台湾の路地裏にある小さな店構えのパン屋さん。世界的に権威のあるパンの世界大会「モンディアル・デュ・パン」で優勝した陳さんの店だ。本誌連載『秘密の台湾』よりお届け。

「どこの国もパン屋は早起きです」と陳さん。

午前6時、工房に陳耀訓さんの姿がある。生地を発酵させて、こね、計量する。いくつもの工程を繰り返しながらさまざまなパンを焼き上げる。彼は2017年、フランスでもっとも権威があるパン職人のコンテスト「モンディアル・デュ・パン」で優勝に輝いた、台湾でもっとも有名なベーカーだ。

台湾の食材など、素材の組み合わせに挑戦し続ける陳さん。イケメンでファンが多い。
第6回「モンディアル・デュ・パン」の優勝トロフィーが飾られている。
クロワッサン生地を2段重ねにして、サクサク感を出した。技術の高さが光る。

「パン屋になったのは勉強が嫌いだったから」と笑う陳さん。高雄の食品工場に就職し、中国式のデザートなどを担当したが、パン作りを経験したとき、「温度と酵母でパンの出来上がりが違うことがとっても面白かった」と振り返る。その後、日本人シェフで〈野上麵包〉の野上智寛のもとでパン作りを学んだ。2011年に高雄に〈YOSHIBAKERY〉をオープンし、コンテストの翌年に競争が激しい台北に店を移した。

手前から、塩漬け卵のクロワッサン62元、クラシッククロワッサン55元。台湾でポピュラーな食材、塩卵を生かした。卵の黄身の塩味が特徴だ。

パンに国境はない、という考えから、フランス風、日本風、台湾の食材を使った台湾風と、さまざまなパンを焼き上げる。素材の組み合わせが特徴的な陳さんのパン。今使っている小麦粉は熊本産とデンマーク産のブレンドでお気に入り。また、生産者とも交流を続ける。苗栗で出会ったイチゴは、コンテストの優勝のきっかけともなった。「この生地に台湾の漬物とバジル、じゃがいものパンを考えています」。彼の創造はまだまだ続く。

〈陳耀訓・麵包埠 YOSHI BAKERY〉/民權東路三段

〈チェンヤオシュン・メンバオブ よしベーカリー〉│地図
住所:台北市松山區民權東路三段160巷19弄36號
営:11:30〜19:30
休:無
陳さんの優勝のおかげで、店には連日行列が絶えない。日本式で焼いたカスタードパイは、この店のシグニチャーの一つ。

Navigator…Janet Yin(ジャネット・イン)

Hanako Taiwan の編集者。おいしいものに目がない。台北人だからこそ 知るおすすめスポットをご案内。

※1元は約4.5円(2022年6月現在)、台湾の国際電話の国番号は886です。

(Hanako1210号掲載/photo:Jimmy Yang text:Janet Yin coordination:Chen Tsui wen produce:Hanako.taiwan)