完全菜食主義とも言われるヴィーガン(ビーガン)は、ベジタリアンの一種。ヴィーガンは、肉・魚・卵・乳製品などの動物性食品を食べません。しかし、子供をヴィーガンで育てることで成長に欠かせない栄養素の偏りが心配なママも多いのではないでしょうか。今回は、実際に菜食主義で子供を育てた私の経験を交え、ヴィーガンという菜食主義についてお話しします。

ヴィーガンとは?

ヴィーガン、ベジタリアン、マクロビオティック。最近では健康志向からこのような食生活を基本とする人も増えています。

ベジタリアンは、簡単に言うと肉を食べない人々のこと。そのうち魚、卵、乳製品を食べるベジタリアンもいます。ヴィーガンは、この魚、卵、乳製品、はちみつを含む動物性食品も食べない人々のこと。ピュア・ベジタリアンとも呼ばれます。

ヴィーガンに似ている日本の伝統的な精進料理

野菜、果実、穀物、豆、海藻、きのこ等の植物性食品だけを食べるヴィーガンですが、実はその食事は日本古来の精進料理に似ています。

ヴィーガンとは異なるマクロビオティック

マクロビは、野菜や穀物など植物性食品をベースとした食事法のこと。玄米を主食とし、副菜に植物性食品を使った煮物なども取り入れ、動物性食品はできるだけ避けます。簡単なイメージでは、普通の和定食よりこだわった和食、というところでしょうか。

マクロビの発祥は日本、ベジタリアン・ヴィーガンの発祥はイギリスなので、その点も大きく違います。

なぜ子供を菜食主義で育てたのか?

私は現在小学3年生の子供を、幼い頃ヴィーガンで育てました。しかし、私の場合は私がヴィーガンだった、ベジタリアンだったわけではありません。結果として、ヴィーガンに行き着いたのです。

生後5ヶ月で多食物アレルギーであることが判明

私の1人目の子供は、生まれてすぐからミルクを頻繁に吐き戻していました。しかも噴水のように…。そして、乳児湿疹も日に日にひどくなっていくばかり。アトピーと診断され、生後3ヶ月の頃からステロイドを塗って育てていました。私も初めての子供で一般的な子供がどのように育つのかわからなかったことが、逆に小さな症状ひとつひとつに真面目に向き合えたメリットだったと思います。

生後3ヶ月の頃、長男は大学病院のアレルギー科の医師に「食物アレルギーかもしれない」と言われました。そうして迎えた生後5ヶ月。離乳食をスタートさせたところ、医師の予言通りに。

離乳食を始めると、長男は食べる気はあるのですが、とにかく何でも吐きました。湿疹も出て痒がるし、時には発熱もあります。ひとつではなく、どの食材でもアレルギー反応が出てしまう多食物アレルギーだと診断されました。

それから、同じものを続けて食べないようにする回転食を続けましたが、症状が良くなることはなく、1歳になる前に1日に飲む薬は20包に。そして、ハウスダストにも過剰に反応し始め、自宅で生活ができなくなり入院することになりました。

私は、薬だけに頼っていても子供の症状が良くならないという現実から、情報を検索し、本を読み、マクロビオティックに出会います。

私の子供にはマクロビよりヴィーガンの方が合っている

私の子供と(元)夫は、マクロビによって劇的に体調が変化しました。子供のひどいアレルギーによって子供の父親である夫も検査を受けたところ、夫も多食物アレルギーであることが判明したのです。マクロビにより痒みもなくなり、慢性的な風邪様症状もなくなり、朝の目覚めもスッキリ。それまでとは別人です。夫のウエストサイズは10cmほどダウン。花粉症の症状も軽減。後退していた額もすっかり元通りになったことに、夫はとても喜んでいました。

子供に動物性食品を与えない選択

成長期の子供に肉や魚、卵や乳製品を与えないなんて、絶対に良くない! 当時の私はそういう考えでした。だから、菜食主義は不安。しかし、子供は植物性食品のみの食事の時は苦しまないのです。

動物性食品を食べない菜食主義の効果が感じられるにつれ、私も2人をより早く健康的な体にしてあげたいという思いから、子供の食事から動物性食品を排除することに対し菜食主義をやってみようと肯定的な気持ちになっていきました。

