5月29日、埼玉県深谷市にて、複合型施設〈深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム〉がオープンしました。本施設のコンセプトは、「野菜にときめく、好きになる!みんなの笑顔を育むファーム」。このコンセプトが反映されたコンテンツが、施設の各所に設けられています。野菜の魅力を体感できる本施設の詳細と、オープンにあたり開催された記者会見の様子をお伝えします。

健康を支え、地域を盛り上げるきっかけにもなる施設。

現在、埼玉県深谷市では、『花園IC拠点整備プロジェクト』が推進されています。このプロジェクトは、〈花園インターチェンジ〉周辺での観光スポットの設立をとおし、農業と観光を盛り上げるというもの。その一環としてオープンしたのが、〈深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム〉(以下、〈深谷テラス〉)です。

野菜に特化した施設である〈深谷テラス〉には、野菜に関連した魅力的な設備が用意されています。主な設備は、常時30種類以上の野菜が息づく「体験農園」、深谷市周辺の農家が手がけた野菜がずらりと並ぶ「マルシェ」、地域の新鮮な野菜をふんだんに使ったメニューが味わえる「レストラン」、そして各種ワークショップが開催される「野菜教室」。子どもから大人まで、あるいは地域の住民から観光客まで、幅広い人々が楽しめる施設となっています。

内覧会の冒頭に開かれた記者会見では、〈深谷テラス〉に深く関わる5名が登壇。〈深谷テラス〉が構想された経緯などが説明されました。

〈キユーピー〉執行役員 広報担当 兼 グループ総務統括であり、「深谷テラスプロジェクト」の担当でもある森 佳光さん。

「野菜は健康を維持するうえで大切な食べ物です。〈深谷テラス〉で野菜の魅力を伝えることで、日本人の野菜摂取を推進していきたいと考えています」と、施設に対する思いを語った森 佳光さん。

なお、森さんによると、深谷市周辺の生産者には、挑戦的で熱意がある人が多くいるそう。

「生産者の方々が生み出す野菜の中には、ユニークで珍しいものもあります。そうした認知度の低い野菜の魅力も、〈深谷テラス〉から積極的に発信していきたいですね」とも語りました。

〈深谷ベジタブルコミュニケーション〉野菜営業部の松村 佳代さん。〈深谷テラス〉がオープンするにあたり、〈キユーピー〉から〈深谷テラス〉の運営会社である〈深谷ベジタブルコミュニケーション〉に転属したそう。

松村 佳代さんは、〈深谷テラス〉の発案者。2012年に〈キユーピー〉の社内公募制度「Try! Kewpie(現 Kewpie Startup Program)」にエントリーし、「生産拠点であり、野菜をおいしく食べて学べる場所」の構想を発表したそう。その後、プロジェクトは見事に採用されました。

しかし、「関東近郊からのアクセスがよく、畑と商業施設の両方を設けられる」という条件に該当する土地がなかなか見つからず、〈深谷テラス〉を構想してからオープンするまでに約10年間の歳月がかかってしまったのだとか。

その反面、土地を探すなかでの出会いや経験は、〈深谷テラス〉のさらなる魅力へとつながったよう。また、「花園IC拠点整備プロジェクト」への応募と採択も、農業関係者から情報を得たことがきっかけとなり叶ったそうです。

〈オトワグループ〉代表で、地産地消フレンチのグランシェフでもある音羽 和紀さん。

〈深谷テラス〉のレストランでメニューの監修を務めるのは、音羽 和紀さん。音羽さんは、フランス料理店、レストラン・バー、デリカショップなどを経営するかたわら、親子を対象とした料理教室を開催したり、地域の食材を使った料理を開発したり、幅広く活動しています。

「〈深谷テラス〉では、よりおいしく野菜が食べられる方法を知ってもらいたいですね。また、野菜を余すことなく使い切る試みにも、積極的に挑戦したいと考えています」と語りました。

〈オトワレストラン〉のマネージャーでフレンチシェフの音羽 創さん。

若手料理人の登竜門『RED U-35 2017』で準グランプリになるなど、輝かしい経歴をもつ音羽 創さんも、〈深谷テラス〉のレストランでメニューの監修を務めます。

レストランについて、「レストランの周辺で採れた新鮮な野菜を味わうという贅沢を知っていただきたい」とコメントするとともに、「東京ではなく埼玉県深谷市でレストランを営むことで、ここでしか得られない価値を構築していきたいです」と、今後の抱負を口にしました。

〈コスモファーム〉取締役会長、農業プロデューサー、農業コンサルタント、日本野菜ソムリエ協会 講師の中村 敏樹さん。

日本で初めてフルーツトマトの栽培を手がけたほか、35年以上にわたり農家を対象とした生産指導、販売や流通に関するコンサルタントなどを行ってきた中村 敏樹さんは、体験農園の監修を担当しています。

「ニンジンは葉っぱまで食べることができますし、ダイコンの葉っぱは、実はとても栄養価が高いんですよ。こうした多くの消費者が知らない知識を伝えるとともに、野菜を無駄なく味わってもらう機会を増やしていきたいですね」と話しました。

