降り立った空港の壁一面に植物が生い茂り、まるで果物のドリアンを模したかのようなデザインの劇場をはじめ、エッジィな建築物が林立し、街の真ん中ではF1が開催される…。シンガポールという国は「何かを始めるなら徹底的に、大胆に」という気風があるように思う。だから訪れるたびに「え!?」「こんな国だったっけ?」とイメージや予想を心地よく裏切ってくれる意外性や発見がある。そこで「知ってた? シンガポールはの街」と題し、4回にわたって編集部Sのシンガポールの旅をお届け。

羽田から約7時間。チャンギ国際空港へ。到着フロアに降りると、いきなり壁一面に植物が(写真左)。いやこの植物密度はもはや“森”でしょう。森の中に空港があるくらいの存在感。ガイドの方いわく、「もともと国土の40%以上が緑で、さらに国全体でSDGsに力を入れるようになって空港にも緑を取り入れたんですね」。いや、日本もSDGsに力を入れている(ことになっている)んですけど、こっちは全振りというか、徹底的なんすね…。(この後、私、編集SとカメラマンIは至るところでこの“やるなら一気に、大胆に”精神に幾度となく触れることになる)
調べてみると、都市部での緑地の多さを示す「グリーンビュー指数(GVI)」の国際比較調査で、シンガポールは29.3%と、2位以下を大きく引き離し、世界17都市の中で1位らしい。いやはや、私の勉強不足もあるけど、空港に着いた時点で早くも「知らなかったシンガポール」に出逢いました。

やはり人は緑を見ると自然とリラックスできる。まあ初見時は「な、なんじゃ、これ!?」と興奮しましたが。
モニターと緑。ハイテクとアナログのミックスはこの後の旅で驚くほどたくさん見かけることになる

動物園にはその国のすべてが詰まっているSingapore Zoo

旅行に行くとまず動物園に行きます。その土地の気候、そこで生きている動物や生態系のことを知れるし、何といってもローカルの人々の普段の姿に触れられるのが大きい。マンダイ・ワイルドライフ・リザーブと呼ばれる中央集水域自然保護区の中にあるこの動物園は、動物たちが自然に近い形で生活できるように檻や柵を使わず、「オープン・ズー」というコンセプトを採用。写真左の朝食ブッフェ(ブレックファスト・イン・ザ・ワイルド)ではご覧のとおり、鳥やオランウータンも遊びにきます。

Singapore Zoo

営業時間:8:30〜18:00
定休日:無休
公式サイト

木から木へ、高速で移動するナマケモノ類。なぜかずっと見とれてしまいました。
朝食の後には記念撮影も。
ブュフェ「ブレックファスト・イン・ザ・ワイルド」は9:00から10:30まで。大人1人35シンガポールドル(以下SGD)、子供1人25SGD。

2023年5月オープン、アジア最大級のバードパークBird Paradise

動物園と同じくマンダイ・ワイルドライフ・リザーブに今年5月に移転オープン。園内をウォークスルーしていると、いや、とにかく鳥との距離が近い! 目の前で餌を食べていたり、オスがメスに求愛している。そして鳥の体のオレンジやライトブルーなどとにかく多彩で鮮明な色の洪水に、ここは熱帯なのだということを改めて痛感。ぜひとも観てほしいのが下の写真の1枚目のショー「Wings of the World(世界の翼)」。コンゴウインコやサイチョウが観客の前を華麗に飛び、キエリボウシインコがバースデーソングを歌う。こんなに鳥と人間の息が合ったショーはここでしか観られないだろう。

ショー終了後には記念撮影タイムも。
元はマンダイ蘭園という蘭の花のガーデンだったそう。
エントランスを入るとすぐに大きな滝が。観るだけでなく、気持ちのいい場所、リラックスできる場所が至るところにあるのがこの国の観光スポットの特徴だ。
1メートルにも満たない距離で観察できる。
鳥ってこんなに近寄って佇むことがあるんですね。
ところどころにインドアのお勉強スペースも。展示の見せ方がうまく、この頃からシンガポールはデザインコンシャスな街なのではないかと思い始める。
クリムゾン・レストラン(11:00〜17:30)にてラクサヌードル(手前)とスモークチキンサラダ(奥)、赤ワインソースのアイスクリームを。コーヒーもあわせてセットで58SGD。
ペンギンコーブにて。
オリジナルグッズがとにかく洒落てるんです。

Bird Paradise

営業時間:9:00〜18:00
定休日:無休
公式サイト

自家農園とレストランOpen Farm Community

海外旅行に行くと、「そろそろあっさりした和食が食べたいな」というときがたまにあるが、今回はそれが一度もなかった。それはこの〈Open Farm Community〉のような、体に優しいごはんも取り入れていたからだろう(ものすごい余談だが、某男性誌の取材で2週間メキシコでタコスばかりを食べ続けたときは夢に納豆と海苔が出てきた)。サステナビリティを志向するこのレストランでは併設の農園で栽培した野菜などを使ったヘルシーなメニューを提供している。デンプシー・ヒル、メインストリートのオーチャード・ロードからわずか2.5キロにあり、「この日はゆっくりめに過ごしたい」というとき、ランチで訪れるのがおすすめ。

