刺激的なオリジナル料理にシュワッと弾けるお酒が進む。バスマティライスとココナツファイン、ライムなどを合わせた「ライム炒飯」1,000円(上)など創作スパイス料理の宝庫。小石原さんのおすすめはほかに、ライスパフやチャツネを混ぜていただくサラダのような「ベルプリ」700円(左下)、カルダモン酒の炭酸割り600円(右下)。

外食も飲み会も、以前と同じように楽しめる日々が戻ってきました。
今回は、料理家で魚の卸業も営む栗原友さんと、酒場トーク。

ハムエッグを食べ比べるだけでも 発見がたくさんありますね。

その日何を食べるか、吟味を欠かさず食を探求し続けるライターの小石原はるかさんが、同じく食の達人を招いて対談するこの企画。今回は酒場好きの料理家、栗原友さんがゲストだ。

小石原はるか(以下、小石原):私たちは仕事柄コロナ下も外食が多い方でしたが、暖かくなってきたことですし、ちょっと楽しく飲んでみようかな、という気分が高まってきましたね。栗原さんは、以前BS-TBSの『おんな酒場放浪記』にもご出演でしたが、この頃はどうですか?

栗原 友(以下、栗原):コロナ禍前からは減っているけど、外で食べたり飲んだりは多いですね。外食したらほぼ100%お酒を飲みます。歳をとるほど、記憶が飛ぶことも増えて。そこまでして飲むなよって話なんですが(笑)。

小石原:その時間が人生には必要なんです!!ところで、酒場でよく見かけるメニューってあるじゃないですか。ポテトサラダとか唐揚げとか。好きですか?

栗原:好きなタイプのポテトサラダだと頼みます。私はきゅうりと玉ねぎ、ハムだけのシンプルなものが好み。

小石原:わかる。流派がありますよね。にんじんNGとか、りんごマストとか。

栗原:いつも頼むのは梅水晶とお浸し。お浸しは自宅でも常備しています。

小石原:お浸しって、ほうれん草とか?

栗原:そうそう。罪悪感ないから。気持ちは0キロカロリーじゃない?(笑)

小石原:確かに、前より野菜を欲するようになった。あと、私の定番はハムエッグ。

栗原:家で飲んでるときにも作りますね。

小石原:醤油派?ソース派?

栗原:断然醤油ですね。バターたっぷりで作るのもいい。

小石原:同意。塩とおいしいごま油とかもいいですよね。ハムエッグはあちこち食べ比べてみると、違いがあって面白い。卵の火の入り具合とか、個数とか。

栗原:私は2個がいいなあ。1個ずつ食べ方変えたいんですよ。一つは黄身におかずをディップしたりして。

小石原:ああ、いいですね。最近一番面白かった酒場は三ノ輪の〈山谷酒場〉

栗原:さすが、行動範囲が広い……。

小石原:ハムエッグとか唐揚げといった王道酒場メニューがありつつ、メインはスパイス料理。インドの「ベルプリ」っていうストリートフードとか、「ライム炒飯」とか、ほかにはないメニューがあって、すっかり恋に落ちてしまいました。

栗原:それは食べに行ってみたい!

小石原:マサラオムレツもすごかったなあ。ケチャップが自家製なのよ!

栗原:素敵!

小石原:謎の「モホチーズトースト」もおいしかったですよ。

栗原:えっと、どこの国の方がやってるの?

小石原:それが日本人のご夫婦なんです。炒り卵だけで何種類もあったりして、一回じゃ食べ尽くせないし、語り尽くせないですね。

栗原:私もさっき炒り卵作ってきました。おいしいんですよね〜。

山谷酒場 三ノ輪

住所:東京都台東区日本堤1-10-6 1F 
TEL:03-5808-9245 
営業時間:17:00(土日16:00)〜23:00 
定休日:月火休 
席数:22席

刺激的なオリジナル料理にシュワッと弾けるお酒が進む。バスマティライスとココナツファイン、ライムなどを合わせた「ライム炒飯」1,000円(上)など創作スパイス料理の宝庫。小石原さんのおすすめはほかに、ライスパフやチャツネを混ぜていただくサラダのような「ベルプリ」700円(左下)、カルダモン酒の炭酸割り600円(右下)。
刺激的なオリジナル料理にシュワッと弾けるお酒が進む。
バスマティライスとココナツファイン、ライムなどを合わせた「ライム炒飯」1,000円(上)など創作スパイス料理の宝庫。小石原さんのおすすめはほかに、ライスパフやチャツネを混ぜていただくサラダのような「ベルプリ」700円(左下)、カルダモン酒の炭酸割り600円(右下)。

小石原:さては、炒り卵、流行る!? 栗原さんの最近好きなお店はどこですか?

栗原:新橋の〈たがわ〉ですね。もつ鍋は2種類食べたけど、どっちもすごくいい。キャベツとニラだけかな?シンプルなんだけど、おいしくて。炒り豆腐も気に入ってしまって、二皿食べました。また絶対行きます!

