20歳の頃から唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回は、2022年、新年にふさわしいしぼりたての新酒をご紹介。第三十一夜は、飲みやすいと評判の低アルコールな日本酒を3本ご紹介。

日本酒をもっと気軽に!飲みやすさが段違いの低アルコールな日本酒3本

(左から)「五橋 ride?桃色にごり 純米大吟醸」「飛良泉 飛囀 雛 山廃 純米吟醸」「御前酒 菩提酛 うすにごり生原酒 ukigumo」
山口県岩国市にある酒井酒造の代表銘柄「五橋」の赤色酵母を使うことで甘酸っぱい発泡感で春のお酒にぴったり。アルコール度数はたったの11度!「五橋 ride?純米大吟醸桃色にごり」720ml 1,650円(ひいな購入時価格)/酒井酒造株式会社
秋田県にかほ市にある飛良泉本舗。代表銘柄の「HITTEN(ひてん)シリーズ」の低アルコールタイプはピンクの文字が目印。度数は13度。「飛良泉 飛囀 -雛(HINA)-ライトタイプ 山廃 純米吟醸」720ml 1,760円(ひいな購入時価格)/株式会社飛良泉本舗
岡山県真庭市にある御前酒蔵元がなんとセレクトショップ「BEAMS “TEAM JAPAN”」とコラボして生まれたお酒。岡山県産の雄町を使い、昔ながらの手法「菩提酛(ぼだいもと)」で仕込んだクラシックな1本。度数は13度。「御前酒 菩提酛 うすにごり生原酒 ukigumo」720ml 1,870円(ひいな購入時価格)/御前酒蔵元 株式会社辻本店

娘・ひいな(以下、ひいな)「すっかり春だねぇ」
父・徹也(以下、テツヤ)「今年も春が来たねぇ」
ひいな「今回は、春にぴったりな低アルコール特集です!3月に紹介した復刻米のお酒『産土(うぶすな)』がアルコール度数13度だったんだけど」
テツヤ「うんうん、すごく飲みやすくておいしかったよね」
ひいな「そこで今回は、低アルコールな日本酒に着目してみました!」
テツヤ「低アルコールの日本酒ってほかにもあるんだね。いいね!」
ひいな「春だし、ぐいぐいっと飲んでほしいなと」
テツヤ「春だと飲みたくなるもんね!」
ひいな「なんかラベルも春っぽいでしょ?」
テツヤ「うすにごり!」
ひいな「そう!『ukigumo』はこだわりにこだわり抜いた日本酒なんだけど、そんなことを感じさせないクールな感じでしょ?3月に紹介したお酒はどれも達筆な筆文字が多かったけど、今回は横文字だったり、割とカジュアルめでライトだよね。春っぽいイメージにぴったり」
テツヤ「いいねいいね。しかも低アルコール!」
ひいな「こういうお酒がいまきてるという感じがあるんだよね」
テツヤ「だってさ、やっぱり低アルコールのほうが飲みやすいもん」
ひいな「アルコール度数が高いと、ちょっととっつきにくいなっていうイメージってやっぱりあるよね」
テツヤ「低アルのほうが、お酒飲まない人たちにも、とっつきやすいかな。導入の日本酒としてももってこいな感じ?」
ひいな「そうだよね。女子会しようか!となってお酒を持ち寄った時、日本酒持っていくとなるとちょっと考えちゃう。どういうのがいいかなって」
テツヤ「そうだねぇ」
ひいな「今回紹介する日本酒は、女子会でも持って行きやすいと思います!」
テツヤ「いいね、いいね」

ひいな「ワインみたいに軽く飲みたいっていうイメージで、日本酒でも低アルコールを求めてる方が多いので、最近増えてきた気がする」
テツヤ「ワインって、度数どれくらいだっけ?12〜13度くらい?」
ひいな「そうだね。だいたい、13度より低いくらいじゃないかな」
テツヤ「もっとライトな日本酒あるといいなぁ」
ひいな「今日ご用意した3本は、11度、13度、13度です」
テツヤ「おぉ!味、想像つかないから楽しみ!」
ひいな「左から山口、秋田、岡山です!楽しみにしててね」

開栓要注意!発泡ありの甘酸っぱいお酒で、低アル春酒の定番に確定!

