コロナ禍のこの2年、いつもより静かだった鎌倉の町。古民家リノベや移住者が開く店など、新たな動きもある。スローな動きのある鎌倉で今、評判の場所へご案内します。

1.あるようでなかった!花のカヌレが大評判。〈マヤノカヌレ〉/北鎌倉

憧れの鎌倉に移住して開店。
2022年5月にオープン1周年を迎えた〈マヤノカヌレ〉は、開店前から行列ができるほどの人気だ。オーナーの高橋浩介さんはNYで妻の摩耶さんとシェフをしていた。帰国後、北鎌倉でカヌレの店を開く。お花やクローバーをあしらうなど、随所に彼女のアイデアが光る。「四葉のクローバーも混ぜました。ラッキーな人が巡り会えます」と摩耶さん。

花をあしらったカヌレが大人気。1個380円。クローバーをあしらったカヌレも登場した。

カヌレの生地は、もちもちっとした食感が特徴の米粉に厳選した卵を使って、体にやさしいグルテンフリーだ。火・水・金・土はお酒とおつまみの店〈パーラールーム〉となり、ふらりと地元の人もやって来る。お店特製の手軽なおつまみと共に、ワインが楽しめると夜も人気だ。

〈マヤノカヌレ〉
北鎌倉駅から徒歩30秒ほどの所にある。骨董屋さんだったという店内には、カフェスペースも併設し、コーヒーとカヌレでのんびりできる。火・水・金・土はお酒とおつまみの店に変わる。
神奈川県鎌倉市山ノ内510
0467-37-9426
11:00〜16:00 月火水木休
6席

2.食と香りを通して体と心を清めては?〈enso(エンソウ)〉/小町

アミューズの鎌倉のフルーツトマト、ビーツとフランボワーズソース、発酵クリーム。

鎌倉の古民家を素敵に活用。
古民家再生のショップが立て続けにオープンした。まずは観光客でにぎわう小町通りの近くに店を構えた〈enso〉。ビューティブランド〈OSAJI〉が開いた、食と調香が楽しめる複合ショップだ。鎌倉野菜や発酵食品を使ったモダンフレンチベースの食事を楽しんだり、自分に合った香りを調合したり。体と心を解放できる場所だ。

〈enso(エンソウ)〉
〈enso〉内のレストランや30種以上のエッセンシャルオイルから自分のルームフレグランスが作れる〈kako-a scent-〉は予約制。〈OSAJI〉のショップも併設。
神奈川県鎌倉市小町2-8-29
0467-39-6141
10:30〜18:00(レストランは11:00〜)水休
https://www.enso-osaji.net/

3.鳥の声も聞こえてくる、古民家のコーヒースタンドへ。〈paso by 27 COFFEE ROASTERS(パソ トゥエンティセブンコーヒーロースターズ)〉/長谷

チーズケーキ605円が人気。ドリップコーヒーの価格は豆によって異なる。

長谷駅から徒歩5分のところにある〈paso by 27 COFFEEROASTERS〉。「鎌倉は古民家が多いイメージですが、庭付きの広い物件は珍しい」とはオーナーの葛西甲乙さん。豆の買い付けから焙煎まで行うコーヒーの専門家の葛西さん、鎌倉にカフェを持とうと転居して出会った場所なのだ。

〈paso by 27 COFFEE ROASTERS(パソ トゥエンティセブンコーヒーロースターズ)〉
コーヒー豆やスイーツは辻堂のロースターのもので、器はスタッフが長谷のお店のためにセレクトしている。コーヒー以外に自家製レモネードもあり。縁側席からは由比ヶ浜の海が目に入る。
神奈川県鎌倉市坂ノ下22-6
080-7399-3241
10:00〜17:00火、第3月休
24席

4.独特の味わいで人気は全国規模の製麺所。〈邦栄堂製麺(ほうえいどうせいめん)〉/大町

左から、くるみ900円、プレーン、チャパタ各800円の3種のみ。
新聞紙の包みがインスタでも話題に。餃子の皮 大450円、小400円、水餃子の皮400円。
生中華麺(細麺、中麺、極太麺、平太麺など)120円〜。

鎌倉コミュニティが育むパン。
1953年創業の製麺所を三代目の関康(せきやすし)さんが継いだ時、業務用の卸しから小売りにも力を入れ通販にも対応すると、「一度食べたら忘れられない味」というファンを全国に持つようになった〈邦栄堂製麺〉。2022年3月から毎週2日、麺や餃子の皮と一緒にパンが販売されることに。一個ずつ表情が異なるパンの材料は小麦粉、天然酵母、塩、水のみ。関さんの友人が作り、10年来食べ続けていたものだ。このたび、そのパンを〈fukuo〉の屋号で販売することとなった。「パンを販売する」と聞いた関さんが、彼女の小商いを後押し。「毎日食べても飽きない日常のパンを」という〈fukuo〉さん。毎回売り切れと、好スタートを切っている。

〈fukuo〉さんと〈邦栄堂〉の皆さん。中央の男性が関さん。
〈fukuo〉さんと〈邦栄堂〉の皆さん。中央の男性が関さん。

〈邦栄堂製麺(ほうえいどうせいめん)〉
麺と一緒にスープも販売される。モチモチでしっかりとした餃子の皮も人気。商品はいずれも全国発送が可能。
神奈川県鎌倉市大町5-6-15
0467-22-0719
10:00〜16:00(売り切れ次第終了、木〜13:00)月火休(祝の月は営業)

5.モダニズム建築と、名茶室のある場所へ。〈ink gallery(インクギャラリー)〉/鎌倉山

白い建物が居住部分。光がたっぷり入るように窓もたくさん設けられている。傾斜を利用してガレージも備える。吉村建築でよく見られる煙突がかわいらしい。

鎌倉山の有名建築のギャラリーへ。
相模湾を望む屈指の別荘地として知られる鎌倉山。その地にギャラリー〈ink gallery〉がある。もとは個人宅だった建物は日本のモダニズムの巨匠、建築家・吉村順三が設計し、1974年に完成したもの。中村外二工務店による茶室も隣接し、建築ファンにとっては宝物のような建物だ。ギャラリーオープンは2019年。何度か開かれた企画展示の時には一般開放され、多くの来訪者がやってくる。ここはしばらく空き家だった建物をアパレルブランド〈YAECA〉が建築家・中村好文と共に改修し、ギャラリーとして復活させた。相模湾が一望でき、芝生の庭園では春になると桜の花びらが舞う。茶室でお茶とお菓子も振る舞われる展示の時、ぜひ、昭和の名作を体験してみては。

本格的な茶室は、数寄屋建築では日本随一といわれる中村外二工務店による。

〈ink gallery(インクギャラリー)〉
多くの自然が残る鎌倉山での展覧会は不定期。2022年3月に、吉村順三とアントニン・レーモンド建築事務所の同僚だったジョージ・ナカシマの展示を開催。
神奈川県鎌倉市鎌倉山1-19-12
0467-31-0088

(Hanako特別編集『鎌倉びいきが教える鎌倉の答え。』掲載/photo : Norio Kidera)