話題のお店が続々オープンし、より一層盛り上がりを見せている代々木八幡・代々木上原エリア。同エリアには地元の人だけでなく、遠方からも足を運ぶ創業10年以上の名店も数多くあります。今回は10周年を機にメニューをリニューアルさせたフランス料理店〈シャントレル〉をご紹介。

⾒た⽬の華やかさよりも、実直な味の良さを追求する〈シャントレル〉。

代々木上原駅と代々木八幡駅の間、閑静なエリアに位置する〈シャントレル〉。

2011年7月に渋谷区元代々木町に開業し、2022年に11周年を迎えた〈シャントレル〉。『ミシュランガイド東京』で星を獲得したこともある実力派フレンチです。

オーナーシェフの中田雄介氏は渋谷〈ラ・ブランシュ〉で6年修業後、渡仏しパリ〈ル・ベルクール〉で1年、オーベルニュ地方〈オーベルジュ・エ・クロ・デ・シーム〉(現在レジス&ジャック・マルコン)で2年学び、2004年からは神宮前〈ブラッスリー・ラルテミス〉のシェフを約7年務めた経歴を持ちます。

〈シャントレル〉内観。
〈シャントレル〉内観。
〈シャントレル〉内観。

〈シャントレル〉という店名は、中⽥シェフがフランス修業時代に出合った⾒た⽬は地味でも味は抜群なキノコの名前に由来。ジロール茸やアンズダケという名前でも親しまれているキノコです。秋から冬にかけて連⽇きのこ狩りに出かけた際、オーヴェルニュの森で出合ったそのキノコのように「⾒た⽬の華やかさよりも実直な味の良さ」を追求したいとこの名が付けられています。

2021年の10周年を機に〈シャントレル〉では、その店名に込めた思いをより強く意識した料理やコース内容へとリニューアル。料理を決めてから食材を仕入れるのではなく、信頼のおける仲卸から仕入れた旬の食材をもとに料理を組み立てるという手法へと切り替えたそう。あわせて店内も椅子や床、壁に飾られたアート作品などを変更し、スタイリッシュに改装しています。

ディナーコースは大満足の7〜8皿で11,000円!

乾杯酒として提供された「ダニエル デュモン ブリュット レゼルヴェ」。

コースはランチもディナーもシェフのおまかせコースのみ。7〜8皿の料理とデザート・コーヒーで構成される11,000円のコースに加え、ランチでは5〜6皿をピックアップしたおまかせコース7,700円も用意されています。ミシュランの星を獲得したことのあるフランス料理店で、この価格帯は良心的。今回は11,000円のコースを実際にいただいてみましたので、ご紹介します。

アミューズ、スープからキノコ尽くし。

アミューズは〈シャントレル〉定番のスモークサーモンのリエットと、キノコのクロックムッシュ。サーモンの濃厚な味わいのリエットと、マッシュルームのデュクセルをサクサク香ばしくジューシーなパンでサンドしたクロックムッシュが、シャンパーニュを誘います。

続く2皿目は、中田シェフのシグネチャーです。カップに入っているのが、キノコを煮出してコンソメで味付けしたキノコのお茶。キノコの芳香さに圧倒されつつも、塩味が控えめで味わいはとてもナチュラル。身体の中から健康になりそうな一杯です。

手前は枝豆のフィリングをマカロン生地でサンドした、小さなマカロン。こちらのマカロン、季節ごとに旬の食材を使ってフィリングを仕立てているそうです。

3品目は稚鮎とズッキーニのフリット、ガスパチョ、生ハムメロン、トマトのグリルの盛り合わせです。フリットは、お好みで真ん中にあるナスを蒸してクミンを合わせたピューレをつけていただきます。こちらのガスパチョは一般的なレシピとは違い、トマトと塩とオリーブオイルだけで調理しています。エアリーでクリーミーな舌触りで、しっかりとしたうま味が感じられ、3種類の食材だけで作ったとは思えないほど豊かな味わいです。

アジ、カツオ、サーモン、車海老など、魚介で魅せるフレンチの新境地!

