20歳の頃から唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?第三十四夜は、暑い夏を冷やしてくれる、氷を入れてひんやりおいしい夏酒をご紹介。

氷でひんやり、ソーダで割って飲みやすく。夏に合わせた飲み方をご提案

(左から)「百十郎 純米吟醸 青波」「亀の海 蝉しぐれ 純米吟醸 生」「菱湖 純米大吟醸 なつのさけ」
岐阜県各務原市の蔵元「林本店」の代表銘柄「百十郎」。長良川の伏流水を使用。さらりとキレのある淡麗辛口な味わいは夏にぴったり。「百十郎 純米吟醸 青波」720ml 1,485円(ひいな購入時価格)/株式会社林本店
長野県佐久市にある土屋酒造店の代表銘柄「亀の海」の夏酒として登場した「蝉しぐれ」は、原酒ながら13〜14度とアルコール度数控えめ。さらに甘酸っぱい味わいだから氷を入れてゴクゴク飲める軽やかさ!「亀の海 蝉しぐれ 純米吟醸 生」720ml 3,537円(ひいな購入時価格)/株式会社土屋酒造店
新潟県新潟市にある峰乃白梅酒造は、“越後三梅”のひとつとして淡麗辛口の蔵元として広く知られる。そんな蔵による芳醇旨口への挑戦が「菱湖(りょうこ)」。ソーダで割っても米の余韻が感じられる。「菱湖 純米大吟醸 なつのさけ」720ml 1,760円(ひいな購入時価格)/峰乃白梅酒造株式会社

娘・ひいな(以下、ひいな)「またまたやってきました!夏に飲みたい日本酒2022!」
父・徹也(以下、テツヤ)「イェ〜イ」
ひいな「2020年にも夏酒特集をやってるんだけど、それとはまた違う感じで楽しもうと思っています」
テツヤ「待ってたよ!」
ひいな「夏酒、まだ今年飲んでないもんね」
テツヤ「夏酒って響きがいいよな」
ひいな「ね。涼しげでね」
テツヤ「前は、どんなラインナップだっけ?」
ひいな「『ゆすらもも』、『山形正宗』の花火ラベル、『播州一献』の夏辛かな」
テツヤ「どこもやっぱりラベルが涼しげだねぇ」
ひいな「涼しげでしょう?」
テツヤ「夏だねぇ」
ひいな「普通に飲んでももちろんおいしいんだけど、飲み方を夏っぽく変えて飲んでみようかなと思っています!」
テツヤ「そりゃ楽しみだね。日本酒ってさ、夏にはちょっと濃すぎる時があるから、氷入れるのはありだと思うんだよね」

ひいな「涼しげにね!今日はストレート、ロック、ソーダ割の3タイプで飲んでみます!」
テツヤ「いいね、いいね!」

1本目は、まずはキンキンに冷やしてストレートで。「百十郎 純米吟醸 青波」

ひいな「1本目は『百十郎』の純米吟醸『青波』です」
テツヤ「岐阜のお酒なんだ。歌舞伎と関係あるのかな?」
ひいな「隈取(くまどり)のラベルかっこいいよね。明治から活躍した歌舞伎役者の市川百十郎さんの地元なんだって」
テツヤ「なるほど。このお酒はどうやって飲むの?」
ひいな「まずはストレートで。この蔵は辛口が有名なんだけど、このお酒は、それらのお酒とは違う感じかな」

錫の酒器でさらに冷たく!
いただきます!

