地方や海外から多くの話題店が集まり、今も昔も名店ひしめく東京屈指の街・銀座。実力者たちがこの地を選ぶ理由とは…?注目の5軒のストーリーから、作り手を魅了し続ける銀座の“きらめき”を探ります。今回は「あの店が銀座を選んだ理由。」より、〈坐来大分(ざらいおおいた)〉をご紹介します。

物産館やアンテナショップの宝庫というべき銀座。中でも〈坐来大分〉はその先駆的存在だ。昨春、有楽町に拠点を移し、郷土料理レストランの旗手として進化を続けている。

土曜限定ディナーコース「豊の郷」5,500円より、主鉢のとり天。おおいた冠地どりを二度揚げし、ふっくらと滋味豊か。純米酒「ちえびじん」は、大分在住作家・井上愛仁氏のガラスの酒器で。1合1,200円。
中央に宇佐神宮のお札を祀ったおくどさん(窯)が鎮座するメインダイニング。個室は5室あり。

2006年、本格的なレストランを有するアンテナショップの先駆けとして銀座2丁目に誕生した〈坐来大分〉。15年を経て昨春、数寄屋橋の一等地に移転し、席数も1.5倍に。臼杵の灰石を敷いた回廊の奥にはメインダイニングが広がり、竹灯籠を模した照明や日田杉を組んだ壁面など、地元素材や伝統技術を隅々まで配した空間に目を奪われる。食器や酒器も大分の作家のものだ。

手前・安心院料理長のシグネチャー、りゅうきゅう。奥・九重町産の焼き椎茸。芳醇な旨味に感嘆!
〆はとり飯とだんご汁、香の物という贅沢な「郷土飯」。小鹿田(おんた)焼の器で。

圧巻の舞台で腕を振るうのは、自身も同県出身である総料理長の安心院淳(あじみすなお)さん。「お客様に大分の知識を広めることが私の使命」と語る、まさに“大分の語り部”だ。中津産など食材の産地を絞ってコースを提供したり、フレンチの一流シェフとコラボするなど、探究に余念がない。メニューは“大分ヌーベルキュイジーヌ”と呼びたくなる、磨かれた郷土料理の数々。素朴な漁師料理「りゅうきゅう」も、鮮魚にナスとキノコのペーストを和えて旨味を増幅させたりと、技が隠されている。「伝統だけでなく新たな試みにも挑戦できるのは、銀座の懐の深さがあってこそ」と総料理長。アンテナショップの枠を超えた心地いいレストランとして街に浸透していくはずだ。

〈坐来大分(ざらいおおいた)〉

2021年5月移転オープン。入り口にはショップも。ランチ4,180円〜、ディナーコース8,250円〜。
東京都千代田区有楽町2-2-3 ヒューリックスクエア東京3F
03-6264-6650
11:30〜13:30LO、17:00〜21:30LO(ショップ11:30〜22:00)日祝、第1土休
72席

(Hanako1207号掲載/photo : MEGUMI, Kiichi Fukuda text : Yoko Fujimori)