動物性食品を食べると痒がる

当時の私はただ子供の症状だけを見て、アレルギー科の医師の診察を週3回くらい受けながら、食事療法を行っていました。これを食べたらこうなる、というリストを作り、ひとつずつ食べられるもの、食べない方がいいものを明確にしていくと、私の子供には動物性食品は食べさせない方がいいのだろうとわかったのです。医師は良くなる長男を見て、「お母さん、どうやって良くしたの?」と聞いていました。それくらい、私の子供には菜食主義が合っていたようです。

ヴィーガンの子供に心配されたこと

ただ、医師は菜食主義にしていることについて、当然栄養面での偏りを心配していました。

カルシウム

亜鉛

タンパク質

ビタミン

オメガ3脂肪酸

必須アミノ酸であるタンパク質、特に子供に必要とされるビタミン12やビタミンD、青魚から摂れることで知られるオメガ3脂肪酸の一種αリノレン酸などは、ヴィーガンでは欠乏しやすいと言われています。

私の子供の場合、医師は特にカルシウム、鉄、亜鉛の不足を懸念し、定期的に血液検査を行っていましたが、たまたまなのか、医師から栄養素の不足について指摘されたことは一度もありませんでした。その後も、過去に菜食主義だったことを小児科で伝えると、医師はいろいろ細かく見てくださいましたが、そこでも問題はありませんでした。

子供の給食が始まる

ヴィーガンを心がけて生活し2年ほど経ち、長男は保育園へ入園することに。ただ、卵白は禁止食だったので保育園では初めは弁当持参、後に卵除去食を給食で食べるようになります。それから、入学予定の小学校給食で卵除去対応がないと聞き、卵が食べられるようになることを目指しました。それに伴い、肉、魚、乳製品も解禁です。

みんなと同じ給食が食べたい

私の子供が動物性食品を食べるようになったきっかけは、給食でした。「みんなと同じ給食が食べたい!」4歳でそう強く訴えてきた長男の気持ちから、動物性食品の摂取が始まりましたが、これまで食べていない食品には湿疹、痒みなど反応が出ます。

医師に相談したところ、「結局食べてないものには反応が出てしまう。あとは、ご家庭の価値観です」と言われました。私は、子供の体のことを考えるとまだ菜食主義でいる方が体は楽だろうと思いましたが、将来友人と遊ぶようになった時、みんなと同じお菓子を食べられるようになって楽しみを共有してほしいという気持ちがあったため、少しずつ、肉、魚、乳製品を食べさせるようにしていきました。

今では短期ヴィーガン

小学校3年生になり、基本的になんでも食べられるようになった長男。しかし、先日太腿とお尻に無数の湿疹が。以前のアレルギー症状そっくりです。そんな時は、3日間、1週間など短期間だけヴィーガン生活に戻します。そうして回復したら、また動物性食品を摂取。幼い頃よりたんぱく質、カルシウムなどが必要になっているなと感じるからです。

私の子供は、体格は大きい方ではありません。それは、親の私が小柄だからか菜食主義だったからなのか、はっきりさせることはできませんが、そもそも菜食主義にしたのは動物性食品を食べると苦しむためでした。そして、植物性食品を駆使し、私の子供の場合は、栄養面での偏りを指摘されたことはありませんでした。これが、5年10年続けていたら、どうなっていたのかはわかりません。

そして子供自身が「お肉大好き!」「牛乳おいしい!」という今、それらの食品を食べさせるようにしています。しかし、体調が悪い日は食べたくないというので無理に食べさせることはしていません。一般的に菜食に偏るのは良くないと心配されていますが、子供の体によってはそれが良い場合もある、というのが子育てを通してヴィーガン生活をしてみた結果、感じるところです。

子供と夫にはぴったり合った菜食主義ですが、私の体には全く合いませんでした。やはり、血液検査で偏りが出るのです。夫は代々山育ち。一方私は代々海育ちです。夫には古来の日本人の菜食の血が流れていたのだろうと思います。肉魚をメインに育ったご先祖様の元に生まれた私は、どうも菜食主義は合わなかったようです。ただ、肌とお通じはとてもよくなりました。栄養面でのバランスが崩れましたが、その後食生活での体調の整え方を知るきっかけとなったことは、大きなメリットとなりました。

ヴィーガンは、子供の成長に合わせて

子供をヴィーガンにすることは、デメリットばかりではありません。完全菜食主義のピュアベジタリアンを目指すことは、今の日本ではなかなか難しいところもありますが、風邪の時だけ、クリスマス、お正月など食べ過ぎたあとだけ胃腸を休める目的でヴィーガン生活にするなど、子供と無理のない範囲でプチヴィーガンを始めてみてはいかがでしょうか。