モデル・本山順子が訪れた神社仏閣、教会や寺院をご紹介する本連載。第93回は京都の左京区に街詣で。初夏のとある日に閑静な住宅街をサイクリング中、ひょっこり現れた三重塔にひかれ、ふらりと訪れた洛東の隠れ寺〈真正極楽寺 真如堂〉。とても素敵だったので日を改めて再度お邪魔させていただきました。夏の間地獄のような暑さだった京都も、やっと涼しくなって最高の季節です。それでは早速!詣でましょ〜う!

入口から総門を通り、本堂まで真っ直ぐ伸びた参道。青紅葉に囲まれてとても美しい!初夏に訪れた頃から3ヶ月ほど経ちましたが植物たちの様子もがらりと変わり、朝顔や萩が可憐に境内を彩っています。総門は真如堂の西側にある〈吉田神社〉の神々がお参りにくる際につまずかないよう敷居をなくしたと言われているのだそう。お寺さんが神社の神様に素敵な心遣いがなされていて、なんだかほっこりしてしまいました。

こちらが真如堂のシンボル的存在の三重塔。こんな立派な三重塔と住宅街のど真ん中で出会えるから、京都でのお散歩はやめられません!真如堂の正式名称は「鈴聲山真正極楽寺(れいしょうざんしんしょうごくらくじ)」といい、〈比叡山延暦寺〉を本山とする天台宗のお寺です。

応仁の乱に巻き込まれ焼失してしまった本堂は江戸時代に再建されたもので、ご本尊は阿弥陀如来さま。こちらの阿弥陀如来さまには逸話があり、比叡山の修行僧の本尊として白毫(おでこの丸い点)を入れて完成させようとしたところ、如来さまは首を振って拒否。「では京に出て全ての人々、特に女性をお救いください」と頼むと如来さまは三度頷いたそう。この伝説から「うなずきの如来」と呼ばれるようになりました。

授与所で目を引かれたのは平安時代の陰陽師である安倍晴明のお札!ご本尊の左に祀られている不動明王像は安倍晴明が家に祀っていたものとされており、安倍晴明が不慮の死に遭った時にその不動明王像が閻魔大王に直談判し、みごと安倍晴明を復活させたといいます。閻魔大王復活金印傳。

本堂を仏間から出て、緑の美しい渡り廊下を抜けたところには「書院・四季殿」があり、こちらでは数々の襖絵と二つの枯山水が楽しめます。こちらは入滅(お釈迦様の最期)をモチーフにした「涅槃の庭」。中央の石組を涅槃に見立てると、後ろにそびえる比叡山や大文字山を含む東山三十六峰も一つの大きな涅槃に見えてくるようです。視線を誘導する山の稜線をなぞるような有機的な生垣も本当に優美。粋な見立てと、暖かな木漏れ日が心を柔らかくほぐして、いつまでも眺めていたくなるような穏やかなお庭です。

こちらは「随縁の庭」。私たちが想像する枯山水の概念とは大きく違っていませんか?こんなにモダンな枯山水は見たことがありません。時折、吹き抜ける風と共に鳥や蝶々が庭を訪れて、どこからともなく虫の声が聞こえてきます。静かでありながらも、耳を澄ませると自然の会話が聞こえてくるような優美な印象のお庭でした。

洛東の隠れ寺〈真正極楽寺 真如堂〉はいかがでしたか?本堂をぐるりと囲む広いお庭は晩秋になると紅葉の名所としてたくさんの人で賑わうそうですが、私が訪れた日にも庭師さんが時間をかけて丁寧にお庭の手入れをされていました。どんな季節に訪れても季節の移ろいと共に、自分と静かに向き合う時間をそっと与えてくださるような素晴らしいお寺です。それでは皆様も良い参拝を〜!