カラフルで個性を感じさせる野菜。

マルシェやレストランを擁する建物を囲むかたちで、田んぼや体験農園、ガーデンが設けられています。また、各所に遊歩道が設けられており、〈深谷テラス〉を訪問した人々は、ガイドスタッフと話しながら体験農園を見て回ることができます。

体験農園の案内業務などにあたる海老沢さん。

この日、体験農園を案内してくれた海老沢さんによると、農園の面積は約0.6ヘクタール。面積は小さめながら、多品目少量栽培が実践されているため、常時30種類以上、年間をとおして約100種類もの野菜が収穫できるそう。

「体験農園では中村先生の監修のもと、タイミングを測って野菜苗の植え付けや種まきを行っているため、いつでも野菜を収穫することができます。また、ジャガイモだけでもおよそ15種類の品種を育てるなど、さまざまな種類の野菜を育てているため、収穫後の野菜を集めると、カラフルな色合いが楽しめますよ」

収穫体験は、〈深谷テラス〉の目玉のアクティビティの一つ。希望者は、農園スタッフのアドバイスのもと、2〜3種類の野菜を収穫することができます。なお、この日収穫したのは、「シャドークイーン」をはじめとする複数種のジャガイモ。さまざまな形や色合いのジャガイモが集まると、思わず楽しい気分になれます。

ちなみにスーパーなどでは、市場で定められた規格に当てはまる野菜が販売されています。しかし、〈深谷テラス〉の体験農園では規格はいっさい設けておらず、それぞれの野菜の個性を大切にしているそう。

「農園に訪れた方々には、野菜の個性を楽しんでいただきたいですね。また、個性があるからこそ、よりおいしく味わえるという意識を育んでいただけたらうれしいです」と、海老沢さん。

〈深谷テラス〉の体験農園では、農薬はほとんど使われていないため、小さな子ども連れでも安心して収穫体験や散策を楽しむことができます。なお、海老沢さんによると、農園で農薬が使われていない理由は、多品目少量栽培が実践されている点にあるそう。

「野菜によって、使用可能な農薬は異なります。しかし、体験農園では、一つの区画にさまざまな野菜が植えられているため、例えばキャベツにだけ農薬を撒くことができないのです」

旬な野菜、新鮮な野菜をたっぷりと堪能!

マルシェでは、深谷市周辺の農家が手がけた野菜や果物が50種類ほど用意されています。なかにはハーブの一種である「フェンネル」やカラフルな葉菜「スイスチャード」など、なかなか見かけない野菜もありますが、販売スタッフに食べ方を質問すれば、オススメの調理法や無駄なく使い切る方法などをレクチャーしてもらえます。また、マルシェでは、野菜だけでなく、野菜を使ったスイーツやドレッシングもラインナップされています。これらは保存しやすいため、お土産にもぴったり。

それぞれの野菜の特徴を考慮したうえで、野菜が陳列されているのも特徴です。例えば、ネギには立てた状態で保管したほうが鮮度が落ちにくいという性質があるため、〈深谷テラス〉では、ネギを立てて陳列できる什器を作ったそう。

オススメの商品の一つが、一つのパックに葉物や根菜、エディブルフラワーなどが収められている「Today's Salad Mix」。簡単に、なおかつ野菜を無駄にすることなく、彩り豊かなサラダを作ることができます。

マルシェに隣接するレストランは広々としており、大きな窓からは畑を眺めることができます。とても心地いい空間ゆえ、時間を忘れてゆったりと過ごせるはず。

キッチンはオープンな造りとなっており、調理風景を見ることができます。

レストランでは、その日マルシェで仕入れた野菜をもとに、都度メニューを考案しているそう。新鮮な野菜、あるいは旬の野菜を用いることを大切にしているため、グランドメニューは設けられていません。取材日は「オープンサンド スープ付」や「シェフズサラダ スープ・パン付」、「デコポンのフルーツタルト」などが用意されましたが、今後、マルシェの仕入れ内容により、適宜メニューは変更されます。

「オープンサンド スープ付」。伊達鶏の照り焼きにスクランブルエッグを合わせたオープンサンドと、ヤシオマスとアボカド、ハーブのオープンサンドが味わえる一皿。鶏肉や魚に新鮮な野菜を合わせることで、印象的な味わいが生まれています。
フレンチドレッシングと柑橘風味のドレッシングで野菜を味わう「シェフズサラダ スープ・パン付」。野菜は新鮮そのもので、それぞれの野菜の風味がしっかりと楽しめます。
「デコポンのフルーツタルト」。果肉のジューシーな質感と爽やかな酸味、濃厚な甘味が楽しめる一品。

マルシェ、レストランともに、次々とラインナップが変わっていくため、訪問するたびに新しい味覚との出会いが楽しめるはず。きっと二度、三度と足を運びたくなるでしょう。また、〈深谷テラス〉は、子どもの食育やクオリティ・オブ・ライフの向上にも役立つ施設です。畑で育つ野菜に触れたり、「野菜教室」で野菜について学んだりすることで、食に対する感性がしなやかに養われるでしょう。

〈深谷テラス ヤサイな仲間たちファーム〉
埼玉県深谷市黒田字上反54
048-580-7550
開門・閉門 9:00〜19:30、土日祝〜20:30
マルシェ 11:00〜19:00、土日祝〜20:00
レストラン 11:00〜18:00(17:30LO)
公式サイト