ロケ弁ブランドをはじめ、さまざまなジャンルで活躍をするフードデザイナー・細川芙美さんが、ズボラ女子でもできる簡単レシピを紹介する連載。第35回は、ちくわとこんにゃくを使った親子丼ならぬ“もっと他人”な丼ものを紹介します。

今回のテーマ:「みんな違ってみんないい!他人すぎる丼」

色々な食材を入れてみよう。

突然ですが、人は毎日生きていれば色々なことが起きるわけで、人との距離感やコミュニケーションの取り方なんてのは、人の数だけ存在する。自分を押し殺して明るく振る舞うことに疲れたら、他人丼を作って胃の中で一つにしてしまえばいい…。頑張り屋さんのB面女子に捧ぐ必勝法である。

材料(1人分)
切り出し昆布…3cm程度
長ねぎ…1/2本
玉ねぎ…1/2個
ちくわ…1本
こんにゃく…110g
牛バラ肉…200g前後
酒…50mL
みりん…50mL
きび砂糖…小さじ1
醤油…25mL
卵…2個
ご飯…お茶碗1.5杯分

※次回分の作り置きも含めた量で作っています

まずは昆布出汁でいい社交場を作る。

【POINT】所々、切り込みを入れる。
【POINT】水を入れて。
【POINT】極々弱火に。

【1】きっとそれぞれにとっての環境が良ければ、みんな笑顔でいられる。いつもは粉末でちゃちゃっと作ってしまいがちな出汁も、昆布でじっくり。フライパンに昆布を入れたら水100mL(分量外)を入れ、極々弱火で15分ほど煮出す。昆布のうま味が出るまでじっくり待って。

適材適所。切り物といえど、全部が包丁じゃなくてもいい。

【POINT】包丁の刃先で引くように斜め切り。
【POINT】玉ねぎは櫛形に。
【POINT】切りながら直接IN。
【POINT】分割するのも便利。
【POINT】こんにゃくもそのままIN。

【2】私は私、あなたはあなた。細かい作業はもちろん、固いものは包丁じゃなければ切れないけど、ちくわやこんにゃくのような柔らかい食材はハサミの方が早かったりする。トッピング用の長ねぎは包丁の刃先で引くように5cmほどの斜め切りに。シャープな印象に仕上げれば、ちょっと京都っぽくなる。玉ねぎは皮を剥いて櫛形に。ちくわはハサミを使って輪切りにして1のフライパンに入れ、こんにゃくも同様に色紙切りにする。まな板の上では玉ねぎと長ねぎしか切っていないため、洗い物もささっと済む(そっち目線…)。

食材の共通点は「醤油が含めばおいしい」ということ。

【POINT】牛バラ肉は1番上。
【POINT】なるべく外側に調味料を入れて。
【POINT】牛肉の色が変わったら1度返して。
【POINT】さあ、醤油で決めるぜ!
【POINT】ちくわがふっくらしてるね。
【POINT】ここまで調理したら、半分は作り置き。

【3】フライパンに玉ねぎ、牛バラ肉の順で重ね入れたら中火に。酒、みりん、きび砂糖を入れ、ひと煮立ちしたら醤油を入れて弱火にする。全体を返したら、玉ねぎとちくわに醤油の色がしっかり染み込むまで煮込む。

※具は半分使い、もう半分はタッパーなどに入れて冷蔵保存(次回使用)

卵でとじるときは集中!目をはなさないこと!

【POINT】あらかじめ溶き卵は準備しておくこと。
【POINT】外側から中央へ円を描くように。
【POINT】ねぎがあってよかった。
【POINT】縁が固まったら、あとは余熱にまかせる。
【POINT】テフロンのフライパンにして正解!

【4】平凡な毎日にもここぞというときがあるように、卵でとじる瞬間も同じだ。いままでおいしく育ててきた具材を台なしにしないよう集中…。フライパンを強火で再び沸かし、溶き卵を外側から全体へ回し入れる。長ねぎをのせ、外側が固まり始めたら火を消す。あとは全体が半熟状態になるまで余熱で火を入れ、ご飯をよそったうつわに滑らせるように具を乗せたら完成。

卵はとろっとしているし、牛肉はやっぱりおいしい。そこにこんにゃくとちくわを加えた他人すぎる2つの食材は「醤油が含んだ味」を共通点に1つのどんぶりの中で出会った。玉ねぎはカレーにもなれるし、ちくわはおでんにでもなれるのに、今回この他人すぎる丼はこんなにもおいしい。それぞれの食材は何にだってなれる。共通点に立ち返れば、ギクシャクした関係や言いにくいことも、コミュニケーションをとるための突破口なのかもしれない。“私ばかり”と皮肉に感じてたことも、実はみんな想い想い感じているだろうし、歯車がちょっと狂っていただけかも。だって、醤油と酒、みりんのシンプルな調味料だけで、たいがいの料理はご飯がすすむんだもん。明日も頑張れそうだ。

今回のB面撮影裏側日記

いつも愛用しているハサミトングで混ぜていたところ、先端にちくわが刺さってしまい大笑い。まだまだ箸が転がっても笑えるアラサー細川でした。

A面、B面女子とは…?

料理ライフを楽しむキラキラA面女子(SIDE-A)がいる一方、「料理はしたいけど楽ちんなのがいい!」のが本音。そんなB面女子(SIDE-B)の願望を叶える簡単レシピを紹介する本連載。Hanako誌面の連載「SIDE-B COOKING」と連動中!Hanako.tokyoのWEB連載、instagramと合わせてパラレル女子のA&B面をチェックして!