テツヤ&ひいな「いただきます!」
テツヤ「あぁ、さわやかだなぁ」
ひいな「キレがあるだけじゃなくて、やわらかさがあるっていうか」
テツヤ「あるある」
ひいな「それでいて最後までさわやかっていう」
テツヤ「うんうん。重くないね。川の流れを感じるなぁ」
ひいな「長良川だね。『百十郎』は、海外にも流通してるらしくて。海外の方とお話しすると辛口好きな方が多いイメージだから人気なんだと思う。でもこうやって甘やかなやつも出してるんだよね」
テツヤ「なるほど。甘やかね。確かにただ単に辛口なだけじゃなくて伸びがあるというか、甘みを感じるよね」
ひいな「後味もまったりしないから、飲み疲れもしないし」
テツヤ「日本酒って、そういう重さが若干あるよね」
ひいな「柑橘っぽい香りもあって」
テツヤ「うん。それでいてちゃんと米感もあるし。ラムネっぽさも感じる」
ひいな「日本酒度は10度なので、だいぶキレてるね」
テツヤ「もっと冷やしてもいいかもな。キンキンに!」
ひいな「ロックにしてもいいかもね。でもストレートでもおいしい」
テツヤ「味もしっかり感じられて、それでいてサラサラとした飲み口が両立してるっていうか」
ひいな「今年の夏酒を見ていると純米吟醸が多い気がしてて」
テツヤ「へぇ、純米吟醸なんだ」
ひいな「昔の夏酒って、ちょっとアル添(ライター注:アルコール添加の略)してさわやかに仕上げたり、わりとゴクゴクいける感じに造ってるイメージがあったんだけど、ちょっとした甘さがありながらもさらっとしてるのが今年流行ってるのかなっていう印象かな」

2本目は、氷を入れて、ロックでいただきます!「亀の海 蝉しぐれ 純米吟醸 生」

テツヤ「次いきますか?」
ひいな「このお酒、14度で低アルなんだけど、それをロックで飲むから、さらに度数が低くなる」
テツヤ「『蝉しぐれ』って名前がね、もう夏だね」
ひいな「長野県の佐久のお酒です。これはね、生酒で原酒なの」
テツヤ「原酒で14%なの?少し微発泡してる?」
ひいな「少しシュワシュワしてるかも。氷を入れたグラスに注ぎます!」

氷を入れたグラスに日本酒を注ぎます。
クイッと飲み干せば…。
あまりのおいしさに、この表情(笑)。

テツヤ「もうね、見てるだけで涼しいや」
テツヤ&ひいな「乾杯!」
テツヤ「うわぁーーー!!!こりゃうまい!!!!(拍手)」
ひいな「やった〜!」
テツヤ「最近の中では、一番ヒットじゃない?」
ひいな「ヤバいでしょう?」
テツヤ「うん、これはヤバい」
ひいな「出会っちゃった感じするよね」
テツヤ「あぁ…。これはロックだねぇ。本当にうまい。正直、このラベルと合わないかもしれない。味が和じゃないよね?」
ひいな「うん。マスカットの香りもするし、軽やかで開放的な感じしない?お米でできた日本酒なのにこんな要素があるんだなぁって思ってもらえるお酒だと思う。洋食にもエスニックにも合うと思うな」
テツヤ「2022年、伊藤家アワードにノミネートします(笑)。これはロックが抜群に合うね」
ひいな「これはソーダで割るよりもロックでキンキンで飲んだ方がいいかなと思って」
テツヤ「もうさ、すでにソーダで割ったみたいな後味というか。『亀の海』はロックを推奨してるの?」
ひいな「いや、特に聞いたことはないかな…」
テツヤ「ひいなが発明したんだな。久々のヒットだよ。めちゃくちゃうまいよ!もう蝉の鳴き声が聞こえてきたよ」
ひいな「(笑)」
テツヤ「佐久の森の中で蝉の声が聞こえる、みたいなイメージ」
ひいな「気がついたら1本、空いちゃうやつ…」
テツヤ「14度もあるの?アルコール感じないくらいだよ」
ひいな「常温にするとお酒って感じがすると思うけど、冷やして氷いれて涼しげにするとね」
テツヤ「おかわり!これはね、飲んだらみんなが好きになるよ、きっと。うちに何本かストックしておきたいな」
ひいな「このお酒『亀の海』の定番商品なんだけど、売り切れちゃうくらい人気なの」