ひいな「では『五橋(ごきょう)』から行こうかな。山口では『獺祭』よりももともと知名度があったお酒なんだよ」
テツヤ「へぇ、同じ山口だもんな。このラベルはなんだ?バイクかな?」
ひいな「『ride』っていうシリーズだからバイクなのかな。『五橋』の中でも5種類ブランドがあってね、ラベルも5種類違って。そのなかの『ride』シリーズをご用意しました!まずは飲んでみようか」
テツヤ「それにしてもすごいピンクだね。味が想像できない」
ひいな「『五橋 ride?純米大吟醸 桃色にごり』です」
テツヤ「まさに桃色にごり!」
ひいな「この間、『五橋』のYouTubeを見たの。発泡のお酒だから開け方をスタッフの方が紹介してて。でもね、軽く振ってから開けててびっくりしたの」
テツヤ「マジで?吹いちゃわないのかな?“開栓ご注意”ってタグがついてるけど(笑)」
ひいな「よし、やってみようか。にごり酒って上澄みだけで楽しむ場合と、全部混ぜて楽しむ場合があるんだけど、どっちがいい?」
テツヤ「最初はやっぱり上澄みじゃない?」
ひいな「よし、混ぜないでやってみようか。みなさんも開栓する時はしっかり冷やしてくださいね!そしたら吹かないはずなので!」
テツヤ「冷やしておくこと、大事!」

蓋を少しずつ開けてみると、なぜか勝手に混ざり始めるお酒。

テツヤ「わわわ、閉めたほうがいい閉めたほうがいい」
ひいな「いちごみるくみたいできれい〜」
テツヤ「おいしそうだね(笑)。勝手にまざちゃったね(笑)。色がかわいいね。結果、吹かずに勝手に混ざってくれてよかったんじゃない?」
ひいな「そうだね。おいしそう!みなさん、開栓する時ゆっくりガスを抜きながら開けてくださいね!私は飲食店で働いていた時、日本酒が吹き出して、お客様の頭にかぶせてしまったことがあるんだけど…」
テツヤ「え〜〜〜〜!マジで?」
ひいな「開栓注意とかも一切書いてなくて、普通に開けたたらボンって栓が飛んでってきれいにお酒が飛び出してお客様のつむじに…」
テツヤ「放物線を描いたわけだ(笑)」
ひいな「そのお客様はまたお店に来てださって。その節はたいへん失礼しました!」
テツヤ「飲食店ではそういうこともあるんだな(笑)。要注意だな」
ひいな「はい、気をつけます!」
テツヤ「開けたてのシュワシュワとした発泡感がおいしいんだよな。このピンク色なのは酵母?」
ひいな「そう、赤色酵母を使ってるから。山形の『ピンクのかっぱ』もそうだったよ」
テツヤ「ますますどんな酒なのか気になる。うわ、シュワシュワだね。これは春の花見にぴったりじゃない?」

完全に混ざり合い、いちごみるくのような日本酒に。
乾杯!かわいい飲み物に見えますけど、日本酒です。
いただきます〜!

テツヤ&ひいな「乾杯〜」
テツヤ「もうこりゃ花見だね。桜が目に浮かぶよ。ゴクゴクいっちゃうね」
ひいな「ゴクゴクゴクゴク」
テツヤ「もう飲み干したくなるくらいうまい。おいしい。日本酒って言われないと、なんだかよくわからないかもね」
ひいな「そうそう。スパークリングワインでもないし…。スパークリングワインを使ったカクテルとかでこういうのありそうじゃない?」
テツヤ「あぁ、そうかもね」
ひいな「お米っていわれないとわからなくない?」
テツヤ「お米の後味は感じるんだけどね」

