老舗旅館に外資系高級ホテル、贅をつくす宿も多いが、今、京都のホテルは新たな転換期を迎えている。客室を筆頭に朝食など、随所に「らしさ」がちりばめられているのはもちろん、人気建築家による高いデザイン性を実現させたホテルも現れた。いずれも手頃な価格が魅力だ。今回は〈嵐山邸宅 MAMA〉をご紹介します。

和の趣あふれる一軒家。保養所時代からほぼ変わらないという外観。のれんをくぐり、前庭を抜けるとまずは開放的なレストランが出迎えてくれる。

嵐山に変化の兆しが表れたのは2年前。福田美術館のオープン以降、“大人の京都”として再び注目を集めるように。街の喧騒と切り離された自然豊かな場所は、リラックスして過ごすには最高のロケーションとして見直されているのだ。今年5月に開業した〈嵐山邸宅 MAMA〉は、元々阪急電鉄の保養所だった建物。そこに新たに手を加え、ホテルとレストランという形でリスタートを切った。

素足が気持ちいい客室。202号室は元々、大広間だった場所。そのため、天井が高く開放感は抜群。梁をそのまま残すことで、空間に表情を与えている。

客室はたった10室。どの部屋も微妙に表情が異なるのは、あくまでも“ありのまま”“素のまま”など、“まま”を優先し再生した結果だ。でもそれが趣ある味わいを生み、新しいのにどこかほっとさせる。また、館内は完全な土足厳禁。チェックインを済ませ、廊下に敷かれたふかふかの絨毯の上を歩けば、するすると緊張が解けていく。ゆっくり、のんびり過ごす、大人の京都滞在ならここで。

家具やアメニティは京都の職人の手仕事

【BREAKFAST】鯛のお椀が胃に染み入る。

削りたての鰹節でとっただしを注ぎ、レアでいただく鯛のお椀が絶品。〈森嘉(もりか)〉の豆腐など、食材はなるべくご近所から。

【DINING】食材を活かすピッツェリア。

昨冬に先行オープンした〈儘〉のメインは薪窯で焼くピザ。九条ネギや賀茂茄子など、京野菜もふんだんに使う。

【AMENITY】空間と調和するルームウェア。

レストランにも着て行ける違和感のないデザインを目指したという部屋着。リネンのサラッとした着心地が体をも解き放つ。

〈嵐山邸宅 MAMA〉/嵐山

レストラン〈儘〉は朝のみゲストオンリーだが、ランチ以降はビジターが訪れることも可能。昼は絶品のピザやパスタを求め、地元客も訪れる。阪急嵐山線嵐山駅から徒歩約3分。渡月橋からほど近い場所にある。
京都府京都市西京区嵐山西一川町1-5
075-406-1795
1泊1室35,200円〜(宿泊税別、朝食込み)
全10室

(Hanako1200号掲載/photo : Kunihiro Fukumori, Yoshiko Watanabe(FAUCHON HOTEL KYOTO)text&edit : Yoshie Chokki)