テツヤ「蝉の抜け殻が描いてあるのもかわいいね。これは相当おすすめしたい!」
ひいな「いいでしょう?」
テツヤ「うん、うまい。佐久に行きたくなるよ」
ひいな「きっと、お父さんがハマるだろうなってわかってた」
テツヤ「やっぱり」
ひいな「すごくおいしいなと思って調べてみたら長野酵母Rという酵母を使ってることがわかったんだけど、それがリンゴ酸が出るんだって」
テツヤ「なるほどねぇ。リンゴ酸なんだ」
ひいな「大好物のリンゴ酸」
テツヤ「これは本当においしいわ、いやぁうまい!」
ひいな「見つけたら即買いで!」
テツヤ「これは、人の家に行く時に持って行ったら、めちゃくちゃ喜ばれると思う」
ひいな「日本酒って感じがしないのがいいよね」
テツヤ「ロックで飲めるのも最高だよね。夏酒として。どんな肴に合うのかはちょっと想像できないけど」
ひいな「そう?あとで合わせてみよう」
テツヤ「食前酒でも食後酒としても、どっちにも合いそうだけど…」
ひいな「うん、何でも合うと思う」

テツヤ「非常においしかったです」
ひいな「よかったです。そんなにおいしそうに飲んでるの久しぶりに見たよ(笑)」
ひいな「ここまで衝撃的なおいしさは久しぶりかもね」

3本目は、ソーダ割でさわやかに、ゴクゴク飲める「菱湖 純米大吟醸 なつのさけ」

ひいな「もう一本は『菱湖』。“りょうこ”と読みます。今回、私もさっきの『蝉しぐれ』と『菱湖』を飲んで衝撃を受けたので」
テツヤ「これはソーダ割だな?」
ひいな「そう。これは新潟のお酒です。新潟で昔、淡麗辛口ブームがあったんだけど、そのうちのひとつが『峰乃白梅(みねのはくばい)』だったのね。そんな淡麗辛口を代表する『峰乃白梅』が、芳醇旨口にフォーカスをあてた1本です」
テツヤ「つまり、辛口からの脱却?」
ひいな「別ブランドを立ち上げたの」
テツヤ「三大辛口のあとの2つはどこなんだろう?」
ひいな「『越乃寒梅』『雪中梅』『峰乃白梅』」
テツヤ「みんな梅がつくんだな」
ひいな「『菱湖』は芳醇旨口を目指してブランドを立ち上げて、夏の酒として出したのがこれ。純米大吟醸の火入れをしてあるから生酒ではないんだけど原酒です」
テツヤ「濃そう?」
ひいな「度数は16度かな」
テツヤ「お酒を注いでからソーダで割るんだな?」
ひいな「割合はお酒2:ソーダ1でまずは飲んでみて」
テツヤ「さぁ、どうかなぁ?」
ひいな「さっきヒットだったからね」
テツヤ「でも見た目がもうおいしそう!シュワシュワ」

ゴクゴクゴク…あぁ、おいしい!
あまりのおいしさに、思わず笑みがこぼれます。

テツヤ&ひいな「いただきます!」
テツヤ「うん!?もうちょっとお酒入れてみようかな」
ひいな「お好きな割合でどうぞ!」
テツヤ「俺はお酒3:ソーダ1でもいいかな」
ひいな「2:1だとゴクゴク飲めちゃう感じかな」
テツヤ「確かにゴクゴクいっちゃうね、これは」
ひいな「夏にぴったりでしょう?」
テツヤ「いやぁ、最高でしょう。夏は氷を入れていいんだな。どんどん氷入れて飲もう。うまいよ、いいよ、これ!」
ひいな「ゴクゴクいっちゃうよねぇ」
テツヤ「ちゃんと米感も感じるし。氷やソーダを加えても失われないのがすごいよね」
ひいな「ね!」
テツヤ「焼酎の炭酸割りとはぜんぜん違う感じ。やっぱり日本酒なんだな」
ひいな「ソーダで割ることで飲み口がやさしくなるよね」
テツヤ「日本酒の流儀とかはもうとっぱらっちゃってさ、おいしく飲めたらいいよね」
ひいな「自由にいろんな飲み方をしてみて、おいしいのを自分で見つけるのも楽しいよね」
テツヤ「もっと自由に飲んでいいんだって思ってもらえたらいいよなぁ」
ひいな「このソーダ割り、なんか食欲増すよね。食中酒にぴったり」
テツヤ「おなかすいたなぁ」
ひいな「おつまみ持ってきます〜!」