ひいな「あれ?いま気づいたんだけど、もしかしてハチマキうっすらピンクじゃない?」
テツヤ「あ、バレた?」
ひいな「やっぱり!薄ピンクだよね?『五橋』にぴったり!すごいマッチング!」
テツヤ「そうそう。このお酒に合わせようと思ってさ」
ひいな「わかりやすくおいしいでしょう?難しい知識とかなしに、素直に『おいしい!』って思ってもらえると思うな」
テツヤ「いちごとかさ、甘酸っぱいのが好きな人にはたまらないでしょう?」
ひいな「そうそう。甘すぎることなく、でもさわやかで飲みやすくて、さらっとしてて低アルコール。お米はしっかり50%まで削ってるから純米大吟醸。日本酒度はプラスは辛口、マイナスは甘口で表すでしょう?」
テツヤ「これはいくつなの?」
ひいな「いくつだと思う?」
テツヤ「相当甘そうだけど?でもさ、ただの甘さじゃないもんな」
ひいな「日本酒度が+15とかだと超辛口、辛口のお酒で+4とか8くらいかな。これはもちろんマイナスなんだけど…」
テツヤ「ただ甘いっていうのとも違うよね。シュワシュワしてるのもあってさ」
ひいな「ガス感は確かに味の感じ方に影響してるかもね」
テツヤ「意外と低めなんじゃない?−4くらい?」
ひいな「−50です!」
テツヤ「え〜!!そんなに甘いんだ。でも、ぜんぜんいやな甘さじゃないよな」
ひいな「酸度は2.0くらいが普通なんだけど、これは酸度が5.0なのね。酸度が高いから後味が丸まってるし、甘さとのバランスがいいんじゃないかな」
テツヤ「なるほど」
ひいな「すっきりと切れる感じ」
テツヤ「たしかに切れるね。さっぱっりね」
ひいな「そうそう。後に引かないから、意外と食前酒で飲んでも、次の料理を選ばないかもしれない」
テツヤ「世のお父さんたちってさ、だいたいが辛口の酒が好きでさ。甘口は飲まない!なんて言っちゃう人は出会えない酒だよね。もったいないね」
ひいな「飲まず嫌いってやつだよね。辛口好きなお父さんにも目をつぶって飲んでみてって言って飲んでもらったら、こういう日本酒もあるんだなっていうのを知ってもらえるのにな」
テツヤ「確かに。見た目のピンクできっと選ばないというのもある(笑)」
ひいな「そうなの。このピンクの見た目のままだと、これ日本酒だよって言っても、口つけてくれない可能性もあるかもしれない」
テツヤ「日本酒のイメージとかけ離れすぎてるからな」
ひいな「日本酒飲もう!っていう時には選ばないかもしれないね。フランクにみんなで日本酒とか飲んでみる?って言って楽しめる、敷居が高くない日本酒かな」
テツヤ「そうそう。その気軽さを目指してるわけだもんな」
ひいな「それでいて、低アルっていうね」
テツヤ「実際、この低アルで十分な気がするな。色のイメージもあってピンク=甘いみたいな。ロゼ=甘口みたいなのが若干あるけども」
ひいな「飲みやすいから減りも早いよね(笑)」
テツヤ「一口でゴクゴクいけちゃうもんな」
ひいな「友だちの家でパーティするならぜひ持っていきたい!」
テツヤ「食前酒とか食後酒にもいいと思う」
ひいな「いちごに合わせたり」
テツヤ「フルーツも合うし、スイーツにも合いそう!」
ひいな「いいね。いいね。こういうライトな日本酒から始めるのもいいと思うんだよね」
テツヤ「そうだね。まずは飲みやすくて、おいしい低アルから」
ひいな「ピンクじゃなかったらね、もっとほかの印象だったかもしれないんだけど」
テツヤ「思ったよりさらっとした甘さで、おいしいお酒なんだけどね。イメージが固定されちゃうのかもしれない。日本酒度−50っていうからすごく甘口なのかなと思うけど、低アルだからすっきり飲めるっていう、バランスのよさもいい!」
ひいな「軽めに飲めるのがいいよね」
テツヤ「日本酒業界の方へ。11〜13度くらいのアルコール度数でいいんじゃないんでしょうか?そのほうが飲めるし、売れる気がするけどなぁ」
ひいな「私もそう思う!」
テツヤ「この『五橋』は見た目と味のギャップがすごかったな。勝手にすいません、舐めてました。めちゃくちゃおいしかったです」
ひいな「素直でよろしい(笑)」

