2021年4月、横浜にオープンした〈SMOKE DOOR(スモークドア)〉は、薪火(まきび)を使った料理を提供するオールデイダイニング。ミシュランで3ツ星を獲得した薪火レストラン〈Saison(セゾン)〉出身で薪火を知り尽くしたタイラー・バージズシェフが、食材の新たなおいしさや楽しみ方を教えてくれます。今回は夏のシーズナルメニューを含む6品を試食させていただきました。

〈HOTEL THE KNOT YOKOHAMA〉1階、134席を有するオールデイダイニング。

〈HOTEL THE KNOT YOKOHAMA(ホテル・ザ・ノット ヨコハマ)〉。

〈SMOKE DOOR〉があるのは、JR横浜駅から徒歩約4分の〈HOTEL THE KNOT YOKOHAMA〉。エントランスにはシックなバーがあり、奥には趣の異なるテーブル・ソファ席やテラス席などが並んでいます。全134席を有する、広々とした空間です。

バーでは薪火の料理に合わせたカクテルも楽しめます。
ゆったりした広さのテーブル席ほか、テラス席もあり。
厨房は一部オープンキッチンで、「ハース」と呼ばれる薪場がよく見えます。薪はオークが中心で、スモークの際はサクラを使うそう。

店内はほのかな薪火の香りに包まれていました。時折、薪の爆ぜる音も聞こえます。
ホテル内にあるため、営業は7時から23時まで。モーニング、ランチ、カフェ、ディナーと1日を通して利用できます。

同店を率いるのは、タイラー・バージズシェフ。「薪火料理」のジャンルでアメリカ初のミシュラン3ツ星を獲得したサンフランシスコの名店〈Saison〉をはじめ、名だたるトップレストランで経験を積んだ凄腕の料理人です。

来日をきっかけに日本の食材や文化に魅了されたというバージズシェフ。2022年からは日本に拠点を移し〈SMOKE DOOR〉のエグゼクティブシェフに就任。シェフならではの独創性と卓越した技術を組み合わせた薪火料理を提案します。

〈SMOKE DOOR〉エグゼクティブシェフ、タイラー・バージズ氏。薪場は場所ごとに火力が異なっており、風を入れたり置き場を調整したりして火入れしていきます。

薪火はグリルやオーブンと異なり、細やかな火力調整を必要とする繊細な調理法。その温度帯は約200〜1200℃と広く、食材のポテンシャルを引き出すためにはそれぞれに適した火入れの温度や時間を見つける必要があります。〈SMOKE DOOR〉ではそうした「食材が最も花開く瞬間」を「スイートスポット」と呼んでいるそう。

薪を使った調理は「直火」「遠火」「スモーク」などがありますが、同店が特に注力するのは「熾火(おきび)調理」。熾火とは、薪から上がる炎が落ち着き、芯の部分が真っ赤になった状態のこと。遠赤外線効果で食材にムラなく火を通すことができると言います。

使用する食材は小田原や三浦半島をはじめ、横浜から半径50km圏内のものを中心に厳選。地産地消を叶えると同時に、カジュアルな価格帯も実現しています。

香り、食感、味わい。食材の印象を変える、薪火料理の奥深さ。

「アボカドトースト」748円。

今回は、旬の夏食材を使ったメニューを含む6品をご用意いただきました。

まずは〈SMOKE DOOR〉のシグネチャーメニューでもある「アボカドトースト」。溜まり醤油と焦がしバターを染み込ませた厚切りトーストの上に、薄くスライスしたアボカドとミント、シソの葉や花を散りばめた前菜です。

アボカドはほどよくスモークされており、やわらかな木の香りがします。トーストの上部はカリッとクリスピーな食感で、下部はジュワッと濃厚なバター醤油。後味にふんわりと清涼感が残ります。初めて出合う味わい。これから出てくる料理がさらに楽しみに感じられます。

「24時間炙ったカリフラワーの薪焼き」968円。

続いての料理はカリフラワーが主役。薪場に吊り下げ、24時間かけて遠火でじっくり炙ったカリフラワーに、3週間かけて作った自家製澄ましバターをかけて提供されます。

こんがりとした色のつぼみ部分は、カリカリサクサクとスナックのような食感。茎の部分はジューシーで旨みがしっかり。器の底に敷かれたフライドオニオンの軽い食感も相まって、食べる手が止まらなくなります。

