ひろなかあやか…勤務地、六本木。職業、アナウンサー。テレビという華やかな世界に身を置き、日々働きながら感じる喜怒哀楽の数々を、自分自身の言葉で書き綴る本連載。

(photo : Yasutomo Sampei styling : Chie Hosonuma hair&make : Miyuki Nakamura)

「とある3月の火曜日【中編】」

声が出なくなるという、この体験は生涯で3度目である。1度目は入社してまだ数カ月の頃。研修中に無理な発声方法で気力ばかりの練習をしていたら、1週間ほど声が出なくなってしまった。もともとそんな大きな声を出したり、長い時間話す練習をしてきた人間ではなく、練習方法も自己流の闇雲だったのが良くなかった。ある時プチンと糸が切れたかのように声が出なくなって、指導役の先輩たちを困らせたことがある。2度目は忘れることが出来ない。2017年の年末Mステスーパーライブ中である。当日のリハーサルまでちゃんと声は出ていたのだけれど、リハで力を使い切った私の声帯はあれよあれよと元気を失い、本番ではかすれて聞いたことのないような声になってしまっていた。少し熱っぽさもあったので、ウイルスの仕業だろう。年に一度のスペシャルで気合を入れなくてはいけない大事な日に、スタッフにもゲストの方々にも会う人会う人皆さんに心配をかけてしまうような事態に本当に心苦しくて、本番が終わった瞬間に悔し涙が止まらなかったのを覚えている。そして今年の3回目。重ねた歳のせいか、治りが遅い。

いよいよ声が出なくなってしまったその日、私はレギュラー番組の仕事があった。ただの風邪だったらいいけれど、新型コロナウイルスに感染しているという可能性も捨てきれない。すぐにPCR検査の予約と、上司に現状の体調を報告・相談、そして近しい先輩にここぞという時に頼れる病院と先生を紹介してもらった。この時点でもう2つの病院にかかっているのだが、なんとここから更に3つも病院に行く! さすが前厄! 医療費がかさんでしょうがないぞ!

まずプロレス実況でいつも満身創痍!の野上慎平先輩に教えてもらったボイスクリニックに行く。こちらのクリニックは総合病院に入っていて、プロの歌手や声優さんが通う名門病院らしい。総合病院なんて久しぶりに行ったので、色んなシステムに驚いた。野上さんが長年お世話になっている先生ということで、ご厚意で急な診察をしてもらえることになった。ここでは血液検査と点滴と…、なんでもいいから先生よろしく頼みます〜という感じだったので正直オペレーションの内容は覚えていない。言われるがまま処置を受け、1時間ほど点滴を打って、薬をわんさかもらってこの病院を後にした。その足でPCR検査に向かう。ただ声が出ないだけ。熱もない。タクシーの運転手さんに何度も目的地を聞かれる。行先はいつも何かあると駆け込む近所の救急診療所。めまいで苦しんだ時も頼りにしたクリニックである。この2年間、ここでPCR検査を何回受けただろうか? 「あ〜! 心配ですもんね! すぐやりましょう!」と、お医者さんもスタッフの皆さんもこの世の人とは思えないくらいいつも親切である。本当にピンチの時の医療従事者の皆さんは聖人に見える。この数時間後、無事にPCR検査の結果が陰性であることを確認できた。

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