素人でも家で最高の一杯を味わうために、コーヒーのプロたちが集結。おいしく淹れて、好みの味を探して、お気に入りのアイテムを見つけて。家で飲むコーヒーこそ一番おいしくなる!今回は、コーヒー界を牽引する〈 Philocoffea(フィロコフィア)〉の粕谷哲さんが考案した、家飲みコーヒーが確実においしくなる抽出法を本人が解説。さらに粕谷さん監修・お店で使えるキーワードも伝授!

革新的な「4:6」法で本格ドリップにトライ!

コーヒーの抽出技術を競う「ワールド ブリュワーズ カップ2016」でアジア人初の世界チャンピオンとなった粕谷哲さん。〈ハリオ〉のオフィシャルパートナーを務め、〈ファミリーマート〉のコーヒー監修など多方面で才腕を振るう人物だ。そんな彼が前述の競技会で披露し、世界中のバリスタに衝撃を与えたドリップ法が「4:6メソッド」。基本は湯量を前半40%と後半60%に分け、45秒ごとに注ぐというもので、鍛錬が必要とされてきた注湯の技術も必要なし。すべて数値化され、粕谷さんいわく「量と時間を守れば誰でも簡単においしく淹れられる」という高い再現性が特長だ。

豆を粗挽きにするのも「味わいがクリアで後味がキレイになるから。よりコーヒーの風味をキャッチしやすくなり、誰が淹れても同じ味に仕上がります」。何より、抽出したコーヒーの芳醇な風味と澄んだ後口を味わえば、メソッドの確かさを実感するはず。簡潔&明快なドリップ法は、ビギナーの強い味方。今日から家のコーヒーが格段においしくなる!

基本の道具はこの7点!

ケトルは本人が監修した「粕谷モデル」。1.コーヒーミル3,300円、2.V60ドリップスケール6,600円、3.V60ドリッパー2,310円、4.V60サーバー360クリア2,200円、5.フィルターは円錐形を。6.ミニドリップケトル3,850円(全てHARIO)、7.本日の豆は〈フィロコフィア〉の中煎り「ラダーブレンド ミディアム」200g 1,404円。さらにタイマー、温度計があれば完璧。

1 グラインダー
2 スケール
3 ドリッパー
4 サーバー
5 ペーパーフィルター
6 ミニケトル
7 コーヒー豆

1.まずは豆の「粗挽き」と フィルターのリンスから。

1.豆は20g、「粗挽き」が鉄則。ザラメより大きめの粒感が目安。
2.スケールの上にセットし、フィルターに熱湯をかけて“リンス”。
3.湯を捨て粉を入れ、ドリッパーを軽く揺すって平らにならす。
4.口の細いケトルが理想的。中煎りの豆用に湯温は92℃程度。

豆は1人分20g、湯量はその15倍の300ml。粗挽きにするのは「雑味のないクリアな味わいになる」ため。ペーパーフィルターのリンスは、紙の匂いを取るほか、コーヒー液がフィルターに吸収されるのを防ぎ、的確にサーバーに落とす効果が。

2.注ぐ湯を4:6に分割し、いざ抽出スタート!

1.1投目。45秒間隔が計れるように、タイマーがあると便利。
2.円を描きながら、粉の全体にお湯が行き渡るように注いでいく。
3.くる〜りくる〜りと4周ほどで60mlを注ぎ切るイメージ。
4.注湯後、45秒待つ。プックリ膨らむ泡は“蒸らし”のサイン。

お湯300mを5回に分け、60mlずつ5度注ぐのがベースの淹れ方。この“5回抽出”を前半と後半とで4:6(120m:180m)に分割し、前半40%は味わいを、後半60%で濃度を調整する。これが「4:6メソッド」。主に45秒間隔で注ぐのもポイントだ。

3.蒸らしの次は2投目へ。これで前半40%完了。

1.45秒経ったら2投目の60mlを。ここからは勢いよく注いでOK。
2.この前半の40%=120ml分で、味わいの調整はほぼ完了。
3.湯は粉の縁を目掛けつつ、フィルターにかけないのがコツ!
4.2度目の45秒、つまり1分30秒になるまで静かに待つ。