日本酒らしさが感じられる定番の1本。数日置いて味の変化を楽しんで。

ひいな「次のお酒に行こう!次は日本酒度−2.0、酸度2.0なので平均的なお酒ではあるんだけど『飛良泉』は第55回で『まる飛』っていうお酒を紹介したんだけど、今回は『飛良泉』から違うお酒を紹介したいなと思いまして」
テツヤ「ひてん!」
ひいな「ひな!山廃純米吟醸原酒」
テツヤ「え、それで度数13度なの?名前だけ聞くとなんか濃そうなイメージだけど」
ひいな「13度で原酒っていうのが気になるポイントだよね。雛のほかにも鸙(ひばり)鵆(ちどり)、鵠(はくちょう)っていう鳥の名前をつけているシリーズなんだけど、まずは飲んでみようか」

美しい水のようななめらかさ!
2本目、いただきます!

テツヤ「きれいなクリアな色だね!」
テツヤ&ひいな「乾杯!」
ひいな「あぁ、私の好みのお酒です」
テツヤ「あぁ、これはいい酒ですね」
ひいな「そうなんです!いい酒なんです!」
テツヤ「どんな飯にも合うんじゃない?」
ひいな「これを飲んでる時、おでんを食べてたんだけど、出汁とも合う純米吟醸としていいなと思って」
テツヤ「え、でも逆に、合わないものってあるの?」
ひいな「なんだろうね」
テツヤ「う〜ん、これさえあれば何にでも合う気がするけど。どうなの?」
ひいな「むしろペアリングが難しいかもしれない。これに一番に合う料理を選ぶのが」
テツヤ「なるほどね。何にでも合うだけに一番が見つからないと」
ひいな「低アルでちゃんとおいしいって優秀なお酒だよね」
テツヤ「温度帯で変化しそう」
ひいな「冷酒でもおいしいけど、ちょっとぬるくしてもおいしそうだね」
テツヤ「燗酒もいいと思うな」
ひいな「お出汁系とも合うから」
テツヤ「今日飲んだなかで一番、日本酒ぽい感じがするな。いい意味で。苦味もあるし。これが13度なら人に勧めやすいしいいな。ちょうどいいというか。さっきのはピンクだし、ちょっと奇を衒(てら)ってるというか…」
ひいな「うんうん、わかるよ。万人受けするのはこっちだと思う」
テツヤ「優秀というか、純粋に誰もがいいなって思うやつだよ、これは。バランスが抜群だね」
ひいな「創業1487年創業の『飛来泉』なんだけど、この『HITEN(ひてん)』シリーズは、27代目の蔵元が新しい味わいとか次世代へ届けたいお酒を目指して生まれたんだって。低アルコールにしたのは、飲み疲れせずに軽くてスムースな飲み口にしたかったから」
テツヤ「まさにテーマ通りだね。このくらいにしたら、日本酒もっと売れるぜ」
ひいな「いいよね」
テツヤ「めっちゃ気に入りました。今日イチかもしれない」
ひいな「そうなんだ!うれしい!わかるよ」

ひいな「蔵元さんが言ってたんだけどね。たとえばアイスクリームだって冷凍庫から出した途端よりも、ちょっと常温にして溶かした方がおいしいじゃない?」
テツヤ「うんうん」
ひいな「その要領で1〜3日開栓して冷蔵庫に保存してすると味わいがまろやかにおいしくなりますよっていうのをウェブサイトで言ってるくらいなの」
テツヤ「へぇ、そっりゃ楽しみだね。明日明後日か」
ひいな「おいしくしよう」
テツヤ「残しておかなきゃ」
ひいな「変化を楽しみながらちょっとずつ飲めるの最高!」

こだわりの米、こだわりの製法で誕生。〈BEAMS〉との話題のコラボ日本酒!