中田シェフといえば、フレンチ界きっての魚介の使い手。信頼のおける築地の仲卸から仕入れた、質の高い季節の魚介を使った料理が光ります。島根県浜田のアジ使った4品目は、グレープフルーツやドライトマト、ズッキーニやオリーブに、トマトのゼリーを合わせて涼やかに仕立てています。アジは鮨屋と同じように、来店客が訪れる直前に捌き塩を振り、火入れをしているため、鮮度が良く、アジの味をしっかりと感じられます。

続く5品目は気仙沼のカツオを香ばしくキャラメリゼし、塩、胡椒、バジルなどで味付けしたお料理。アイオリソースをお好みでつけていただきます。添えてある赤キャベツもオリーブオイルとともに火入れしており、カツオにシャキシャキとほろ苦いアクセントを加えてくれます。焦がしの効いたカツオは、合わせていただいたピノ・ノワールの赤ワインにも負けないしっかりと力強い味わいが印象的でした。

6品目は、タスマニアンサーモンの燻製という〈ブラッスリー・ラルテミス〉時代のスペシャリテを〈シャントレル〉流に昇華した一皿。

現在〈シャントレル〉では近海の天然サーモンを使っています。この日は希少食材ともいわれる北海道産のトキシラズというサーモンを使用していました。強い煙で3分ほど瞬間燻製したサーモンは、皮目の薫香が素晴らしく、身は満遍なくしっとり、そしてサーモンの馥郁たる味わいに惚れ惚れします。ソースはブルーチーズのロックフォールで、ナスの煮浸し、エシャロットとエストラゴン、ディル、塩漬けのキュウリとオクラが添えてあります。フランス料理の仕立てながら、日本の旬野菜のおいしさも感じられる一皿です。

7品目もこれまた車海老を使った魚介料理ですが、フランス料理の王道ともいえるフリカッセです。食材や仕立てがモダンな料理が続いていましたが、コースの中にいくつかクラシックなフランス料理も入れるのが中田シェフ流です。

夏セップ茸とともに、ブランデーやコニャック、バターで生きたままソテーした車海老は、プリプリとした食感で甲殻類独特の力強い味わいが感じられます。車海老はあえて頭を外さず一緒にソテーすることで、ソースも濃厚に仕上がっていました。夏セップ茸は、カサ部分がフワフワ食感。コースを通じてさまざまなキノコの味わいに触れられるのも〈シャントレル〉ならではの魅力であると感じました。

メインは牛、羊、魚などからお好みをチョイス。

メイン料理は、肉料理か魚料理か選べるようになっています。この日は、アイランドビーフ、仔羊、マナガツオから選ぶことができ、私は仔羊をチョイスしてみました。

仔羊のグリルは、皮目をパリッと香ばしく焼き上げ、ナスとバラ肉を和えたムサカと、ジロール茸、インゲンを添えています。サーロイン部分を使った仔羊のグリルは、脂にコクと甘さが感じられ、ムサカとのオリエンタルな組み合わせも魅惑的です。

食べ進めていると、トウモロコシ入りのバターライスをシェフがよそってくれました。フランスでは付け合わせとしていただくようですが、日本人の私は〆のご飯ものとして、ソースと絡めていただきました。こちらも10周年を機にリニューアルした試みのようで、季節に応じてグリーンピースライスや舞茸ライスになるそうです。

選べるデザート、プティフール。

ベトナム産カカオを使ったチョコレートのテリーヌ。
いまの時期は山梨県産初桃のコンポートも!

デザートも3種類から選べるスタイル。私は、同店定番スイーツのチョコレートのテリーヌをいただいてみました。ベトナム産カカオを使ったチョコレートのテリーヌは、濃厚ながらカカオのフルーティーさも感じられます。添えてあるワインのシャーベットの酸味やタンニンが、コースを食べた後の口とお腹ををすっきりとさせてくれます。

「クレームブリュレ」と食後のドリンク。

プティフールはクレームブリュレ。小さいながら、パリパリのカラメル、カスタードクリームと本格的な味わいです。食後のドリンクではコーヒーや紅茶のほか、ハーブティーも選ぶことができ、カフェインが気になる人にも配慮していると感じました。

ワインも常時250種類以上用意。

中田シェフは、ワインの知識も豊富。お店にも250種類以上のワインが常備されており、料理に合わせたワインのペアリングにも定評があります。季節で変わりゆく料理に合わせ、ワインもプロのセレクトに身を委ねてみるのがよさそうです。

訪れた日は常連さんも何組か来店されており、中田シェフとの気さくなトークも楽しんでいました。季節が巡ることを喜びに感じられるようなお料理、お店に出会えると日々の暮らしが鮮やかに彩られます。〈シャントレル〉はきっとそんなお店として、この10年多くの人に愛されてきたのだと感じました。

〈シャントレル〉
東京都渋⾕区元代々⽊町24-1
03-5465-0919
18:00〜20:00LO(土日のみ12:00〜13:00LOでランチ営業あり)
月休
公式サイト
※表示金額は全てサービス料別