この春、NYから京都へ移住した仁平綾さん。今は小商いが魅力の京都を満喫している日々で、すでに行きつけのお店を見つけていました。

1.新生活に迎えたい古い生活道具をハント。〈平安蚤の市〉/岡崎

フリーマーケットが好きでたまらない私が、毎月指折り楽しみにしている蚤の市。京都のほか、各地からの出店者が、骨董や古道具をそれぞれ我流スタイルで陳列し販売。ビビッドな黄色い珉平焼(みんぺいやき)の皿、スチール製の古い引き出しなどを、いそいそと購入。岡崎公園にて、毎月ほぼ10日に開催。

〈平安蚤の市〉
京都府京都市左京区岡崎最勝寺町他
070-1745-1503
9:00〜16:00

2.本と出会いに行く、堀部さんに会いに行く。〈誠光社〉/俵屋町

ベストセラーとか売れ筋とか、そういう視点で本を選ぶのではなく、もっと直感的に本と出会う、そんな右脳系本屋さん。新刊、古書、ジンまでが並ぶ、店主・堀部篤史さんの選書が冴える本棚は、鈍った感性のチャージにも効き目あり。ちなみに堀部さんは恐ろしいほど博識。怖がらずに話しかけたもん勝ち。

〈誠光社〉
京都府京都市上京区中町通丸太町上ル俵屋町437
075-708-8340
10:00〜20:00 無休

3. NYではよくベーグルを、京都では食パンを焼いている。〈高台寺一念坂 金網つじ〉/高台寺

毎日おいしいものを食べることに心血を注ぐ私の、自分を褒めてあげたい買い物が、こちら。セラミック付き焼き網(大・13,200円)。とうもろこし、そら豆、餅、パンまで。ガスコンロの上にのせて焼くだけで、わあ不思議、どんな食材も普段の3割、いや5割増しぐらいの味わいに。手編みの網の美しい佇まいもいい。

〈高台寺一念坂 金網つじ〉
京都府京都市東山区高台寺南門通下河原東入ル桝屋町362
075-551-5500
10:00〜18:00 水休

4.風呂あがりにガブッと、そんな家飲みワインがずらり。〈仔鹿〉/三条

路地奥にある酒店に並ぶのは、気取らず、家でぐびぐび飲めるワイン。ワインの輸入会社で働き「(ワインの)量はかなり飲んでます」と話す店主の室原卓弥さんは、信頼のおける味覚の持ち主。ポルトガルやイタリアの協同組合で造られているワインを購入したけれど(1本2,000円未満と手頃!)、ぺろり完飲だった。

〈仔鹿〉
京都府京都市左京区大菊町134-7
090-6798-1427
13:00〜22:00 火休

5.調味料はローカルなものを。旨みたっぷりの黒酢。〈蔵元中野商店 中野酢〉/北大路駅

街歩きの途中で偶然見つけた、酢の蔵元直営のショップ。伝統的な木桶仕込み、数カ月にわたる静置発酵で造られるお酢を味見させてもらったら、ふくよかな味わいに目を見開いた。愛用している黒酢(黒酒酢・900ml 4,104円)は、クセがなく旨みたっぷり。餃子、サラダ、卵かけご飯に、食卓で大活躍中。

〈蔵元中野商店 中野酢〉
京都府京都市北区大宮北椿原町42
075-205-5335
10:00(土日12:00)〜17:00 水休

6.京都の朝に欠かせない、自家焙煎のコーヒー豆。〈WIFE&HUSBAND(ワイフアンドハズバンド)〉/北大路

毎朝コーヒーを淹れる夫が、リピート買いしている〈ワイフ&ハズバンド〉のコーヒー豆、ブレンドDaughter(200g箱入り1,550円)。カフェインが体質的に合わない私も、この店のカフェインレスブレンドMotherなら、するりと飲めて感激。しかも普通のコーヒーに引けを取らない深遠なおいしさ。ああ、口福。