ひいな「最後は岡山の『御前酒』をご紹介します!今度は13度。ラベルだけ見てみて。これ、どっかのブランドとコラボしてます。どこでしょう?」
テツヤ「え〜?食?ファッション?」
ひいな「ファッションっていうか、セレクトショップっていうか…」
テツヤ「え〜どこだろう?」
ひいな「最近だと『仙禽』と〈UNITED ARROWS〉がコラボして雪だるまにアロウズのショップの袋をぶら下げててたりして」

テツヤ「わかった、じゃ〈BEAMS〉だ!」
ひいな「え、え、正解!すごいね、一発で当てたね」」
テツヤ「わはは(笑)」
ひいな「〈BEAMS〉だと、岡山の蔵元の辻本店さんがコラボしてできたお酒です」
テツヤ「あれ?このタグ、〈BEAMS〉カラーじゃない?」
ひいな「あ、ほんとだ!気づかなかった」
テツヤ「このオレンジといえば〈BEAMS〉だもんな」
ひいな「〈BEAMS〉が全国から集めた日本の名品を発信するっていう『チームジャパンプロジェクト』から生まれたお酒なの」
テツヤ「へぇ、おもしろいね。日本酒に目をつけたんだ」
ひいな「『御前酒 ukigumi 菩提酛 純米うすにごり生原酒』
テツヤ「すごいな(笑)」
ひいな「名前が強すぎて(笑)」
テツヤ「菩提酛で、うすにごりで、生原酒」
ひいな「強い総集編でもう最終回なのかな?っていうくらいラスボス感(笑)」
テツヤ「そうだね(笑)」
ひいな「菩提酛といえば、第56回の『風の森』の番外編をやった時に紹介してて」
テツヤ「あったね」
ひいな「まず飲んでみようか」

光にかざしてた澱が、ボトルのなかでゆらゆらとたゆたう様子が美しかった。
うすにごりは春のお酒のイメージですよね。

テツヤ「すごく澱があって。くらげみたいに漂ってるね」
ひいな「すごいでしょう?きめ細かいうすにごりはよくあるけど、こんなにも目に見えるうすにごりってなかなかないかも」
テツヤ「フレッシュ感あるのかな?」
(パコーン!!!開けようとしたらフタが吹っ飛びました!)
テツヤ「すごい勢いで飛んでったね(笑)」
ひいな「びっくりした〜」
テツヤ「ガスがあったんだね」

テツヤ&ひいな「気持ちを落ち着かせて(笑)。いただきます!」
テツヤ「うわ〜!うんまい。これも13度?」
ひいな「うん」
テツヤ「やっぱりこくらいがいいね。おいしい。飲みやすい」

ひいな「お米を噛んだみたいな甘みだよね」
テツヤ「うん、米だね。あぁ、ちょうどいいな。昼飲みにこれくらいの感じ最高だな」
ひいな「ね。低アルって言ってるけど13度あるんだけどね(笑)」
テツヤ「13度の日本酒ってそんなに多くないの?」
ひいな「うん、そんなに多くないかな」
テツヤ「これからも増えてほしいなぁ」
ひいな「私がお店に立ってたら、低アルコールをストックしておいて、ビール飲んだあとに何を飲もうかな?ってお客さんに、いきなり16度とかの日本酒はあれだから、飲みやすい日本酒があるんですけどっておすすめしやすいかなって思う」
テツヤ「いいね、いいね。そういう選択増えてほしいな。日本酒としてのおいしさもちゃんとありつつ、ライトで酸味も旨みもあって」
ひいな「これは特に米感もしっかりあるしね。雄町を使ってる」
テツヤ「へぇ。そうなんだ」
ひいな「地元のお米だからね。あと菩提酛っていう製法が何よりの特徴なんだけどね。奈良の正暦寺発祥で室町時代に生まれた製法で、大正時代には一回なくなっちゃって、ほぼ使われなくなったんだけど、昭和の末期に…」
テツヤ「え、ちょっと待って。昭和の末期って言い方するの(笑)?ついこないだなんだけど(笑)」
ひいな「歴史上だとそうなるらしい(笑)」
テツヤ「バブルの頃ね(笑)」
ひいな「昭和の末期に(笑)、菩提酛が2つの地域で復活したんだって。ひとつは奈良、もうひとつが岡山で、造り方に微妙に違いがあって。奈良式よりも岡山式のほうが手が込んでるというか、時間がかかる菩提酛ではあって。岡山は『御前酒』の前の杜氏をやっていた原田さんって方が岡山式の菩提酛を確立したんだって」
テツヤ「へぇ!」
ひいな「菩提酛で、しかもうすにごりって珍しくて。昭和61年の時点で菩提酛のにごり酒として『御前酒』を原田さんが商品化してるの」
テツヤ「そんな前から造ってたんだ!」
ひいな「そう。それを今回アレンジして〈BEAMS〉とコラボしたの。飲み味を少しライトにしたのかな?」
テツヤ「そういう背景も含めて〈BEAMS〉っぽいよね。めちゃこだわりの1本なんだね」