思わず長居してしまう、ゆったりとした空間。
レストラン内にある農園。
手前の豚のロースト、真ん中のバラマンディ(白目魚の一種)のソテーなどに添えられたハーブや根菜は農園でとれたもの。前菜とメインで42SGDから。
モクテルも充実。10SDGから。左は柚子とパイナップルにマリーゴールドをミックス。

Open Farm Community

営業時間:11:00〜16:00、18:00〜23:00(土日 12:00〜15:00、18:00〜23:00)
定休日:無休
公式サイト

街の真ん中に100ヘクタールの庭園!?Gardens by the Bay

シンガポール中央の約100ヘクタール (!) の場所に造られた国立公園。フラワー・ドームとクラウドフォレスト、2つのガラス張りの巨大なドーム型植物園が並ぶ。さらに特徴的なのは写真左のスーパーツリーと呼ばれる垂直庭園。地上50mの高さから園内を一望できる。また雨水を集め、太陽光発電を行い、温室の換気口としての役割も担っている。国の“シティ・イン・ア・ガーデン(City in a Garden)”政策を実現したものだということだが、実際にこの広さで、しかもかなりエッジィなデザインのものを造ってしまう、という思い切りの良さに感心してしまったのだった。

スーパーツリーはライトアップされた夜に行くのもおすすめ。
植物と木彫りの馬、一見強引にも見える力技がうまいのもシンガポールの特徴だと思う。
ガラスドームは柱がない構造。“地震のリスクが極めて低い国”ということも建築デザインの自由度につながっているよう。

Gardens by the Bay

営業時間:5:00〜翌2:00
定休日:無休
公式サイト

街のど真ん中を走り抜ける快感!Night Time Leisure Bicycle Tour

今年から始まった夜の自転車ツアーは約2時間、街の中心であるマリーナ湾をぐるっと周回。世界最大級の観覧車やDNAの二重螺旋をイメージして造られた〈ヘリックス・ブリッジ〉などの有名スポットではガイドさんが解説もしてくれる。車や公共交通機関で移動していると街の全容や位置関係がいまいちわからないまま旅が終わってしまうことがあるが、自分の手と足(電動ではない。汗も多少はかく)、そして目や耳で感じることで、この街がマリーナ湾を中心とした「水」の街であることも体感できる。これぞ異国の旅の醍醐味。1人60SGD。

ツアー中、自転車を停めて〈マリーナベイ・サンズ〉で毎夜行われている光と音のショー「スペクトラ」を観賞。教授(坂本龍一)の『Merry Christmas Mr. Lawrence』が流れて感涙。
ゲスト複数名に1人ガイドさんが付き、先導してくれる。
高級ショッピングモール、〈ザ・ショップス〉に自転車で乗り付ける、ってローカルの人っぽくてよくないですか?
〈マリーナ・ベイサンズ〉の近くにある、〈アートサイエンス・ミュージアム〉は蓮の花、さらには歓迎の手をイメージしているそう。
SF的な未来の街にいるような気分にさせてくれる〈ヘリックスブリッジ〉は“DNAの二重螺旋”がモチーフ。

Marina Bay Night Cycling Tour

営業時間:18:00〜翌2:00
定休日:火休(臨時休業あり)

今日も明日もやっぱりホーカー(屋台街)Lau Pa Sat(ラウパサ)

シンガポールといえばホーカー(屋台街)。チキンライスや蟹のチリクラブ、サテー(串焼き)など、中華から東南アジアのローカル料理まで手頃な値段で味わえる。屋外というのも開放的で楽しくなってくるし、さらに周囲を高層ビルに囲まれているというのも一見ミスマッチのようで、ずっと滞在しているうちにこの組み合わせの方がいいのではないかというような気さえしてくるから不思議だ。今日のごはんに迷ったら、ホーカーで間違いないです。

ホーカーは街のいたるところにあるが、中でもここは衛生的で入りやすい
施設隣のサテー(串焼き)ストリートは19時以降に店が開き始める。
左・ラクサ7.5SDG〜、右・チャー・クェイ・ティオ(海老やイカとともに炒めた麺料理)7.5SGD〜。
サテーストリートでは当然サテーを。チキン、牛肉、マトンは各0.8SGD、海老は2SGDから。
手前は蟹の塩卵ソース炒めSサイズ45SGD〜、奥はブロッコリーと貝柱を炒めたもの25SGD。

Lau Pa Sat

営業時間:24時間営業
定休日:無休
公式サイト

訪れた人:編集部S

カオス寄りの東南アジア好き。特に好きなのはビルマとラオス。シンガポールはトランジットで1泊したことは何度かあるが、きちんと滞在するのははじめて。今までのイメージが「静」だとすれば、実は体感や体験のできる場所やイベントが多いことがわかった今、「動」のイメージの街に。早くもまた行きたい。

知ってた? シンガポールはNEW and OLDの街 シン・シンガポール旅
知ってた? シンガポールは手作りの街 シン・シンガポール旅
知ってた? シンガポールはデザインコンシャスな街 シン・シンガポール旅

Photo:Takahiro Idenoshita ※1シンガポールドル(=1SGD)は約109円です(2023年10月30日現在)