千利休が作り上げた茶の湯が脈々と受け継がれている、宇治茶の産地である京都。昔も今も変わらず、お茶は京都にとって大切な文化であり伝統だ。それは後の時代まで残ってきた革新の積み重ねのこと。利休が提唱した侘寂(わびさび)の価値観も当時は画期的だったに違いない。そして今、京都ではお茶を愛する店主が、新たな伝統を作り始めている。8月27日(金)発売 Hanako1200号「好きなのは、京都らしさ。」よりお届け。

この8月にリニューアルした〈池半〉2階の間。窓の外に鴨川や飛ぶ鳥の姿を眺めながら過ごす茶の時間は、京都ならではの贅沢さにあふれている。

800年前の高山寺での茶の栽培を皮切りに、茶どころであり続ける京都。長らくの抹茶&抹茶スイーツが茶を楽しむ主役だった時代から、多様化し幅を広げつつある今、店主たちが、国や産地を問わず好みの茶葉を、自由に味わうことを提案する。

1.日本茶も台湾茶も問わず煎を重ねて優雅に過ごす。〈茶室/茶藝室 池半(ちゃしつ/ちゃげいしつ いけはん)〉/五条木屋町

選んだ茶葉に合わせ、用意される茶の道具を愛でる楽しみも。購入できるものもある。
菓子のひとつには自家製の台湾のおやつ・豆花(トウファ)が登場することも。

まず注目すべきは、茶を愛する店主たちの茶葉に対する分けへだてのなさと徹底した追求ぶりだ。鴨川畔に昨年11月に登場した〈池半〉では、「リーフと湯を使って淹れることは、すべてのお茶に共通すること」と、台湾茶はもちろん日本茶にも小ぶりの茶道具を使い、何煎も味わう文化としてのスタイルを伝える。日本各地はもとより、中国、台湾と産地による区別はなく、好みの茶葉を扱う。

「まずは好きな道具がひとつあれば、お茶は楽しめます」と店主の小嶋万太郎さん。妻の石橋慧(けい)さんと共に店を切り盛りする。

〈茶室/茶藝室 池半(ちゃしつ/ちゃげいしつ いけはん)〉
その時々で10種以上の日本茶や台湾茶から選べる3種の茶と、2種の菓子の「茶席のコース」4,400円。2種の茶は店主が淹れ、残り1種は自分で淹れて楽しむ。ほかに喫茶1,300円〜。
京都府京都市下京区都市町143-111
当面12:00〜、14:00〜、16:00〜(90分制)
※HPからの完全予約制。
1組4名まで貸切。

2.飲むことで癒しをもたらす上質な日本茶をセレクト。〈essence kyoto(エッセンス キョウト)〉/岡崎

右下から時計回りに、紅茶 香駿(こうしゅん)25g 972円、さくら茶30g 1,080円、緑茶 ゆず煎茶30g 756円、蒸し製玉緑茶 さえみどり30g 1,080円、ほうじ茶25g 432円。
「器も茶葉も用途以上の価値があるもの」と夫の荒谷啓一さんと店を営む里恵さん。

器や日々の道具の選択眼に定評がある岡崎のギャラリー〈essence kyoto〉では、茶もまた暮らしに欠かせない大切なものとして扱う。その年ごとの味を確認しながら無農薬や減農薬で育てられたシングルオリジン、緑茶と同じ品種で作る紅茶などをセレクトし、飲むことで癒しになるような日本茶をそろえる。ほかにも作り手を深く知りセレクトする茶葉、有機栽培や無農薬を軸にした茶葉、上質な茶葉のカジュアルな飲み方提案など、それぞれ店主が愛する茶葉をどう伝えるか心を砕く。

〈essence kyoto(エッセンス キョウト)〉
器や日用の道具と共に日本茶を扱うギャラリー。茶葉は静岡や九州のものを中心に、シングルオリジンから季節のものまで7〜8種類がそろう。茶葉は封筒入りのほか缶入り1,080〜2,376円も。
京都府京都市左京区岡崎円勝寺町36-1 2F
075-744-0680
11:00〜18:00 月休、ほか不定休

茶葉の選び方も飲み方も、多様性がお茶の世界を広げている京都。茶藝室、ショップ、カフェと店のスタイルも様々。茶とともにある、心穏やかに過ごす時間を手に入れたい。

(Hanako1200号掲載/photo : Norio Kidera, Yoshiko Watanabe text : Mako Yamato)