2投目からは湯の勢いは気にせず大らかに注いで問題なし。これもビギナーさんにうれしいテクニックいらず。「味わい」を決める前半は、より甘さを出したいなら1投目を50ml、2投目を70㎖にするなど、湯量を変えることで好みの味に調整できる。

4.残すは後半の60%。3〜5投目で濃度調整。

1.ここから後半戦。3投目の60mlを注ぎ、2分15秒まで待つ。
2.4投目の60mlは、少し早めて30秒後の2分45秒を目安に。
3.5投目で300ml分が完了。最後の方は泡の色も薄くなっていく。
4.3分30秒になり、液体が落ち切ったらドリッパーを外し、完成。

後半の180mlは、60mlずつ3度に分けて注ぐのが基本。少し薄く淹れたい場合は90ml+90mlの2回に分け、180mlを一度に注ぎ切るとさらに薄く仕上がる。抽出したコーヒー液はサーバーを揺らして撹拌し、濃度を一定にしてから注ぐこと!

必ずおいしいアイス編。こちらも「4:6」が鉄則!

アイスの場合も「4:6」が黄金バランス。200mlのアイスコーヒーを作る場合、氷80g+コーヒー液120mlで合計200mlに。豆は総量の1/10=20gを細挽きに。氷を入れてもブレない、芳醇でクリアな風味は感動的。氷を入れたグラスに注げば完成!

1.粉の粒度は濃く抽出するため“細挽き”に。
サーバーに80gの氷を投入。
氷の入ったサーバーの上からドリップし、総量が200㎖になるまでコーヒーを抽出。
抽出後、サーバーを振って中の氷を溶かし、濃度を均一に。

バリスタの心を掴む!コーヒーの褒め言葉。

これさえ覚えればコーヒー通。お店で会話が弾むキーワード!

1.『後味がクリア』
雑味がなく、にごりのない味を表現するパワーワード。スッキリとした後味のコーヒーを飲んだ時に使いたい。にごりがないのは豆の品質の良さに加え、雑味となる欠損豆を除いた丁寧なハンドピック、ムラのない焙煎など、きちんと仕事がなされている証拠。「クリーン」も同義語。

2.『なめらか』
テクスチャーについての感想も、バリスタや焙煎士が「おっ!?」となる。テクスチャーとはコーヒーを口に含んだ時の質感・触感のことで、マウスフィールとも。「なめらか」は液体がきめ細かで適度な油分を含み、ボディ(コク)があること。つややかな中深煎りなどにすかさず使いたい。

3.『複雑ですね』
おいしいけど何と表現したらいいか分からない時、最も効力を発揮するのがこの「複雑ですね」。コーヒーは酸味、甘味、苦味、さらに花やフルーツ、ナッツなど多様な香りを持ち、有機物を多く含む質の良い豆ほど風味の厚さも増す。複雑なフレーバー=最高の褒め言葉でもあるのだ。

4.『ジューシー』
オシャレなコーヒーショップで遭遇する確率が高いのが「浅煎り」。豆本来の果実味を味わえるのが浅煎りの醍醐味で、特徴となる酸味を「酸っぱい」以外で巧みに伝えたいもの。キレイな酸味や香り、瑞々しさを感じたら「ジューシーですね」と言ってみよう。「明るい酸」も有効だ。

Navigator…粕谷 哲(かすや・てつ)

〈Philocoffea〉代表。「ワールド ブリュワーズ カップ2016」のチャンピオンに輝く。現在はバリスタの育成やコーヒー器具の監修など幅広く活躍。2021年7月には直営カフェ〈Philocoffea 201〉を開店。サイトではコーヒー豆や本人監修の道具類も販売。
千葉県船橋市本町2-2-13 2F
047-401-5950
10:00〜18:00 無休
12席

(Hanako1208号掲載/photo : MEGUMI, Wataru Kitao, Miyu Yasuda styling : Kaori Maeda text & edit : Yoko Fujimori, Nao Yoshida text :Yuya Uemura, Ami Hanashima)