古より京都の人々の生活に密着し、発展し続けてきた町家は京都の建築文化の象徴ともいえる存在。その空間に今、新しい息吹を与える革新的なお店が続々と登場中です。今回は、居心地が良く友人宅のようについつい長居したくなる〈COPPIE〉と、今年5月にオープンしたばかり、名イタリアン出身シェフの居心地のいい居酒屋〈ハシヤとナカセ〉にクローズアップ。8月26日(金)発売Hanako1212号「365日楽しい街。京都」よりお届けします。

1.〈COPPIE〉職人宅の名残がある町家で、旬の味わいを満喫。

代々職人宅だった、界隈の中でもひときわ見事な町家をリフォーム。梁や階段など、使える部分は残し、最大限活用している。

かつては麸屋、その後は真田紐の職人宅だったという築85年の町家を大胆にリノベーション。自分たちでデザインを手がけ、土間から居間をぶち抜き、広々としたカウンターを備えたレストランは開放感満点。
〈COPPIE〉は、〝カップル〞という意味のイタリア語。店名通り、店主と女将、シェフとソムリエールという二組の夫婦がそれぞれの役割を担う料理店だ。店内では、鮒(ふな)ずしのポテサラからレバーパテ、仏産ジロール茸のオムレツまで、国やジャンルにとらわれないメニューがほぼ日替わりで登場する。

「千葉入梅いわしのグリル 酒粕サルサヴェルデ」。梅雨の時季に獲れた身の太ったイワシを炭焼きで。酒粕を使ったイタリアンパセリベースのソースがフレッシュさをプラスする。
「手羽先サルシッチャ唐揚」は名物として人気の通年メニュー。手羽先の中にサルシッチャを詰めて揚げた、プレゼンテーションも楽しい一品。
魚料理も人気。辛子鰹節の生クリームをのせた「カツオのタルタル」。

中でも人気は、炭焼き料理。「生産者がわかるものしか扱わない」という塊肉が、オープンキッチンの真ん中に鎮座する炭焼き台でじっくりと焼きあげられるのを見るのもまた楽しい。料理には、ナチュールワインはもちろん、店主が吟味しているという日本酒もおすすめ。熟成酒を中心に60種以上と幅広く、肉にも魚にもベストマッチ。まるで友人宅に遊びに行った時のようにくつろげる、一軒でつい長居してしまう店だ。

〈COPPIE〉について

〈COPPIE〉/コピエ
住所:京都府京都市下京区高辻猪熊町367│地図
TEL:050-3139-1491
営:17:00〜22:30LO
休:不定休(Instagram:@coppie.kyotoで毎月通知)
席:20
右から、店主の橋本遼さん、女将の橋本知華子さん、ソムリエの上田風里さん、シェフの上田大樹さん。自らの店を持つことで、休みを確保するなど働き方改革を実践中。

2.〈ハシヤとナカセ〉住宅地を探して訪ねたい。居心地の良い居酒屋

2階から見下ろした1階カウンターの様子。吹き抜けで天井も高く優雅な雰囲気だが、料理は庶民的というギャップも魅力的。
食器は端谷シェフが自分で選んだ作家ものや、妻の実家から引き継いだ品など様々。昭和感が漂う食器も居酒屋らしさを演出。

今年5月にオープンしたばかり。京都のイタリアンの名店〈イルギヴィネリアアッシュオットーネ〉や〈Vineriah(ヴィネリア アッシュ)〉で8年間研鑽を重ねた端谷隼(はしや じゅん)シェフと、同僚だった中世宏樹(なかせ ひろき)さんによる新しいスタイルの居酒屋だ。大正時代築の仕舞屋だったという店舗は、界隈の住宅地に自然となじむ存在。でも扉を開ければ、梁が活きるモダンな空間に圧倒される。

「からすみのパスタ」1,500円はモチモチの太麺が魅力。和風明太子ご飯の感覚で、日本酒と合わせるのもおすすめ。
「健康に野菜は不可欠」とゲスト全員に付く「温泉卵のサラダ」。写真は2人分。
中にマルゲリータを包み込んだ春巻き2本800円。ほかに「豚ラグーとゴルゴンパインの春巻き」もあり。

「長年イタリアンをやってきて一番学んだのは、料理は自由だということ。ジャンルに縛られず、シンプルでおいしい料理を気軽な価格で提供したい」と端谷シェフ。メニューでまず目が行くのは、スピードメニューの豊富さだ。「ブロッコリー自家製からすみかけ」や「スパイス豚ハムとパクチー」など、一見シンプル、実はハムもからすみも自家製、という手間を惜しまない品々が並ぶ。これらが円からという価格もうれしい限りだ。また手羽唐やからすみピザ、炭焼き料理、〆のパスタやリゾットもシェフの腕が鳴る逸品。ワインはもちろん、日本酒、果実酒と、杯が進むことは間違いない。

〈ハシヤとナカセ〉について

住所:京都府京都市下京区大江町547-8│地図
TEL:090-7452-7487
営:16:00〜22:00
休:日休+不定休(Instagram:@hashiyatonakaseで通知)
席:28
2階に個室あり。子連れもOKで子供用メニューの用意も可。スピードメニュー500円〜。グラスワイン800円〜、日本酒500円〜。店は住宅地の細い路地を入ったところに位置する。「だから早めに開店して、早め閉店となりました。近所の方も来やすいように」。

(Hanako1212号掲載/photo:Yoshiki Okamoto, Tomoyasu Nakao text:Kimiko Yamada)