ちなみにスケジュールはオンラインでチェックできるようになっているが、それとホワイトボードが併用されている形である)。

入社して人事研修が終わり、アナウンス部に配属されると、まず自分の名前が記載されたネームタグを部長から手渡される。なんの変哲もない、ペリッとホワイトボードに貼りつくタイプの薄いタグであるが、なんとも恭しい扱いを受けている。それを右からずらっと入社順に並んだ先輩方のネームタグを目で追いながら、新入りの自分に割り振られたスペースである左の一番端っこに貼るのが習わし。2013年の春に、私も例にならってそれを経験した。正直貼る際には何とも思わなかったけれど、貼った後遠くからホワイトボードを見てみると、テレビで見ていた先輩方と並んで自分の名前があるのがなんだか不思議な気持ちがした。しばらくして、ああ本当にアナウンス部に配属されたんだな、とこの先待ち受けている想像もつかない世界に思わず身震いしてしまうような瞬間でもあった。

 そんな時から月日が経ち、今年9回目の春を迎えた。これだけ長く時間が過ぎると、私のネームタグも壁一面の大きなホワイトボードの真ん中くらいまで動かされている。私の右側に名前を連ねていた先輩方の中には、アナウンス部を離れた方も少なからずいらっしゃって、その方のネームタグは外れ、私たち後輩の名前は右にずれる。春には、毎年2人から4人は新しい仲間が入ってくる。自然と左から右へとネームタグは移動され、気付くと真ん中に差し掛かっており、そうかこんなところまでやってきたのか、と感慨深くなった。私の左側にはずらっと二十人弱の後輩の名前が連なっている。こんなに先輩になったんだ、と思うと同時にフツフツと私の中に湧き上がってくるのは、「私は先輩として、後輩をちゃんと見てあげているのか」という疑問である。

(続く)

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