軽めの飲み心地で、低アルコールが日本酒のイメージを変える切り札に? 

ひいな「低アルコールの作り方っていくつかあって…」
テツヤ「加水する!」
ひいな「正解。詳しくなってきてるね(笑)」
テツヤ「あとは…発酵時間を短くするとか?」
ひいな「うんうん。あっという間に正解出ちゃった!」
テツヤ「あとは…」
ひいな「その2つだけだよ(笑)」
テツヤ「あぁ、全部当てちゃったんだね(笑)」
ひいな「大まかには2つあって、加水してアルコール度数を下げるのと、途中でアルコールの発酵を止めるパターン。あとは、赤色酵母自体が度数が上がらない酵母でもあるから、『ピンクのかっぱ』アルコール度数10度で低めだったしね」

テツヤ「日本酒のアルコール度数が今の時代には少し高いのかもしれないね」
ひいな「15度とか16度とかってさぁ飲むぞ!って意気込む感じあるじゃない?」
テツヤ「あるある。今日飲むぞ!明日何もないから飲むぞ!みたいなね。日本酒ってさ、ブームにはなってるけど、実際には広がっているかといえばそこまでではないと思ってて」
ひいな「一部では広がってるんだけど」
テツヤ「低アルコールっていうところにヒントがあるんじゃないかなって今日飲んでみて思ったな。13%がひとつの基準になりそう」
ひいな「うんうん」
テツヤ「だってこんなにたくさん飲んでも疲れないもん(ライター注:撮影日には6〜9本ほど飲むことが多く、この日は6本目の収録中でした)。日本酒ってやっぱりだんだんと疲れてくるっていうかさ。おいしいし、大好きなんだよ?でもやっぱり何本も飲んでると疲れちゃうんだよな」
ひいな「量を飲むか飲まないかは関係なくね」
テツヤ「そう。量じゃなくてね、疲れちゃう感じがあるんだよね」
ひいな「たしかにあるよね」
テツヤ「よくさ、何人かで飲んでてワインだと5本開けちゃった!っていうことは聞くけど、四合瓶5本開けちゃった!ってあんまり聞かないもんねぇ。量が飲めないのもあるよね」
ひいな「家で飲み比べできたら楽しいよね。何本か飲みたいもんね」
テツヤ「もうちょっと気軽さ、カジュアルさがある、低アルって大事な気がするな。ワイン好きな人にも飲んでもらいやすいし。低アルのもっと種類が増えるといいね」
ひいな「低アルがもっと増えて、日本酒を飲むきっかけが増えたらうれしいな。日本酒飲む人って、次の日を気にしがちなんだけど」
テツヤ「そう、気合というか構えがいるんだよな。でもだいたい次の日ってなんかあるんだよ、みんな(笑)。だから低アルが定番になったら、ほかのものが高アルって言われる時代もくるんじゃない?」
ひいな「そうかもね!」
テツヤ「この企画、定番化してほしいな!ほかの低アルも飲んでみたい!」
ひいな「ほかにもまだまだあるのでご紹介します!」
テツヤ「ぜひ教えてよ」
ひいな「夏にはロック用に19度のお酒を出すところもあれば、低アルを出してくるところと二極化するから、夏も楽しみにしててね」

【ひいなのつぶやき】
酒屋さんで買うものを迷った時に、難しい製法やお米の品種ではなく、シンプルに度数で選ぶのもおすすめです!気軽に日本酒を楽しめる時代がやってきました!
ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中

photo:Shu Yamamoto illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita