大銀座の“大動脈”ともいうべき華やかな表通りから一本横へ、一本裏へと入ってみると…。そこには、温かなホスピタリティでゲストをもてなす、各国料理の良店あり!

【韓国】メニューは韓国の伝統スープ「プゴク」一択という潔さ。〈たらちゃん〉/東銀座

「プゴク」1,100円。ご飯、水キムチ、アミの塩辛がセットに。
前職は飲食店の備品コーディネーターだけに、器や照明にもセンスが光る。
「アミノ酸やたんぱく質が溶け込んだ健康スープです」(店主・高 潤美)

銀座の朝活シーンの新星はスープ専門店。まだ街全体が寝ぼけまなこといった早朝時。歌舞伎座裏の一軒に、魚の骨のネオンサインが灯る。プゴク専門店〈たらちゃん〉の一日の始まりだ。プゴクとは、干しスケトウダラのスープ。“美肌スープ”とも呼ばれる韓国の伝統的な家庭料理がこの店唯一のメニュー。「ソウルでこの味に出会った瞬間、このお店をやりたい!と思ったんです」とは、店主の高潤美さん。

自家製の白菜キムチとネギキムチ。ご飯とともに、おかわり自由。

だが現地の味をそのまま再現するのではなく、「在日コリアンの私ならではの味」を追求。結果、昆布や鰹、いりこといった日本の乾物からもだしをひいたオリジナルのプゴクが完成した。時閉店という営業スタイルは、「近隣で働く人に来てもらいたかったから」。空っぽの胃袋に、あっさりした味わいのスープが染みわたれば、不思議と元気が湧いてくる。働く人にそっと寄り添うやさしい店だ。

〈たらちゃん〉
2021年12月オープン。スープは約6時間かけてぐつぐつ煮込んで完成。具材は凍り豆腐、溶き卵、戻したスケトウダラとシンプル。女性スタッフの肌の美しさも“美肌スープ”を物語るよう。
東京都中央区銀座3-13-5 鈴木ビル1F
03-6278-7780
7:00〜15:00 土日祝休
15席

【中華】公園横の静かな路地裏で本場の老火粥に癒される。〈創作広東料理漫莉キッチン〉/新富町

「二日酔いやファスティングの回復食にと訪れるお客さんも」

店の扉を開け、そのとびきりの笑顔を見るとなんだかほっこり。食べる前から温かい気持ちにさせてくれるのは、店主の漫莉さん。おすすめを尋ねると、一番に挙げてくれるのがここの看板メニュー、「老火粥」だ。広州出身の彼女の家で受け継がれてきた“おふくろの味”であり、レストランではなかなか食べられる機会がない家庭料理だそう。

キャベツと春雨の甘みが後をひく、にんにく不使用の「オリジナル焼き餃子」6個770円。ランチでも人気。
「貴妃粥」880円。メインの具材は塩漬けのタラと落花生。香ばしさと塩気のバランスが絶妙。
「銀杏粥」880円。ほのかな甘みと湯葉の食感が楽しめる一品。

丸2日間、じっくり煮込んだお粥は全部で3種類。それぞれ味わいの核となる食材が異なり、美肌効果、貧血予防、生活習慣予防など、期待できる効果も変わる。でも、共通するのはやさしい味わい。胃袋がじんわりと満ちて癒されるはずだ。

〈創作広東料理 漫莉キッチン〉
隠れ家的な雰囲気の店が多い新富町エリア。中でも京橋公園周辺は、人気のビストロや鮨店が集まる美食スポット。そんな一角に、2年前にオープン。
東京都中央区銀座1-24-5
080-3242-9868
11:30〜14:30、17:30〜22:00(金土〜23:00、日祝11:30〜21:00)月休
14席

