フランスといってもパリから660km以上離れたスイスとイタリアの国境近く、フレンチアルプスのスキー場暮らし。そんな田舎&山から、華やかさはないけれど、ごく普通で一般的なフランスの日常や教育についてご紹介。

今回は、フランスの年末年始についてレポート!


第12回 結局いつだって「大人が主役」? フランスの年末年始

「おとな達のため」感がとても強い、クリスマス

移住1年目に驚かされた行事といえば、クリスマスだったかもしれない。

日本では子どものお楽しみ。あるいはカップルのためという感じが強いけれど、フランスのクリスマスは「家族が集う日」。家族に成人が多くカップルもいる場合、それぞれ実家があるので、イブの夜はこちらで、25日の昼か夜はあちらで、という具合に調整が必要。カップル数が増えるほど調整に四苦八苦するのだが、その面倒こそが「集まる家族がいる幸福の証」であったりもする。

プレゼントも子どもにばかりではなく、おとな同士でも交換し合うので物すごい数になる。その準備に追われ誰もが12月は走り回り、当日は「やれやれ、なんとか間に合ったぁ」と安堵。汗を拭ってシャンペンで喉を潤すことになる。

かなりの出費になるが、バカンス費用と同様、クリスマス費用も大抵は一年の予算にされている。日本で暮らしたことのあるフランス人には「お中元やお歳暮、お年玉や旅行した際の会社へのお土産、お香典……そういうのは不要だから、むしろ日本の方が交際費はかかる気がする」そんな風に言われたこともある。

イブの夕食やクリスマスの昼食は、アペリティフからデザートまで3時間以上に及び、子どもにそれは無理なので先に手早く食べさせたり、途中、別室で遊ばせてデザートで再合流させたりする。そのためテレビ局も24日の夜と25日の昼や夜は、子どもが喜ぶアニメや映画ばかりを流し、おとなの邪魔をさせない番組を放送する。

大晦日の夜は大人タイム。子どもを預けてカップルや仲間で外食&パーティ

家族で年越し蕎麦を食べ、除夜の鐘を聴いて過ごす日本とは逆。フランス人は大晦日、カップルや仲間と外出。賑やかに過ごす。

若者は延々飲んで騒いで午前0時までを過ごし、大人達はクリスマスに続いて大晦日の夜も大ご馳走。牡蠣やフォアグラをたらふく食べ、最後はカップルでダンスを踊りながら午前0時の時報と共にビズ(キス)。新しい年の幕開けを祝う。

既婚者や熟年カップルも外食&外出を好むので、親も祖父母も不在。小学生までは子どもだけの留守番は禁じられているので、子ども達はシッターに託されることになる。

ただ今年はコロナによる外出禁止令が大晦日も解除されず、異例の「家族揃って自宅で過ごす大晦日」となる。

大人達は嘆いているが、子ども達は「コロナも悪くないなぁ」などと想う大晦日になるのかも?

©️L’arpasson Meribel

七草粥を食べる頃、フランスではバターたっぷり「ガレット・デ・ロワ」

お節料理もお年玉もなく、祝日は元旦のみ。つまり、その年のカレンダーによっては1月2日から出勤&登校がスタートすることもあるフランスの新年。お正月は日本の子どもの方が楽しいことは多いかも?

フランスっ子達にとって新年最初のお楽しみといえば、1月6日に食べる伝統菓子「ガレット・デ・ロワ」。

パイ菓子の中にはフェーブと呼ばれる陶器の人形が隠れていて、切り分けた時、それに当たった人が王様! 王冠を被れる という遊び感覚も味わえる菓子なので、子ども達は大好き。

ところが大人達もほとんどが甘党のフランス。職場の同僚や仲間達と、シャンペン片手にしっかり楽しむ。

クリスマス、大晦日と大ご馳走が2週続いた3週目のダメ押しにバターたっぷりのパイ菓子。

同じ頃、七草粥で癒す日本とは対照的だが、これを食べてからでないとフランス人は胃休めやダイエットを始めない

1月6日だけではなく1月中は頻繁に、あちこちで食べる。幼稚園や小学校の給食でも、1月はデザートに数回登場。その度に王様が入れ替わって楽しい

意外に簡単! 今年は自家製にトライ

「ガレット・デ・ロワ」のパイ生地を膨らませるコツは「手間」よりも「時間」がポイント。

折っては畳むを2、3回繰り返すのだが、それを3日続けると何層もの分厚い焼き上がりになる。

パイ生地から作るのは面倒なので、市販のパイシート2枚購入。3日間、折っては畳んで冷蔵庫で寝かして、を試してみてもいいかも。

その際、うっかり忘れがちなのがフェーブ隠し。陶器の人形がない場合は、中世の時代、そうだったようにコインにしたり、もっと遡ってローマ時代のように空豆など豆類にしても。子どものレゴなどを入れても楽しいかも?

「ハジまで具を入れすぎないこと」と「2枚の生地を合わせたら、ハジを上からしっかり押さえること(そうしないと生地が膨らむ際に具が外に出てきてしまう)」もポイント。表面に卵黄を塗ったら、ナイフで好みのデザインで切り込みを入れるのが楽しい

フィリング(具)は本来はアーモンドクリームだが、近年はフランスでも胃に重くないリンゴ煮が人気。

適当な大きさに切ったリンゴに少量の砂糖や赤砂糖を加えて煮るだけなので、作るのも簡単。好みでシナモンを効かせても。

フランス人はシャンペンと合わせて食べるけれど、ワインやビール、よく冷えた日本酒とも美味