小石原:行きたい行きたい!ちゃんこ鍋と博多もつ鍋のお店なんですね。

栗原:酢モツもおいしかった!ここでは薩摩焼酎のソーダ割りを飲んでたかな。

たがわ

元力士の店主が一人で切り盛りする、隠れた名店。自身の地元・筑豊の鉄板焼き、ちゃんこ鍋、博多もつ鍋がメインだ。鍋はそれぞれ、塩や醤油などバリエーションあり。

住所:東京都港区新橋5-12-9 ABCビル1F

店主の人柄がいいと、 自然と足が向いてしまいます。

小石原:レストランと酒場の違いって、しっかり食事ができるか、お酒メインか、というところでしょうか。

栗原:私は「酒場」を広く捉えてますね。食べて飲めれば、酒場かな。ご飯がおいしいワインバー〈モノポール〉は店主と仲良しになって本当に長く通っているし、〈ブリコラージュ ブレッド&カンパニー〉も私にとっては酒場。滅多に飲まないワインをたくさん飲んでしまう。

小石原:あそこってお昼のイメージが強いけど、パン以外のおつまみもある?

栗原:昼飲みするんです。食事もいろいろありますよ。それで最後にパンをどさっと買って帰るという。

小石原:つまみがおしゃれそう〜。

モノポール

栗原さんが開業から20年以上通うワインバー。常連客の目当ては、バラエティ豊富なフードだ。食事はナポリタンが名物で、オムライスやオリジナルパスタにもファンが多い。

住所:東京都目黒区中目黒1-5-8

ブリコラージュ ブレッド&カンパニー

レストラン〈レフェルヴェソンス〉、ベーカリー〈ル・シュクレクール〉、コーヒーショップ〈フグレントウキョウ〉がコラボ。旬の味にたっぷり浸れる。

住所:東京都港区六本木6-15-1 六本木ヒルズ けやき坂テラス1F

栗原:あとは〈タイ屋台 ラオラオ〉も大好き。グリーンカレーもんじゃとか、トムヤムクンもんじゃとか、最高です。

小石原:タイ料理が好きそうな印象だけど、そのお眼鏡にかなったんですね。

栗原:そうですね。炒め物とかも、パッと出てくる。そこに現地感があって楽しいですね。ハイボールにもタイのウィスキーが使われていたりして。

小石原:いつも近くを通るのに行ったことがなくて。すぐに行かなきゃ!

タイ屋台 ラオラオ

生春巻きやパッタイなどの定番に加え、タイの味付けを施した“世界初”のもんじゃやオリジナルカクテルなど、ほかにはないメニューがたくさん。かわいい店内も人気。

住所:東京都渋谷区恵比寿4-4-14 イナビル1F

栗原:あと、京都に行くとき、頻繁に訪れるのが〈昭和食堂 炭焼 浪漫家 四条烏丸店〉。すごい好きなんです。お通しの豆腐がおいしい。

小石原:京都のチェーンなんですね。ここはどうやって見つけたの?

栗原:サクッと入ってみて、気に入ったんだと思う。

昭和食堂 炭焼 浪漫家 四条烏丸店

備長炭を使った串焼きや自家製の豆腐など、なんでもおいしいと評判。鶏半身の唐揚げなど、一人でも食べやすいメニューが豊富にそろっている。

住所:京都府京都市下京区四条通室町西入ル北側月鉾町62 B1

小石原:嗅覚がすごい!そういえば〈長命うどん〉もおすすめされたことがあるけど、ここって飲めるの?

栗原:すっごい飲めます。おでんもあるし。練り物は私が開発しました!

長命うどん

愛知と東京を中心に展開。看板メニューはうどんと中華そばを同時に味わえる「う中(ちゅう)」。天ぷらや練り物で飲んだ後、シメにどうぞ。

東京本店 
住所:東京都渋谷区恵比寿1-14-6 オーツースリービル1F

小石原:そうでしたそうでした。おでんは優秀なお酒のアテですね。最後に一つだけ、いいお店の条件は?

栗原:店員さんの人柄は、条件の一つですね。居心地の良さだけでも通ってしまいますから。私が今一番行くのは、〈スタミナ串焼き 仲垣〉。大ジョッキでぐわっと飲みながら、串のほかにもピーマンサラダを食べたり。

小石原:前にご一緒しましたね。ああ、久しぶりに行きたいな。近々、飲もう!

スタミナ串焼き 仲垣

住所:東京都品川区上大崎2-14-3 三笠ビル2F 
営業時間:17:00(土日16:00)〜23:00LO 
定休日:不定休 
席数:28席

サイドメニューが光る、やきとん酒場。芝浦の市場からその日仕入れた新鮮なもつを紀州備長炭で焼く豚串は、焼きすぎず、旨みが閉じ込められている。端肉を炒めてトマトと煮詰め、生のピーマンに入れたピーマンサラダ(上)は700円。焼き物5本盛り合わせ1,280円(右下)から、ハツ、カシラ、シロ。栗原さんのいつもの梅酢サワー(大ジョッキ、左下)1,400円。
サイドメニューが光る、やきとん酒場。
芝浦の市場からその日仕入れた新鮮なもつを紀州備長炭で焼く豚串は、焼きすぎず、旨みが閉じ込められている。端肉を炒めてトマトと煮詰め、生のピーマンに入れたピーマンサラダ(上)は700円。焼き物5本盛り合わせ1,280円(右下)から、ハツ、カシラ、シロ。栗原さんのいつもの梅酢サワー(大ジョッキ、左下)1,400円。

小石原はるか ライター

こいしはら・はるか/うどん、焼きそば、肉と、好きなものにはとことんハマる“偏愛系”ライター。『東京最高のレストラン』(ぴあ)には毎年寄稿。最新刊は『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)。

栗原 友 料理家

くりはら・とも/築地の鮮魚店〈クリトモ商店〉を営みながら、料理本の執筆やメニュー開発、コンサルティングなど幅広く活躍する。レシピを公開するYouTubeチャンネル『クリトモ式』も人気