夏酒に合わせるのは、夏野菜をたっぷり使った、さっぱりとしたおつまみ!

ひいな「今回は夏野菜をたっぷりと使ってみました!トウモロコシとオクラのカレー炒め、キュウリ、ミョウガ、パプリカ、タマネギを細かく刻んでトマトにかけて、薄切りにしたセロリとささみを大葉とレモンで和えてさっぱりと。体の内側から涼しくね」
テツヤ「わぁ、どれもめっちゃおいしそう!」
ひいな「トウモロコシとオクラのカレー炒めは野口真紀さんのレシピなんだけど、『百十郎』と合うんじゃないかなと思って」
テツヤ「味付けはカレー粉だけ?」
ひいな「ショウガとニンニクがたっぷり入ってます!」
テツヤ「うん、いい味出してる!」
ひいな「『百十郎』はしっかりとした味つけにも合うと思う。蔵元さんのオススメの食べ物も、タコス、タンドリーチキン、焼肉って書いてあって」
テツヤ「がっつりと濃い味つけのものばっかりだね。ピリ辛にも合いそう」

夏野菜たっぷりのおつまみが完成!
トウモロコシとオクラをショウガとニンニクで炒めてカレー粉で味つけ。
セロリの薄切り、ささみとレモン汁で和えてさっぱりと。
オリーブオイル&しょうゆで、和風な味わいに。

テツヤ「カレー粉の香りがふわ〜っと広がるね。先に食べてからお酒飲んじゃうと、お酒がちょっと負けちゃうんだけど、最初に飲むと受け止めてくれる感じがするというか」
ひいな「お酒の甘さがトウモロコシに引き継がれる感じがする」
テツヤ「カレー粉と日本酒ってなかなかない組み合わせだけど、うまいよ」
ひいな「勇気いるよね」

テツヤ「めっちゃうまいよ。スパイスと日本酒ってやっぱりすごく合うね」
ひいな「セロリとトマトは『亀の海』と『菱湖』に合わせたい感じ」
テツヤ「うんまい!」
ひいな「トマトは、オリーブオイルと醤油ベースのドレッシングでみじん切りにした夏野菜と和えて、トマトにかけました」
テツヤ「めっちゃ好き。これ」
ひいな「セロリはレモンを1個分まるっと搾ってかけたから、この酸味と日本酒がすごく合うと思う」
テツヤ「うん、どのお酒とも合うよ!」
ひいな「いいよね、夏酒に夏野菜のおつまみ。簡単だし」
テツヤ「え、簡単なの?」
ひいな「うん。刻んで和えたり、炒めただけだよ」
テツヤ「そうなんだ。これはいい!ロックで暑い夜を涼しくしたいね」
ひいな「夏の日本酒はロックで!」
テツヤ「秋になればさ、またこっくりとしたの飲みたくなるだろうし」
ひいな「季節に合わせた飲み方で、1年中飲んでほしいね」

【ひいなのつぶやき】
ロックやソーダ割りにしてもおいしい日本酒は、他にもたくさんあります!今年の暑い夏は、涼しげな日本酒アレンジで乗り越えましょう!
ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中

photo:Wataru Kitao illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita