ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足! 毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第68回は、編集者として活躍する藤田華子さんが、東京・日本橋のカフェ〈分身ロボットカフェ DAWN ver.β〉へ行ってきました。

「OriHime-D」は現在、お水の提供を行っております。

東京・日本橋にある〈分身ロボットカフェ DAWN ver.β〉。ここでは病気や障がいで外出困難な70人の従業員の方々(=パイロット)が、シフトを組み、分身ロボット「OriHime」と「OriHime-D」を遠隔操作してサービスを提供しています。

人々が新しいかたちで社会に参加できるよう目指すこのカフェは、テクノロジーによって「働きたい!」という純粋な想いを叶え、社会での居場所になる、優しくあたたかな空間でした。

分身ロボット「OriHime」と「OriHime-D」

「OriHime」
「OriHime-D」

こちらを運営するのは、ロボットコミュニケーターの吉藤オリィさんが「人類の孤独の解消」を使命に掲げて活動する〈オリィ研究所〉。〈オリィ研究所〉は、孤独の要因として移動、対話、役割などが挙げられると考え、これらの問題をテクノロジーで解決し新しい「社会参加」の実現を目指しています。

活躍しているロボットは「OriHime」と「OriHime-D」の2種類。
「OriHime」は、遠隔でのコミュニケーションでも、手や首を動かしてパイロットがまるでその場にいるように感じられるデザイン。各テーブルに1機おり、iPadと連動してお写真を見せながら食事の時間を楽しく彩ってくれます。
「OriHime-D」は、遠隔での肉体労働を可能にする自走型分身ロボット。お水のサーブなどを遠隔で行います。目は基本の緑以外、どんな色でも再現可能。パイロットがその日の気分や好きなスポーツチームのカラーなどで色を選ぶこともできるそう!

パイロットとのお話を楽しんでも、カフェを利用しても

エントランスには、操作体験ができるコーナーも。

〈分身ロボットカフェ DAWN ver.β〉には、3つのエリアがあります。

・OriHime接客席(OriHime Seat) ※予約推奨
分身ロボット「OriHime」による接客とともに、お食事、スイーツなどをいただけます。コーヒーはカフェオリジナルのスペシャルティコーヒー、お食事も本格的なお味です。
・テレバリスタ(Tele-Barista) ※予約推奨
バリスタ研修を受けたパイロットが、ロボット「OriHime&NEXTAGE」を遠隔操作し、目の前でお好みのコーヒーを入れてくれます。
・カフェ席(Cafe Seat) ※予約不要
気軽に立ち寄れる、セルフサービス方式のカフェ席。ホットサンドなどの軽食や、ドリンク各種をいただけます。コンセント席や、通常の椅子として誰でも座れる車椅子の用意も。

OriHime接客席(OriHime Seat)を体験!「ロボットを通して働くけど、人間らしく過ごせる時間」

席に着くと、まずはお客様に向けてパイロットからご挨拶。今回、私は「OriHime」のパイロット・うーさんに接客していただきました。狭心症というご病気を抱え、ご家庭の都合もあり長いあいだ働きに出ることが難しかったという、うーさん。福岡に住みながら、「OriHime」と出会ったことで外で働ける喜びを語ってくださいました。

「もともと、テーマパークでガイドツアーの仕事をしていたんです。でも、育児や夫の転勤の都合で、外に働きに出るのが難しい日常を送っていました。そんなとき、ファンだった〈オリィ研究所〉のSNSで〈分身ロボットカフェ DAWN ver.β〉を知って。障がいや病気、距離などを理由に、働くことを我慢しなくていいんだとわかって世界が広がった気がしましたね」。

ーー実際に働いてみていかがですか?

「10年ほど家にいて社会人としてのブランクがあったので、応募したときは自信がなかったんです。でも、いまはとても楽しくて。たとえば体調が悪くなったりした時も、仲間のパイロットが『働けるよ!』とシフトを代わってくれたり。これって、物理的な距離があったらなかなか難しいことですよね。テクノロジーで解決できることの大きさを感じました」。

ーーブランクや障がい、不安を軽やかに飛び越えさせてくれるのがテクノロジーだったんですね。

「そうです、そうです!お一人でいらっしゃるお客様は、コロナ禍でもここでの接客は非接触なので、思いっきりお喋りしながらお食事していただけます。テクノロジーってすごいなあと感じ入るばかりです」。

ーーロボットを通した接客は、どんな感覚ですか?

「ヘッドホンをして操作しているのですが、本当にお客様が目の前にいらっしゃるような感覚です。お料理が運ばれてきたら香りまでこちらに漂ってくる気がするほど、自分がその場にいるような没入感があって。ついお話が盛り上がると、iPadのほうに身を乗り出してしまったり、お客様には見えないけど深々お辞儀してしまったり(笑)」。

パイロットが見ている画面。拍手やツッコミ、万歳など手の動きの操作も簡単。

ーー働いてから、何か変化はありましたか?

「働くまでは家庭のタスクをこなすことで精一杯で、ロボットみたいだったなと振り返ることがあって。一方で、いまはお客様のお話を伺い、心が動く瞬間が多く、ロボットを通して働いていても、ずっと人間らしく暮らせているなって気づいたんですよ(笑)。『OriHime』は全自動、全マニュアルではないので、私らしさを出せる余白のあるロボットだからだと思います」。

ーー「OriHime-D」は目の色を変えられたり、うーさんも手を動かせたり、自分なりのアレンジができるのも大きいですよね。

「そうなんです!私は『OriHime-D』に入る時は、ピンクが好きなので目をピンクにしています。かわいいピンクの目の自分が話していると思うと、テンションが上がるので!それに、1時間単位でシフトを組めるので、『ちょっと疲れたな』と思ったら無理をせず、フレキシブルに動けるところものびのびできる理由だと思います」。

すれ違いざまに手を振り合うロボット。チームワークもばっちり!

ーーお仕事を通して、嬉しかったことを教えてください。

「こんなにたくさんのお客様と、毎日出会いがあるというのが一番の喜びです。あとは、私、10年くらいずっと『臼井さん(うーさんの苗字)の奥さん』『臼井さんのお母さん』と呼ばれていたんです。でも、ここではパイロットネームの『うーさん』と呼んでいただけて、肩書きじゃなく自分でいられる時間を持てたことも喜びのひとつです。名前を呼ばれるって、こんなにも嬉しいことだと気づきました。ロボットを通してですが、本当に心があたたかくなる場所で働けて幸せです」。

このあとは、お食事をいただきながら、うーさんが飼われているウサギのお話などで盛り上がりました。

おいしいコーヒーやお食事はもちろん、新しい出会い、コミュニケーションを通した感動を提供してくれる〈分身ロボットカフェ DAWN ver.β〉。ぜひ足を運んで、ロボットの向こう側にいる方々との触れ合いを楽しんでみてください。

〈分身ロボットカフェ DAWN ver.β〉

https://dawn2021.orylab.com/

※〈分身ロボットカフェ DAWN ver.β〉は、完全バリアフリー対応で、離乳食、嚥下調整食など食事支援が必要な方へは調理器具の貸し出し等も。また、ストレッチャーでのご来店対応、呼吸器の電源供給なども配慮されています(予約時に備考欄に記入)。