疲れた心と体に染み込む、ナイトキャップ(寝酒)代わりのエンタメをヒコロヒーが紹介。第4回は、昨年カンヌ国際映画祭で絶賛された、今年70歳を迎えた鬼才ジャック・オディアール監督の最新映画『パリ13区』。

ジャンルや俳優など、映画を選ぶ基準は人それぞれにある。私は〝配給会社〞で選ぶことが多い。特にハズレがないのが、ロングライドという配給会社の作品。『パターソン』『ブックスマート』など良作ばかりで信頼を寄せている。もちろん本作も例に漏れず。

パリの13区はシックなパリのイメージとは異なり、アジア系移民なども多く住む、多様性に富む地域だ。そして世界各国でジェントリフィケーションが進むように、再開発で高層マンションが並ぶ。そう、本作はいわゆる〝おしゃれフランス映画〞ではない。むしろ今までのそれにはなかなか出てこなかったアジア人が主人公(設定は台湾系フランス人)で、彼女を含めた4人の男女の恋愛群像劇は、パリのパブリックイメージをアップデートするものになっている。

注目すべきは、4人のどうしようもない恋愛の中で、〝孤独〞を丁寧に描いているところ。本編がほぼモノクロ映像なこともあり、私の目には登場人物の寂しさがより洗練されて見え、強烈に映った。手紙、電話、メールと寂しさを解消できる様々なツールを人類は開発してきたが、結局人は孤独のまま。今はSNSで誰もが簡単につながれるけど、その分人間関係は希薄だ。きっとどんな時代も特有の寂しさがあり、孤独は一生無くならない。まぁ大抵の寂しさは酒で解消できると私は思っているが。

text : Daisuke Watanuki