「畑のキャビア じゃがいものガレットとパンケーキ」1,738円。
2〜3人分の量なので、シェアして食べるのがおすすめです。

プチプチとした小さな実がチョウザメの卵を思わせることから“畑のキャビア”と呼ばれる「とんぶり」。〈SMOKE DOOR〉ではとんぶりをキャビアとしてより豊かに表現する、楽しい試みをひと皿に示しています。

お店オリジナルソースでマリネしたとんぶりに、自家製海藻バターや昆布入りの塩水をプラスして瓶詰めに。器には熾火から出したばかりの自家製ドライわかめが敷き詰められており、煙とともに磯の香りも運ばれてきます。

傍らにはひと口サイズのカリカリとしたじゃがいものガレットや、ふわっとやわらかなパンケーキが添えられています。特製のとんぶりをのせて、さらにみじん切りのエシャロットやサワークリームを好みの量で添えて。インパクトある見た目だけでなく、香りや食感、味わいでも楽しめる、遊び心のあるメニューです。

「48時間調理したチキンの薪焼き」2,508円。
15種類のスパイスを使ったカレー風味のピーナッツソースや、2日間かけて作ったバーベキューソルトも付いてきます。

メインとして登場したのは、国産ひな鶏を使った骨付きの薪焼き。店内でマリネして熟成させたのち、皮のパリッとした食感を出すため、焼く前に皮の部分を乾かしているのだそう。じっくり遠火で火入れしたのち、提供直前に直火で加減を見極めて仕上げます。

木の香りをまとった鶏肉。皮はパリパリ、身は適度に水分を残したしっとり感。もも肉は肉汁たっぷりジューシー、むね肉はさっぱりとした味わいがあり、それぞれの部位の違いも楽しむことができます。

とうもろこし、花ズッキーニなど、夏ならではのメニューも。

「とうもろこしのメキシカングリル」1,518円。

ここからは、シーズナルの2品をご紹介。夏野菜・とうもろこしはゆっくり火入れしたのち、スパイシーなシーズニングソースを全体にかけ、さらにスペインのフレッシュチーズ「ケソフレスコ」を全体に散らして。カリカリに炒ったカボチャの種もふんだんにトッピングされており、レモンをキュッと絞ってからいただきます。

食べる前は「焼きとうもろこし」をイメージしていたのですが、まったく違いました。とうもろこしの実がサクサクしているんです。クリスピーな食感なのにみずみずしさもあり。スパイシーな風味にチーズのコクやカボチャの食感も楽しく、またひと口……と続けて食べたくなるおいしさです。

「花ズッキーニのフリット スパイシーチーズソース 3P」1,628円。

ズッキーニの花の部分に、きのこや玉ねぎなどを刻んで炒めたデュクセルソースと松の実を詰めて揚げたフリットも、この時季限定です。別添えの器は、イタリアのチーズ「タレッジョ」を使ったスパイシーなチーズソース。フリットは3つ入りのほか、1つでも注文可能です(490円)。

オープンから約4カ月。特にランチの人気が高く、お客さんの9割は30代以上の女性だそう。

意外なアプローチや組み合わせで、ひと皿ごとに驚きを感じた〈SMOKE DOOR〉。「熾火」という火の状態でも食材によって温度帯を繊細に使い分けており、さらに直火や遠火、スモークを巧みに活用。魅力的な料理に仕上げています。メイン食材を支えるバターやビネガーもお店で仕込むなど、手間も時間も惜しまないこだわりが感じられました。

また今回の6品以外にも、実と果汁を分けてから4日間かけて作る「ビーツのロースト」や、ベーコンを使わずスモークトマトで作る「アマトリチャーナ」など、気になるメニューも多数。ランチではパスタセットほか、限定のバーガーセットもあり。しかもドリンクはワインやカクテルなどのアルコールを含むフリーフローになっているとのこと。

薪火が引き出す食材の意外な一面や奥深い味わいを、ぜひ体験してみてくださいね。

〈SMOKE DOOR〉
横浜市西区南幸2-16-28 HOTEL THE KNOT YOKOHAMA 1F
050-3174-8172
レストラン7:00〜23:00
モーニング7:00〜11:00 
ランチ11:30〜14:00 (14:00LO)
カフェ14:00〜17:00
ディナー17:30〜23:00(フード22:00、ドリンク22:30LO)
カフェ・バー 7:00〜23:00
無休
134席(レストラン88席、テラス8席、バー38席)
公式サイト