【イタリア】銀座で食事をするなら知っておきたい名店。〈Da GOTO〉/三越前

野菜の甘さとエビの旨味があふれる「スパゲッティ駿河湾産桜海老と新玉葱のソース蕗の薹風味のパン粉をかけて」1人前1,430円。炒ったふきのとうで作る香ばしいパン粉も印象的。
料理を待つ時間も至福。
華やかな「前菜の盛り合わせ」1人前1,980円。自家製ミニドライトマトやサルサヴェルデを添えた「真蛸のソプレッサータ」など6種がのる。
「前菜やパスタは単品でも気軽に一杯飲みに来てください」(店主・後藤大輔・あさの)

旬素材の持ち味で作る新しいイタリア料理の形。2020年に開店し、瞬く間に人気店となった〈Da GOTO〉。営むのは、ピエモンテやトスカーナで修業を積み、帰国後は名店〈カノビアーノ〉などで料理長を務めた後藤大輔シェフと奥さまだ。長年の経験の末たどりついたのは「素材のおいしさを感じるイタリアン」。ニンニクを使わずバターや生クリームも極力控えるため、お腹いっぱい食べても帰りの足取りが軽い。それでもしっかり満たされるのは「ひと手間かけることで、食材一つ一つの味わいが生きてくるから」とシェフは話す。「例えば桜エビを使う春のパスタなら、エビに焼き色をつけてから麺に合わせると香りが全体に回ります。食材と丁寧に向き合えば、それらが持つ味で十分おいしくなるんです」

食事のお供は約60種のイタリアワインを。グラス770円〜。

夫妻がこだわったフラットカウンターから眺める調理風景も、おいしさをあと押しする。旬の魚介や肉野菜を贅沢に使う前菜は特に、職人のように仕立てる手さばきに心が躍る。「お出しするタイミングも肌で感じられる、お客さまと向き合うキッチンにしたくて。おいしさの一歩先にある感動を生むために、お一人ずつに想いを込めて仕上げています」そんな一皿はきっと、これからも人々の心をつかんでいく。

〈Da GOTO〉
イタリア語で「後藤家」という店名の通り、一人でも気楽に過ごせる温かいお店。昼は前菜とパスタにパンが付くコース1,980円〜、夜は6品6,050円〜。
東京都中央区日本橋室町1-12-10 J1ビル2F
03-6281-9858
11:30〜13:00LO、17:30〜21:30LO、日11:30〜19:00LO 月休
18席

【フランス】築地本願寺裏で静かににぎわう人気ビストロ。〈Bistro Masa〉/築地

入門編におすすめなのは6,600円のコース。この日の前菜は「新玉ねぎのムース」。ズワイガニ、馬糞うに、いくら、キャビアが気分を華やかに盛り上げる。
「女子会利用で訪れるお客さんも多いです」(シェフ・髙橋聖人)

朝のにぎわいが嘘のように静寂に包み込まれる夜の築地。場外市場の反対側、築地本願寺の裏ともなればなおさらだ。人もまばらなエリアだからこそ、“いい店”に出会ったときは普段以上にうれしくなる。〈Bistro Masa〉はまさにそんなお店。

魚のメインは「太刀魚のソテー」。白ワインとバターのソースにお酒も進む。グラスワイン850円〜、スパークリング800円〜。

魚の仲卸業者とフレンチで経験を積んだシェフにより、2020年にオープン。コンセプトはずばり、“お箸で食べられるお魚フレンチ”。コースが全て10,000円以下という良心的な値段設定とおいしさが女性を中心に評判となり、今では界隈きっての人気店に。「肩肘張らずにおいしいものを」というシェフの心意気を含め、銀座から足を延ばす価値ありの一軒だ。

〈Bistro Masa〉
東京メトロ築地駅から徒歩5分。バターや生クリームは控えめに、素材の味をシンプルに活かすのが店のスタイル。「コースの〆を飾るデザートまでしっかりおいしい」のも女性人気の高い理由。
東京都中央区築地6-5-3 クレストヨシエイ1F
03-6228-4839
18:00〜22:30 日祝休
17席

(Hanako1207号掲載/photo : Yoichiro Kikuchi, Jun Nakagawa text : Yoshie Chokki, Wako Kaneshiro edit : Yoshie Chokki)