〈クックパッド〉広報の徳成祐衣さんが、愛してやまない餃子の絶品おうちレシピやとっておきのお店を紹介する連載。第44回は、調布の餃子専門店〈吉春(よしはる)〉を紹介します。

手作りの皮の餃子のおいしさを知っている人は、日本にどのくらいいるだろうか。中国で餃子は、皮を味わう料理とも言われているほど、実は皮が大切。今回は、2020年12月に東京都調布市国領に開店した〈吉春〉という餃子専門店に行ってきました。
こちらは注文が入ってから皮を作り、その場で餡を包むというあまり類を見ないお店。客席はカウンター9席のみだけど、ふらりと気楽に入りやすい雰囲気で、中国の吉林省ご出身の麺点師資格を持つ吉村千恵子さんと料理人されている隆一さんがとてもあたたかく迎えてくれます。ご兄弟なんですって!素敵だなあ。

前菜と主菜は、よだれ鶏、干豆腐の水菜和え、鯖の中華風煮、馬鈴薯のシャキシャキ和えなど。メインの餃子は、水餃子5種に焼き餃子5種とバリエーション豊か。何から食べようか、それが問題だ。でも、今日は家族ぐるみで仲良くしていただいているライターの醍醐由貴子さんご家族からお誘いいただき、ご一緒しているのでわがままになっていっぱい食べてしまおう。

オーダーして数分、すぐに前菜や主菜がやってきました。どれも優しい味わいだけれど旨みが強くて、まさに食欲がそそられる。

味わっているうちに、カウンターの先では手早く餃子を包んでいる姿が。水餃子と焼き餃子、それぞれの切り分け、伸ばし、ひとつひとつていねいに包んでいく…これを見ているだけでもお酒が進んでしまいそう。

お2人ともとても手際よく綿棒で生地を回転させながら伸ばしていきますが、自分でやってみると実はとてもむずかしい動き。修行中の身なのでつい見入ってしまう。〈吉春〉の餃子は指でぎゅっと押し合わせてひだを作らない。この包みたての白いぷくぷくの餃子が整列する光景に出会う時の幸福感と言ったら。木でできたバッドは手作りなんですって!

この日頼んだ餃子は水餃子から、吉春餃子、ピーマン餃子、白菜餃子、海老餃子。焼き餃子は、吉春餃子、人参餃子、大根餃子、ネギ餃子。手作りの皮は、もっちりしていながら軽やかでおいしい。そして、どの餃子にも共通して、野菜の味と旨みを肉がしっかり引き立てていること。そのバランスが絶妙においしくてお箸が止まらない。
〈吉春〉の餃子は小麦粉、野菜にお肉、全てが国産だという。季節に応じて、その時期に美味しい野菜を使った餃子が期間限定で追加となっていることもあるんだとか。夏はきゅうりが絶品だったとご一緒した醍醐さんから伺っているので逃さず行かなくちゃ。そうこう言っている間に、お店のInstagramでビーツの水餃子をスタートするとの投稿が。ほんのりピンクの姿がかわいくて、ますます見逃せない。

17:30の開店に合わせて伺ったのですが、食事をしている間は何度もお客さんが〈吉春〉の餃子を求めてやってくる。電話の問い合わせも多数。そんな中、次々と入るオーダーをこなすお2人はとても忙しいはずだが、中国における餃子のことを教えてくださったり、会話でも楽しませてくれる。

弟の隆一さんが焼き機を使ってていねいに焼いて下さった焼き餃子は、これ以上ないほど美しい焼き目。次々とカウンターに並びます。翡翠色の青磁の器に餃子が映えます。この翡翠、中国にルーツのあるお店でよく見かけますが、色そのものが中国人にとって健康や幸福の意味を持っているということを最近学びました。

看板メニューの吉春餃子は、豚肉の甘みと野菜のおいしさがしっかり感じられて素材にこだわられていることがわかります。焼き目側の皮はさくっと軽く、水餃子とはまた違うおいしさがたまらない。テーブルには黒酢やラー油が並んでいるのだが「まずはそのままお召し上がり下さい」とのこと。

焼き餃子メニューの中で気になっていたにんじん餃子は、豚肉の餡に牛肉も加わり香辛料ともマッチして味わい深い。どこか異国の香りも。あれだこれだと餃子を選び、それぞれの特徴やおいしさをカウンター席で共有するこの贅沢な楽しみといったら!そうそう、中国では、水餃子がメインというのは知っている人も多い話ですが、もし餃子が余ってしまったら翌日には一度茹でた水餃子を焼いて2度楽しむのだと、千恵子さんが教えてくださいました。
一歳半になる娘も一緒に伺わせていただいたのですが、本当に温かくお迎えくださり、初めてのカウンター席で、餃子をいただきました。千恵子さんにおすすめいただき白菜の水餃子をあげてみると、夢中になってあっという間に完食。「野菜とタンパク質の餡に小麦粉の皮。餃子は完全食でバランスがいいですから」と聞いて納得。

一度行ったら、またすぐに行きたくてウズウズしてしまうお店が増えた。次はランチも行ってみたい。

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