
日本一の「おんせん県」としても知られる大分県。そのなかでも別府・国東半島エリアは、アートの街としても発展中だ。新進気鋭なクリエイターも集う街には、どんなアートがあふれているのだろうか。1泊2日で巡れる7つのスポットをクローズアップ!
1.大分県立美術館 OPAM









設計は世界的に活躍する建築家、坂 茂(ばん・しげる)。大分のユニークな文化風土のインスピレーションを受け、「出会いと五感のミュージアム」をコンセプトに、芸術文化の発信拠点として佇んでいます。
1〜2階の気持ちの良い吹き抜け空間はさることながら、3階の屋外展示室には巨大な中庭のような空間「天庭」がロビーを彩ります。晴れの日と雨の日で趣が変わるのも魅力的。ほかにも日本とオランダの交流の歴史にちなんで、オランダのデザイナー、マルセル・ワンダースと日本のテキスタイルデザイナー・須藤玲子によるバルーン作品など、吹き抜け空間をいかしたアトリウム展示も点在。可動式のカフェやミュージアムショップも併設されているので、街の人も日常使いできるようなスペースに。
HP:https://www.opam.jp/
2.清島アパート






〈清島アパート〉はアートの時代を担う全国のクリエイターたちが集い、切磋琢磨しながら活動していく新しい場所。2009年に開催された、別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」の会場として使用したことをきっかけに、元下宿アパートをクリエイターのアトリエと居住の場として活用しています。事前予約でアトリエの見学も可能、住人クリエイターが案内してくれるのでアーティスト活動のリアルな声と制作風景、交流がここで楽しめます。
HP:https://beppuproject.com/kiyoshima/
3.古き良き建物をいかしたアートたち








温泉街に溶け込むアートスポットも多くあります。昨年10月には塩田千春展『巡る記憶』が開催され、かつて卸問屋だった商店や、地元に愛された中華料理店の空き家が作品の舞台に。塩田さんが別府を訪れた時に見たインスピレーションから生まれた作品たちは、多くの人を惹きつけました。(現在は展示終了)
4.アマネク別府ゆらり/アマネクイン別府







2021年12月開業のホテル。屋上から別府湾を一望できる温水インフィニティプールやサウナ付き大浴場、別府の伝統工芸・竹細工を想起させる木格子で包まれた吹き抜けロビーなど、ラグジュアリーな空間でホテルステイを楽しめる〈アマネク別府ゆらり〉。そして隣には、かつてのビジネスホテルを改装し、シンプルな空間でリーズナブルに過ごせる〈アマネクイン別府〉が並んでおり、どちらも周辺の飲食店や商店街と提携した地域活性型ホテルとして注目されています。
そして〈アマネクイン別府〉の屋上にはサルキスによる、別府の天使「Les Anges de Beppu」が。混浴温泉世界実行委員会の新プロジェクト[Alternative-State]の第1弾となった作品で、昨年10月に設置されたばかり。あたりが暗くなると、天使の両翼が夜空に綺麗に輝きます。
HP:https://amanekhotels.jp/beppu/
5. SELECT BEPPU




「別府のまちのミュージアムショップ」をコンセプトに、築100年を越える長屋をリノベーション。1階は日常使いしたくなるクラフトなどをとりそろえたセレクトショップ、2階には花に代表される伝統的な台湾テキスタイルのパターンを借りて、空間や建物の特徴を意識したペインティングを展開するマイケル・リンの襖絵が展示されています。
HP:https://www.selectbeppu.com/
6. アートの宝庫・国東半島








国東半島は、神仏習合の原点となる山岳信仰「六郷満山(ろくごうまんざん)」の地。古来から信じられていた神道に大陸から渡来した仏教が融合し、8世紀始めに仁聞菩薩(にんもんぼさつ)が修行したことで広がっていったこのエリアは、今もその文化と時間がゆっくり流れ続けています。
その中でも千燈地区の不動山の山頂付近にあるのは、イギリスの芸術家・アントニー・ゴームリーによる作品《ANOTHER TIME XX》。鉄で作られた等身大の彫刻は、瀬戸内海を臨むように日々変化しながら佇んでいます。
7. 花とアートの岬・長崎鼻エリア







国東半島の北端、豊後高田市にある長崎鼻は“花とアートの岬づくりプロジェクト”を2016年から始動。地域に根付いた芸術作品を発信しています。淀川テクニックの作品「国東半島のラクダ」は旅するラクダをコンセプトに、流れ着いた漂着物で形作られたオブジェ。お腹の扉を開けると植物やその種が入っており、自由に持ち帰り・持ち寄りができる参加型アートです。昨年には新たに鴻池朋子による《One Wild Day》などが設置され、キャンプ場内には福岡を拠点とするクリエイティブ・ラボ「anno lab」が手がける美術館〈不均質な自然と人の美術館〉がオープン。テクノロジーを介して、自然と人とがインタラクティブに触れ合うことをテーマにしたデジタルアート作品が展示されています。
HP:https://www.nagasakibana-oita.jp/
花島 亜未 ライター
hanakoアシスタントを経てライターに。コーヒーと甘い物、お酒と旅が生きる源。週末は食とコーヒーを求めてふらふら散歩するのが日課。