〈WIFE&HUSBAND(ワイフアンドハズバンド)〉
京都府京都市北区小山下内河原町106-6
075-201-7324
10:00〜17:00(16:30LO、ピクニック15:00LO)不定休

7.クセのある絵柄の古い器にイマジネーションが暴走する。〈Pro Antiques 古夢(プロアンティークスコム)〉/烏丸御池

どこかまぬけな鶴、波間に浮かぶクジラ、ファンキーで意地悪そうな老夫婦…。クセのある絵柄に惹かれ、古い器を爆買い(実際はクジラではなく牡丹だし、鶴も老夫婦も伝統的な柄。詳しいスタッフが丁寧に教えてくれます)。あえて洋のスイーツや、ワインのつまみを盛って、和食器の懐の深さにほれぼれしている。

〈Pro Antiques 古夢(プロアンティークスコム)〉
京都府京都市中京区三条通高倉上ル東片町616 コムハウス01/02
075-254-7536
12:00〜20:00 無休

3.目を閉じれば森や神社…香りが情景を誘う石けん。〈ギャラリー遊形〉/市役所周辺

京都〈俵屋旅館〉のオリジナル石けん(6個入り1,430円)は、もう10年以上愛用している我が家の定番。ローズやサンダルウッド、ジャスミンなど、200種以上の香りがブレンドされているためか、使うたびにNYでは郊外の森や植物園が、京都では静謐な神社仏閣や庭が連想され、旅しているようなバスタイムが叶う。

〈ギャラリー遊形〉
京都府京都市中京区姉小路通麩屋町東入ル
075-257-6880
10:00〜18:00 不定休

ブルックリンから京都へ、 新生活のあれこれ探し。

京都とブルックリンは、たぶんちょっと似ている。今春まで、9年間暮らしたニューヨークのブルックリン。コンクリートジャングル、なんて歌われるマンハッタンとは対照的に、低層の住宅が並び、空が広い。人々が生活を営む街は、いきいきとしたカオスだけれど、親しみやすく、安心感があった。住宅の1階では、ベーカリー、バー、本屋さん、ヴィンテージショップなんかが、ふいに営業しているから、ストリートを歩けば「あ、こんなところに」という発見が、いつもあるのだ。

高層ビルのない京都の街から見上げる空もまた、広い。街を歩くと、京町家の1階や、路地の奥のほうから、個人商店が控えめに顔をのぞかせる。「あ、こんなところに」の連発。スモールビジネスが、そこらじゅうにごろごろ。ときにはキャラが強めの店主に遭遇したりもして。自由な、ブルックリンの空気を、京都のあちこちで感じるのだった。古いものを慈しむ。その感性も、ニューヨークと京都に共通している。

建物はもちろん、家具も洋服もレコードも、誰かのおさがりに味わいや美しさを嗅ぎとる。それがクール。だから、古いものがそこかしこ、すぐ手に届く京都は、うれしい。カフェやショップを訪ねれば、半端ない築年数の改装物件ばかりで、しびれっぱなし。前のめりで蚤の市に出かけては、古い道具をせっせと漁あさり、街中に点在するアンティークショップでは、鼻息荒く器選び。そうそう、立ち飲み居酒屋で、古い伊万里焼の取り皿がテーブルに運ばれて、思わず小躍り。なんてこともあった。そんなわけで、私の京都暮らしは、街に人に物に、全方位からインスパイアされまくり。いまのところ、ほとんど毎日、おもしろい。

Navigator…エッセイスト・仁平 綾(にへい・あや)

ニューヨーク・ブルックリンに9年暮らした後、2021年春に京都へ移住。著書に『ニューヨーク おいしいものだけ!』(筑摩書房)、『ニューヨークでしたい100のこと』(自由国民社)など。

(Hanako1200号掲載/illustration : Junichi Koka photo & text : Aya Nihei)