料理家・なかしましほさんが、気になるお店とその方に会いに行く本誌連載「散歩のレシピ」。今回は鎌倉駅西口の御成通りから入った小さい通り沿いあるお花屋さん〈CHIC FLOWER STAND〉へ訪れました。

花束の作り置きはせずに、ディスプレイから好きな花を選ぶシステム。水の中で茎を斜めに切るのが長持ちの秘訣。土地柄、鎌倉では花を日常に取り入れる人が多い。

東京から遊びに来た友人が、「前から鎌倉に気になっていたお店があって」と私に花をプレゼントしてくれました。
スモーキーな色のワックスペーパーに包まれた数本の花束。 それ自体も美しく、花もなんだかぴかぴかして見えます。 植木職人で植物を愛する彼女が見立ててくれたこと、そして鎌倉にこんなすてきな花屋さんがあることがとてもうれしくて、お店をたずねてみたくなりました。

〈CHIC FLOWER STAND〉の店主の大松和子さんは、都内の花屋さんで経験を重ねた後に独立、3年前に鎌倉駅西口の大きな通りから少し入った小道に店をオープンしました。
この場所にお店を構える前に、近くの通りにあるコーヒースタンドで週末だけお花を販売していました。そんなご縁もあり、今の通りに店を出しました。パン屋さん、カフェなど裏道なのにかわいらしいお店が点在し、地元の人に愛されている小道なのです。
真っ白でモダンな雰囲気のお店は、以前は長く愛された街の洋菓子屋さんだったそうです。日々、数十種類前後が並ぶ花たちは、どれも大松さんが市場で選んだおすすめのものばかり。おまかせではなく、「ぜひご自分で好きな花を選んでほしい」とおっしゃっていたのが印象的です。

独特の色合いのラッピングはモダンだ。色違いのリボンで結んで花束が完成。

花は好きなもの1本でも買うことができます。お客さんには鎌倉に住んでいる方はもちろん、週末には観光で散歩している途中に立ち寄る方もいるとか。コロナ禍でおうち時間が増えたことで、家に飾る草や花を選ぶ方が増えたそうです。私も緑の多い鎌倉に住むようになって、以前より花や木をながめる時間が増えました。
「年のせいでしょうか」と笑う私に、そうおっしゃる方は多いのですよと大松さん。
思えば、若い頃は一直線に前を向いてがむしゃらに生きていて、花に気づけなかった気がします。が、こうして年を重ねた今、少し立ち止まる余裕が出てきたのかもしれません。私にとっては、うれしい変化なのです。

フラワーショップで活躍する小物たち。

1輪でも飾ればお部屋が明るくなるのが花のチカラ。ディスプレイの中から気になる花を選んでほしい、と大松さん。花のある暮らしを応援してくれる。
お客さんからのプレゼント。週末のお花屋さん時代からの常連さんが開店祝いにとくださった『One Hundred Flowers』(Harold Feinstein)。黒バックでオブジェクトを撮影する作風の作家によるもの。
お花のほかにも、大松さんの友人の作家による花器も販売している。ランプシェードも手がける〈飛松灯器〉のもの。シンプルなデザインが目を引く。3,300円から用意。
オリジナルのフラワーバッグ2,530円。今年の限定カラーはイエロー。ホワイト、ブラック、グレーの3色が定番。縫製は地元のケーキ屋さん〈POMPON & COMPANY〉が担当。
独特な色合いのペーパーを整理して収納できるように作られた引き出し。色とりどりの配色は、選ぶのも見た目にも楽しく、プレゼントにしたくなる。

今回訪れたのは、鎌倉〈CHIC FLOWER STAND〉。

〈シックフラワースタンド〉
住所:神奈川県鎌倉市御成町9-42 1F │地図
電:0467-33-5838
営:11:00-17:00
休:水木
店は御成通りから入った小さい通り沿いある。地元で親しまれたお菓子屋さんをリノベした、白く大きなガラス窓が目印。

Text なかしましほ

出版社勤務の後、ベトナム料理店などを経て料理家に。2006年に〈foodmood〉をオープン。体によい素材のお菓子が評判に。著書に『たのしいあんこの本』(主婦と生活社)が。

Photo 長野陽一

ながの・よういち/日本の島を撮り続ける写真家。書籍、広告、CMでも活躍。独特の世界観の料理写真にはファンが多い。食べ物をまとめた本として『長野陽一の美味しいポートレイト』がある。