一流の料理店がひしめく京都。本物の味を知る京都人は、定食や麺類といった軽食にもかなりうるさい。食堂はだしや素材のレベルが高く、料理人が普段使いする場でもあり、お手頃さと質のギャップは感動もの。学生や外国人が多く新しい文化に寛容だから、選択肢もレバノン料理に胡椒餅…とバラエティ豊か。京の味の神髄を見出せる。

1.心づくしの丁寧な仕事で西陣の胃袋を満たす蕎麦店。〈西陣ゑびや〉/西陣

迷った時は「そば定食」、これで950円。
定食は10種類。平日限定の日替わり850円も人気。

界隈の人々が足繁く通い、出前の電話もひっきりなし。いわゆる「蕎麦屋」の定番は何でもあるが、ボリュームたっぷりの定食類も見逃せない。バランスのとれた副菜、毎朝届くぴかぴかのまぐろ、こだわりの自家製麺…実直な仕事は「お客さんを裏切られへん」との思いから。

夫亡き後、家族とともに店を守る御年80歳の真田すみ子さん。
織物の町・西陣で長年愛される名店。

〈西陣ゑびや〉
京都府京都市上京区大宮通五辻上ル
075-441-8737
11:00〜16:00 水休
24席

2.メニューは日替わり1種類。座れば出てくるお手軽定食。〈キッチンくじら〉/岡崎

ご飯が進む絶妙な味付けのおばんざいがずらり。バリエーション豊富な主菜は各種SNSで当日朝に告知。店名で検索を。

工夫を凝らしたメイン、最低4〜5種のおばんざい、ガス釡で炊いたコシヒカリにかす汁まで付く日替わり850円はお弁当にして持ち帰ることもできる(680円)。朝食は驚きの500円。

〈キッチンくじら〉
京都府京都市左京区聖護院山王町43-20
075-746-5313
8:00〜14:00(朝食〜11:00)、17:30〜19:00(持ち帰りのみ)日休
14席

3.魚自慢の人気店に待望の昼定食が登場!〈よこちょう〉/川端二条

6種の刺身に小鉢、総菜3種盛りが付くお造り定食1,500円、その他定食1,000円。テイクアウトにも対応してくれる。

魚の扱いに定評のある人気店が今年からランチをスタート。旬の魚を贅沢に盛り合わせたお造り定食を筆頭に、焼き魚や天ぷらなど定食8種を用意する。酢豚やハンバーグが主菜を飾る日替わり定食も大好評。

〈よこちょう〉
京都府京都市左京区難波町210
075-752-1531
11:30〜13:30、17:30(土17:00)〜22:00LO日祝休、不定休あり
50席

4.品数豊富な菜食ランチは京都人の「いつものごはん」。〈菜食hale(さいしょくハレ)〉/錦市場

湯葉、豆腐、地の野菜に〈一保堂〉の京番茶…。京都の食材を使った食べ応えのある湯葉丼ランチセット1,650円。

見落としそうな細い路地の先に広がる、築100年超えの町家空間。お決まりの菜食昼膳には昆布だし香る湯葉あんかけ丼や昔ながらのおばんざいなど、見た目も味も京都らしいお皿が並ぶ。

〈菜食hale(さいしょくハレ)〉
京都府京都市中京区錦小路通麩屋町西入ル東魚屋町198-1
075-231-2516
12:00〜14:30LO 月火休、不定休あり
8席

普段着の食事処で出合う京都人のリアルなごちそう。

旬を映した端正な京料理は、京都旅行の大きな楽しみ。とはいえ、みっちり詰まった旅程の中で、おなかにたまる豪華な食事はそうそう何度も食べられない。そんなジレンマを解決してくれるのが、京都人が日常的に使う食堂だ。そもそも京都はおだしがおいしい。町の気軽なうどん屋さんですら、毎朝、気合いの入っただしをひく。ならば、そんな「京都人の普段のごはん」を利用しない手はない。繁華街、ビジネス街、商店街、市場に住宅地……エリアのカラーによって、にぎわう店の様子も違ってくる。

例えば職人の町・西陣では“うまい・安い・早い”がそろう〈西陣ゑびや〉を推す人が多い。出前も請け負うため、最近は近隣の宿泊施設からの注文も増えている。近くに病院や学校がある〈キッチンくじら〉は、冷めてもおいしいお弁当や朝食にも対応する。岡崎散策の前に、おばんざいを盛り合わせた和定食を食べに来る人の姿も。また、海外から多くの学生や研究者を受け入れている京都では、各国料理店のバリエーションもあなどれない。中国やインドは言うに及ばず、スロベニアやラオスといったマイナー料理、最近ではレバノン料理の〈汽〉が話題をさらうなど、おすすめを挙げればキリがない。「ハレ」ばかり追いかけていた旅先で、地元の人に交じって「ケ」を楽しむ。次回の京都では、そんな時間を作ってみてはどうだろう。

(Hanako1200号掲載/photo : Norio Kidera, Noriko Yoshimura text : Atsuko Suzuki)