今をときめく人気作家たちの器がそろうのが、〈essence kyoto〉。あれもこれもと迷いに迷うこと必至。落ち着いて、店主夫妻の作家にまつわる話にも耳を傾けて、しっかり選んでね。3月28日(月)発売Hanako1207号「大銀座こそナンバーワン!」よりお届けします。

1.小野哲平 Teppei Ono

「いつも『自分の器を手にした人を力づけたい』とおっしゃる。器を通して、思いを伝えたいという意志を持っている。自身が内に抱えた暴力性を、櫛目やブラシ、釉薬の表現を通して美に昇華させた芸術作品です」。右・鉄化粧碗(小)5,500円、左・薪丸湯のみ(大)6,600円。

2.督田昌巳 Masami Tokuda

一見、やきものだと思って手に取ると、あれ、軽い。実はこれ、漆塗りだ。目を疑う。そうとわかって、しげしげと眺めると、何とまぁ丁寧な仕事ぶりかと感嘆し、手に入れたくなる。上・平皿(チェリー白)14,300円、下・浅鉢(チェリー黒)23,100円。

3.赤木明登 Akito Akagi

塗師・赤木さんは毎日、散歩に出かける。吹雪の日も台風のときも。歩きながら自然を体で感じ、小さな変化も見逃さない。その散歩を何十年も続けていることに店主夫妻は感動する。職人仕事の真髄を体現していることに。能登三ノ椀13,200円、山道匙13,200円。

4.竹俣勇壱 Yuichi Takemata

オーダージュエリーを手がけていたが、赤木明登さんの勧めもあって、カトラリーなど生活道具を制作するようになったという。アンティークからインスパイアされたという味わい深い形が魅力となっている。輪花皿(L)9,900円、ケーキスプーン3,080円。

5.二階堂明弘 Akihiro Nikaido

「自分が美しいと思える形を、土で出せるようにとやってきた結果が今の形」と二階堂さん。「器を作ることは古代から鎖のように連なり、続いてきたことで、今という鎖の中に自分があることを大切にしたい」とも。右・錆器ドラ鉢6,600円、左・焼き締め茶8,800円。

6.吉川和人 Kazuto Yoshikawa

素材のもつ魅力を最大限に生かしたカトラリー、器をはじめとする木の小物や家具が主なフィールド。年輪や節、朽ちた部分などを、そのまま生かした作品も。1点ずつ、色味や木目が異なる。カッティングボード右・ブラックウォルナット、左・チェリー各19,800円。

7.安藤由香 Yuka Ando

アメリカ・ロサンゼルスでの社会生活を経て、陶芸家を目指して帰国。デンマークでの体験をきっかけに、空や海など、自分が美しいと感じた自然の色を釉薬で表現している。現在は、兵庫県丹波篠山市で作陶。花器19,800円、中鉢(ネイビー)7,150円。

使うことで作り手と対話、手に取ることから始まる。

平安神宮や美術館などを擁する京都・岡崎エリア。その一角、琵琶湖疎水を望むしゃれた建物の2階にあるのが〈essence kyoto〉だ。ゆったりと落ち着いた空間に、ギャラリーのように器が並ぶ。小野哲平、赤木明登、二階堂明弘……。少しでも器に関心のある人が見たら、うれしくて小躍りしそうな人気作家ばかり。どうして、こんなに集められるのか。実はこの店、京都には縁もゆかりもなかった夫婦が開いた店だ。

夫の荒谷啓一さんは20年以上、主にアジアで暮らし、里恵さんとの結婚を機に帰国。「自分たちも仕事を通して成長しながら、一生続けられる仕事をと思って、好きだった器の店を開いたのです」と、啓一さん。簡単におっしゃるのだが、ただ好きだから、とできる店ではない。「日本のよさを伝える店にしたい。器だけでなく、お茶や和ろうそくもですね。だから、外国の方も多い京都がいいと思って」と、里恵さん。何も基盤がない中、作家とのコンタクトは、いってみれば当たって砕けろ方式。この人がいいとなったら、直接交渉していったという。「どの人にも僕たちの思いを聞いてもらって、また、いろいろと話をして置かせていただくことになったんです」。2人の熱意の賜物が、店のあちこちで光を放つ。

現在、扱っている作家は20人弱。日常に使える器を軸に、常設を中心に展開している。器は使ってこそわかる。手のひらで感じたり、唇で感じたり、そうして日々愛でるものだ。作家ものの器のよさって、どんなところにあるのだろう。「器は、作家の方が自分と向かい合い、深いところまで見つめてきた内面の反映なんです。お話を聞けば聞くほど、その深さがわかります」(Webサイトのインタビューより)と啓一さん。「器を使うことで、作家の思いが伝わってくる。だから、愛着が出てくるんです」と里恵さん。自由に器を手に取るだけでも、心が豊かになるような気がするはず。

Navigator…〈essence kyoto〉

京都器のほか、妻の里恵さんが手がける、信頼できる生産者のシングルオリジンの茶葉、唐紙工房〈かみ添〉に別注した唐紙の便箋なども並ぶ。
京都府京都市左京区岡崎円勝寺町36-1 2F
075-744-0680
11:00〜18:00月休(不定休あり。インスタグラム@essencekyoto参照)

(Hanako1207号掲載/photo : Masatomo Moriyama text : Michiko Watanabe)